ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

ナミヤ雑貨店の奇蹟

2019年07月09日 | 激辛こきおろし篇
本業よりもなぜかお悩み相談サービスの方が有名になってしまったナミヤ雑貨店。その店主が死に空き家状態の雑貨店に、別の所で押し込み強盗を働いた3人の少年が逃げ込むと、閉じられたシャッターの郵便受けに30年前に書かれたお悩み相談の手紙が投げ込まれ… 過去と未来の文通というのは皆さんご指摘のとおり『イルマーレ』と同じアイデアだ。物凄いペースでそこそこのクオリティを保った小説を量産し続ける東野圭吾にはゴ . . . 本文を読む

彼女にパーティで話しかけるには

2019年06月27日 | 激辛こきおろし篇
ラノベのようなタイトルから想像したボーイミーツガールなかるーいお話しとはひと味違うパンクラバーズSF。原作はヒューゴー賞の候補にもあがったSF短篇小説らしく、主人公の相手役を演じたキュートなエル・ファニング見たさに観賞すると、“ちょっとイメージと違う”という感想をお持ちになるのかもしれない。 イギリスはクロイドンという田舎町にある労働階級向集合住宅に母親と二人暮らしのパンク少年エン。悪友3人組 . . . 本文を読む

キングスマン:ゴールデン・サークル

2019年05月03日 | 激辛こきおろし篇
元スーパー・モデル、クラウディア・シファーとの間に3人目の子供が産まれ、英国の由緒正しい歴史的建造物も大枚をはたいて購入、しかも、なっなんと自身貴族の末裔であることがDNA検査で判明したという、公私共に絶好調のマシュー・ヴォーンだ。 惨殺シーンのオン・パレードでスポンサーが付かず半ば自主制作で発表した『キック・アス』そして前作『キングスマン』は、確かに斬新なアクションと独特のイングリッシュ・ブ . . . 本文を読む

亜人

2019年04月18日 | 激辛こきおろし篇
永井くーん、僕がなんでくんづけで君のことを呼んだのか理由がわかるかい。年下でしかも亜人としてのキャリアもずっと短い君のことを。えっ僕が礼儀正しいからって?何言っちゃってんの永井くーん、全然わかってないようだねぇ。 ジョン・ウィックのアクションをそのままパクリ倒した僕の動きは君にバレバレだったみたいだけど、僕の心の中までは読めなかったようだね、永井くーん。本当はね“クロちゃん”を2体も3体も呼び . . . 本文を読む

夜空はいつだって最高密度の青色だ

2019年04月07日 | 激辛こきおろし篇
きみが大切って気持ちに意味なんかあるわけがない  誰かと比べりゃ その先待ってるマウント地獄 競っても競ってもゴールにたどり着けない 無限地獄 人生頑張るだけ無駄ってことさ 好き 終わったあとでその気持ちだけ残っても 男は君を捨てたがっている 君の微笑みの向こうに見えるのは いじめにあった子供の暗い顔と 血の繋がっていない要介護老人の痴呆面 こんな単純な輪廻を繰り返すためだけに 地球はまわっ . . . 本文を読む

ジャッキー/ファースト・レディ最後の使命

2019年02月12日 | 激辛こきおろし篇
JFK暗殺から国葬を経て、ジャッキーことジャクリーン・ケネディがホワイトハウスを退去するまでの約1週間を描いた伝記映画。暗殺当日にジャッキーが着ていたピンクのシャネル・スーツをまんまナタリー・ポートマンが身につけていることから、ほぼ事実に基づいた映画だと思われる。 皆さんご存じのようにJFK暗殺の真犯人については諸説あるようで、大統領選挙の際の不正行為やカストロ暗殺計画に手を貸したといわれるマ . . . 本文を読む

オクジャ/okja

2019年01月29日 | 激辛こきおろし篇
イスラム教およびユダヤ教では豚を不浄な生き物として扱い食さない習慣があるが、本作では人口増加による食料不足を解消すべく遺伝子操作によって巨大化したスーパーピッグを、自然進化型と誤魔化して大儲けをたくらむ企業ミランダ社を超ブラック(反ユダヤ的)に描いている。 本作に限らず、Netflixオリジナル配信の映画というのは、アカデミー作品賞の候補にもあげられている『ROMA』をはじめ、最近配信された『 . . . 本文を読む

スーサイド・スクワッド

2018年08月06日 | 激辛こきおろし篇
正義のヒーローも今や集団で悪と対峙する時代。ならばバットマンにやっつけられたヴィランたちだって全員集合させればエンターテインメントになるのではないか、という秋元康流の発想から生まれたかどうかは知らないが、気がつけばマーゴット・ロビーのコスプレのみが注目される駄作に終わってしまった1本。 ギャグのセンスがない人がこういうキレた映画を作ると確実に失敗しますよ、というお手本のような作品で、軍人上が . . . 本文を読む

岸辺の旅

2018年05月11日 | 激辛こきおろし篇
“死”を軽く扱いすぎである。お釈迦様でさえ 「あるかどうかわからない」と答えた死後の世界を、本作はいとも簡単に「あるよ」と言い切ってしまっている。 岸辺とはつまり彼岸と此岸を意味する“生死の境界”のことを指しているのだろうが、未練を残したまま死んだ人間の亡霊が、(いくら○の中とはいえ)いとも簡単にあの世とこの世をいったり来たりできる設定とはいかがなものか。 観客の関心は、登場人物の誰が死ん . . . 本文を読む

リベリオン

2018年05月03日 | 激辛こきおろし篇
キャッチコピーも勇ましく「Forget “The Matrix”」と気合いの入った本作、そのパクリ元と肩を並べるどころか、公開後わずか1ヶ月で打ち切りにあいなってしまった残念な1本だ。 とある未来社会で戦争を2度と起こさないために、ビッグ・ブラザーもといファーザーと呼ばれる独裁者が考え出したのが、戦争の元=感情を抑制すること。デウスエウスマキナが牛耳る機械文明の代わりに、1984風の感情統制 . . . 本文を読む

メカニック:ワールド・ミッション

2018年04月27日 | 激辛こきおろし篇
ゲーハー・アクション俳優としてピッカリ?定着した感のあるジェイソン・ステーサム。ブロンソン主演のオリジナルをリメイクした前作は、師弟関係を伏線にしたストーリーがなかなかだったが、スタッフを一新した本作は… 相手役のマドンナにジェシカ・アルバ、そしてトミー・リー・ジョーンズまで引っ張ってきた割には、何の特徴も感じない薄っぺらな凡作に終わってしまった。むしろそのシナリオの陳腐さを補うための大物ス . . . 本文を読む

96時間/レクイエム

2018年03月12日 | 激辛こきおろし篇
リーアム・ニーソンがヨレヨレである。白人男はふけるのが早いというけれど、ジョギングで体を鍛えるシーンのスピードと来たら、早足で散歩をしている人にも抜かれる私のLSDとほとんど大差はない。もしかしたら心臓疾患か何かの持病を抱えているのかもしれない。 そんなわけでスタントマン大活躍の本作ではあるが、次はもう無いなという感じ。リーアム本人の弱り具合もさることながら、人質生還のタイムリミットといわれ . . . 本文を読む

淵に立つ

2018年01月27日 | 激辛こきおろし篇
カンヌのある映画批評家が、この若手監督を(もちろんよいしょで)ロベール・ブレッソンに例えていた。 なるほど、本作は出所後のラスコリーニコフを描いた『罪と罰』の後日談的お話であり、映画タイトルから察するに『善悪の彼岸』に書かれた道徳に対する批判的精神を映像化しようと試みた1本なのだろう。 浅野忠信演じる八坂は、殺人の罪で服役していたが、共犯者である利雄の名前を決してもらさなかったという一種“ . . . 本文を読む

マイ・インターン

2017年12月25日 | 激辛こきおろし篇
『プラダを着た悪魔』の続編かと思いきや、共通点は、ファッション業界が舞台ということと、Wメインキャスト(ロバート・デ・ニーロ&アン・ハサウェイ)というだけで、本作はまったくの別物だ。 大手メーカーがボコボコと倒産している米国アパレル業界のお寒い事情を反映しているのか、ネットショップ社長のジュールズ(アン・ハサウェイ)以下女優陣のファッションもかなり抑え目で、デ・ニーロ演じるインターン=ベンの . . . 本文を読む

そこのみにて光輝く

2017年10月21日 | 激辛こきおろし篇
何回も有名文学賞の候補に上げられながら、受賞することなく非業の死をとげた作家佐藤泰志。本作はその佐藤の出身地である函館を舞台にした3部作のひとつだそうである。 同世代の村上春樹や中上健次の影に隠れてほとんど脚光をあびることのなかった佐藤は、晩年文芸新人賞応募作の下読みにまで身を落としたらしい。 作家の死後全著作が絶版状態にあったらしく、熊切和嘉監督『海炭市叙景』の映画化にあたっては函館市民 . . . 本文を読む