(ハナミズキの並木を横目に・・・@新田駅)
近代的な集合住宅が立ち並ぶ新田の駅を出て行くAB900形。ハナミズキの桃色が鮮やかである。阿武隈急行の主力車両であるAB900形は、JR東日本の東北地区の最新型車両であるJRE721系の三セクバージョンです。日本全国どこへ行っても古い車両にシンパシーを感じてしまう私は、どうしても8100形ばかりを追い掛けてしまうのですが、圧倒的に多数はこちら。JRE721系は、阿武隈急行の他にも仙台高速鉄道や青い森鉄道にも投入されている車両ですが、各社ともJR線への乗り入れをおこなう業者なので、規格が揃っていた方が扱いやすいのでしょう。ちなみに、AB900形は、「A=あ B=ぶ 900=きゅう」の語呂合わせなのだそうで。ダジャレか。
春の阿武隈路を、レッドフェイスのAB900形が走ってゆく。田起こしは住んでいるけれど、まだ田んぼに水は引き込まれていないGWの前半戦。水が入っていない土がむき出しの田園も殺風景なので、画角を春の若草で囲ってみる。AB900形は既に7編成が導入されていますが、そのそれぞれの前面のカラーが違うそうです。車両の規格は統一しても、カラバリで変化を付けるやり方というのは鉄道デザインの常套手段だと思うのですが、これってどこが一番最初に始めたのだろう。やはり初代レインボーカラーの京王帝都井の頭線の3000系からなのだろうか。
ああ、それにしてもこの日の福島の青空はどうだろう。それこそ、「智恵子抄」で東京の空を見ながら智恵子が語った「ほんとうの空」の色であった。桜の時期は花はともかく抜けるような青空には恵まれませんでしたが、このGWでだいぶ取り返せた感じがしますね。富野駅の先、福島盆地が尽きて阿武隈渓谷が始まる入口のあたりに、青々と葉を茂らせた大ケヤキの木の下に、慎ましく祀られた小さいお稲荷さん。「山岸稲荷神社」というらしく、いかにも村の鎮守の神様の・・・という感じ。
大木の下に祀られた小さな祠に手を合わせ、強い日差しを避けながら列車を待つこと暫し。福島行きのAB900形がやって来た。
ツンとお澄まししたような顔のお狐様が、今日も村と旅人の安全を見守っています。