※人生の並木道〜1937年(昭和12年):KIINA.2006年
https://m.youtube.com/watch?v=xOTRVCf_YGY
この歌は昭和12年日活公開の映画「検事とその妹」の主題歌として発表されました。幼くして両親も故郷も失った兄妹が助け合いながら生きていくという歌詞としみじみとしたメロディーが聴く人の琴線に触れるのでしょう、今に至るまで多くの歌手にカバーされていますね。
創唱者のディック・ミネさんは立教大学卒業のモダンボーイ。ジャズ、ブルース、ミュージカル、そして流行歌と、藤山一郎さんとは別の意味でジャンルレスに活動されました。戦後も長く第一線で活躍されましたので、私たち世代も記憶に残っています。
ミネさんはこの翌年発表した「旅姿三人男」も大ヒット、「昭和史」のアルバムには収録されませんでしたが、KIINA.はデビューした2000年に早くもカバーしていますね。
芸名がディック・ミネと片仮名表記なのは音楽活動の出発点がジャズマンだったからですが、このあと日中戦争の長期化と太平洋戦争開戦により強まっていく敵性語排斥の流れの中で、ミネさんも「三根耕一」と改名して歌手活動を続けることを余儀なくされました。もちろん国内でジャズを歌うことも難しくなりました。
野球用語の日本語化など今の常識で考えればエキセントリックの極み、馬鹿馬鹿しいようなことを国を挙げてやってしまうのが戦争なのだということの一例をミネさんの改名は語っていると思います。