青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

バブルトレインの曲がり角

2014年03月02日 07時57分11秒 | 伊東線・伊豆急行

(在りし日の原色編成@片瀬白田)

伊豆急行のフラッグシップ車輛と言えばこの「リゾート21」。昭和の末期にデビューし、その斬新なデザインとエンターテインメント性溢れる車内のインテリアはまさしく新世代の観光車両として大いに耳目を集めましたが、時は流れて30年。いつの間にやら東伊豆の花形スターとして君臨して来たリゾート21も、廃車による置き換えが進んでいるようです。画像は在りし日の片瀬白田を行く原色編成ですが、このカラーで走る編成は既になく。

 

合計5編成が導入されたリゾート21ですが、現在残るのは第3~第5編成。赤入洞橋梁を行く第3編成はリゾートドルフィン号として伊豆急ハワイアンブルーのツートンで再塗装されております。赤入洞橋梁みたいな上路プラットトラスの鉄橋と言うのは、実に鉄道写真向きだなあと思いますね。なんか沿線で撮影した映画の公開に合わせてヘッドマークとか付けてますが、余計な事はしないでくれと言いたい(笑)。

 

第4編成は黒船電車。これは子供の要請により乗りで楽しみましたもので車掌氏にお断りの上伊豆大川駅の交換待ちで一枚。車内は幕末の下田開港にちなみその歴史が綴られているのでありますが、「THE BLACK SHIP TRAIN」のロゴが渋い。伊豆急行自体が海岸線に沿って走るシーンが多いんで、外板の塗装がかなりアレな状態になっているのはお分かりいただけるかと…

 

河津桜に囲まれて河津川を渡る黒船編成。逆光で黒い車体は被写体として厳しいっす。行った時は五分咲きだったけど、今週末辺りは満開になっているものと思われる。桜祭りの会場なのだが子供は「いずきゅうがみた~い」と橋のそばを離れないので、露店のイカカマボコをかじりながらベンチで飽きもせず眺めていたら息子が伊豆急に勤めていると言う祭りの係員のばあちゃんが来て暫し談笑。平成2年デビューのJR251系スーパービュー踊り子、どちらも昭和末期から平成初期のいわゆるバブル世代の電車でありますが、この時期の車両に共通する全部盛りのラグジュアリー感?(笑)みたいな豪華さにその時代のニオイってのが表れていますよね。まずだいたいハイデッカーだしさ。いわゆる「ジョイフルトレイン」ってのが流行ったのもこの時代ですし。


バブルは遠く離れ、リゾート21もこの5次車であるアルファリゾート21を最後に増備は終了。製造元の東急車輛は既になく、アルファでもデビューから20年経ってしまったと言う事からもこのシリーズには曲がり角が訪れているような気もします。廃車となった第1・第2編成には後継車両がない事からも「景気も良くないしこんなカネかかる車両なんかそんなポンポン作れないっすよ!」と言う伊豆急幹部の声が聞こえてきそうな…せめてロイヤルボックス(サロ車)の復活くらい考えてはくれんもんかw


リゾート21の展望席から白田の海岸線を眺める。陽光に輝く海の向こうには冠雪した伊豆大島。この風景はまさに伊豆急行線内の車窓風景の白眉でありますが、それを映画館のような雛段状になった展望席で眺めるのはやはり気分のいいもの。景観を損なわないように運転席と展望席の間はアクリルのパーテーションだけで仕切られているのも良い。客を楽しませると言う車両の底力としては、デビュー30年経っても全然衰えていないことを実感。

まだ3編成が残存しており急に全部落ちるなんて事はないだろうけど、車齢から考えれば置き換えはジワジワと進んで行くのでしょう。親会社の東急に特急車でもあればセコハンでも持ってくるのでしょうがねえ。何となく3~4次車の後継は東急の既存の通勤車のミトーカ化になんじゃねーのかと言う疑念が拭い切れない今日この頃なのでありますw
コメント
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