(北陸敦賀の一之宮@気比神宮)
2月の半ばに、過日休日出勤をした代休を消化するということで天皇誕生日と合わせて5連休があったのですが、さすがに5連休も貰って何もしないのも勿体ないことこの上ない。2月の閑散期なので、飛行機なんかを取って四国とか九州とか行ってみたかったんだけど、正月に発生した能登半島地震で観光需要が収縮してしまった北陸地域への客入れを応援するべく、JRで「北陸応援フリーきっぷ」なるものが発売されているのを知る。東京都区内から北陸三県(富山・石川・福井)のJR・第三セクターが乗り放題で2万円ポッキリという好条件に乗っかって、3月16日に北陸新幹線の敦賀開業を控える福井県へ行ってきました。新幹線の開業により、敦賀から金沢までの「北陸本線」は、県営の第三セクター「ハピラインふくい」と「IRいしかわ鉄道」に分割されて引き渡され、米原~直江津までの353.9kmを結んでいた北陸本線は、米原~敦賀間の50km弱を残すのみとなります。国鉄時代から続いてきた、北陸と関西・中京圏を結ぶ特急街道の最後の一ヶ月を味わいに行くという目的と、久々に福井の二つの地方私鉄を巡る旅となりました。
朝4時のスマホのアラームで目を覚まし、ぐっすりと寝入っている嫁さんに軽く声をかけて家を出る。始発電車で横浜へ出て、東海道線で東京駅まで。最近は、鉄道で遠出するなら新横浜や小田原から新幹線で西へ下ることが多いのだけど、そもそもJR東日本の新幹線に乗るのってえらい久し振りだな。いつ以来なんだろ。子供と「土日きっぷ」で湯田中に行った時以来かも。折角出掛けるなら、一番早い便に乗って遠くに行きたいというのが旅好きの人情ということで、行きはまだ夜も明けきらぬ東京始発の「かがやき501号」で。北陸応援フリーきっぷ、行きだけは「かがやきorはくたか」の指定席が利用できます。
3列シートの窓側に腰を落ち着け、売店で買った黒ラベルで朝から早速お清めをいただきつつ、窓の外に雨に煙る関東平野を見やる。この「かがやき501号」は金沢への最速到達列車なので、東京を出ると上野・大宮・長野・富山・金沢しか止まらない。金沢まで2時間27分なのだから速いものだ。富山なんかは、地鉄を撮りにクルマでよく行くけど、あれだって休憩入れながらだけど家から中央道で松本に出て、そっから安房峠経由で7時間くらいかかるもんなあ・・・なんて思っていると、高崎を過ぎて上越新幹線を右に分けると、車窓はほぼトンネルの暗がりだけになった。トンネルを出たら軽井沢の駅構内をあっという間に通過してまたトンネル。あれ、今通り過ぎたのって碓氷峠だったの・・・?という感じ。これじゃ薄い峠だわな。なんて思っているうちに長野。またトンネル。日本の中で一番厚みのある山岳地帯を縦断して行く新幹線ですから、高崎を過ぎると北陸新幹線はほとんどトンネルの中。それにしても雪のない冬である。長野から先はたぶん初乗車だと思うのだが、ちらと見えた飯山付近でも雪はなく、僅かに飯山トンネルを抜けて上越市街に抜けた瞬間に薄い雪景色が見えたくらい。後は再び黒部平野に出るまではほとんどがトンネル。存外面白くないよね、北陸新幹線。車窓を楽しむものでもないな、という感じで時折目を瞑りながらちらっとトンネルの隙間に現れる車窓を眺めれば、能生や青海の周辺で峻険な北アルプスの北端の谷間から鉛色の日本海が見えた。
富山でややまとまった数の降車があって、新高岡から倶利伽羅峠をピュンと越えると新幹線はスピードを落とし、あっという間に金沢に到着。金沢の市内に入って行くときに、所々屋根に青いビニールシートをかけている家があって、能登から150kmは離れているといっても、金沢市内でもそれなりの建物被害があったんだなあ、ということに気付かされる。能登半島地震の爪痕。金沢駅も、ホームに吊るされた電光掲示板が壊れたり、営業エリアの天井の配管が壊れて漏水したりとそれなりの被害があったようなのだが、地震から二ヶ月弱経過して、被害の痕跡は見つからなかった。
金沢駅新幹線在来線乗換口。既に3月16日に向けて準備万端という感じである。ここから残る歴史もあと半月となる北陸本線にお乗り換え。北陸新幹線が敦賀まで開業すると、金沢は中間駅になるので今までのような終点駅として北陸新幹線の旨味を余すところなく享受することは出来なくなるのかな・・・?と思いましたけど、「加賀百万石の城下町」としての金沢の観光地としての価値は、いささかも変わるものがないのでしょうね。関西・中京圏からが敦賀乗り換えになってしまうので、若干利便性が損なわれることを危惧する向きも。大阪-金沢は現行の特急サンダーバードで直通すると7,790円。これに対し、敦賀乗り換え新幹線経由は9,410円で、1,620円高くなるのだそう。その分の利便性としての時間短縮は22分と微妙。敦賀で乗り換えて、合間にトイレでも行ってしまえば埋まってしまう時間の短縮効果で、やはり新幹線としてのスペックが完全に発揮されるには、京都・大阪方面の全線開業を待つしかないということなのだが・・・
未だに敦賀から先は、小浜回りのルートがようやく決定した程度で、ボーリング作業による地質調査などもまだまだこれからの話。経由する京都市では、北部住民が「地下水・残土・環境アセス」というどこぞの静岡のリニアみたいな反対運動が持ち上がっていて、前途は多難なようです。京都市北部から大深度地下で京都駅を通り、松井山手を経由してから大阪駅に向かうそうですが、果たして自分が元気に楽しくお出かけできる間に、北陸新幹線は大阪まで繋がるんかなあ?という気持ちですね。
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