果樹農家が切り倒したリンゴとラフランスの木、薪用にってもらってきたろ。あれ、ぶっといんだよ!節だらけなんだぜ!割れねえんだよ、斧じゃ。
太さ20センチ以下なら、もう諦めてそのまま乾燥、ストーブに無理やり突っ込むってことに決断したが、問題はぶっとい幹だ。一抱えって表現がぴったりの大物ぞろいだ。どうする?これまでのやり方なら、さらに短く玉切りして、直径はあっても、高さを30センチ程度に抑えれば、なんとか斧の刃も通るだろう。でも、この太さの木を横に切るってのも、いかにチェーンソーと言えども、至難の業だぞ。きっと、もっと上手い方法があるんじゃねえか?
ふと思い出したのが、楔だ。春先、薪欠乏に陥って、何年も放り出してあった直径40センチ超の丸材利用するしかなくなったのさ。すでに10年近く経って、ひび割れもできていたから、そこをめがけて斧打ち込んで割って行ったんだが、中でも強敵の1本、ついに斧の刃先を咥えこんじまった。抜くに抜けなくなって、仕方なく、別の斧で突き出た斧の頭をぶっ叩いてやったら、食い込んだ刃が少しずつ侵入して、とうとうぱかっと割れた。おお、これが楔の力ってもんなんだ、って大いに得心!そうか、立木切り倒す時も楔は必須って話しだしな、これ行けるかもしれない。
で、さっそく、アマゾンさ。おお、出てくる、出て来る。何ページにもわたって、商品が並んでいる。有名な斧のメーカーから和斧の会社、本数も1本ものから、数本セットのものまで、ずらりだ。だが、高い!ええーっ、こんなに高価なのか?グレンンスフォッシュ、我が家自慢の斧のメーカー、のものなんか1本13500円!だぜ。斧より高い。ひぇーっ!しかも、2本組とか3本組とかもあって、最低でも2本は使いたい、なんて商品説明だ。どうするよ、こりゃ迷うぜ。いざ買ってみて、大して効果上がらなかったら、もう、泣くに泣けない。かと言って、あの大量の幹材を使えずに放置するわけにもいかんし・・・。
散々思い悩んだ末に、メーカー品だが、ほぼ半額の、それでも日本製より数倍高い、ハクスバーナの2本組を楽天で購入することにした。あっ、余談だけど、アマゾンのカタログページで調べて、楽天で買うって人多いらしい。見比べやすいアマゾンで商品チェックして、購入は、安くてポイントの付く楽天のショップで、ってパターン、わかる、わかる。
さて、待ち遠しかったハクスバーナ製楔、届いた。お、お、重い!宅配の人が、金塊ですか?なんて冗談言ってた、そのくらいの重さだ。20センチ程度の長さなのに、2.2キロ、2本となると、片手で持ち上げるだけでも心と腕の準備がいる。どりゃどりゃ、さっそくお試しと行こうかい。
ユーチューブの動画で事前学習してあるからね、まず、ハンマーで楔を打ち込む。うむ?これが、意外と難しい。なかなか小口に食い込まない。そりゃそうだ、楔の刃先が丸まってんだもの。これ、もしかして、自分で研いで使うのか?後でネットで調べてみよう。ともかく、何度も何度もハンマーだぶっ叩いて、2本ともどうにか切り口に食い込ませた。
これを斧の刃先と反対側の部分で打ち込んで行く。薪割りのつもりで力込めて打ち下ろす、って感じじゃない。優しく、穏やかに、宥めるように叩いて行く。それも2本を交互に。なんか、じわりじわりと食い込んで行くぞ。よしよし。今度は少し力を込めて、ぶっ叩く。と、一気に楔が木の中に沈み込んだ。おおっ!お見事!真っ二つだぜ。こりゃ気持ちいい。かぱっと割れた時の快感、全能感だな、これは。なんか、逞しい巨人になって巨木をたたき割った気分だぜ。
すぐに次のぶっと丸太にかかる。うーん、やっぱり楔の打ち込みが難点だな。あらかじめ、チェーンソーで切れ目入れるとか、鑿でほぞ切っておくとか、対策を立てねばなるまい。重いハンマーを振るうにゃ、ジジイの腕は非力過ぎる。と、は言うものの、まるで刃が立たず途方にくれていた塊が、スパッと割れるこの心地よさ。夕暮れの仕事終い時も忘れて、励んでしまった。いかん、いかん、まず今日はここまで。
これは病みつきになるぞ。薪割りの達成感もなかなかのものだが、なんせ、闘う相手が違う。幸い?楔で立ち向かう巨魁は山積みだ。しばらくは楽しみが続くな。仕事の合間に数本、通りかかって数本、なんてつまみ食いのように楔薪割り作業は続く。
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