アルバム7曲めは、1956年曽根史郎さん発表の「若いお巡りさん」です。Kiinaの初カバーは2007年「演歌名曲コレクション7〜あばよ・きよしのソーラン節」でした。↓
https://m.youtube.com/watch?v=amQ6qVxkjFU
2014年ver.はこちら↓
https://m.youtube.com/watch?v=KtGuiaZ6rug
Kiinaの「若いお巡りさん」と聞くと、どうしても「ねずみ小僧」の時の久松署の一日署長さんの制服姿を思い出してしまうのですが、実はもうひとり目に浮かんだお巡りさんがいました。「ボクの町」という乃南アサさんの初期の小説です。
警察学校から実務研修として駅前交番に配属された警察官のヒヨコの若者の3か月間をユーモラスに描いた作品なのですが、主人公の青年が警察手帳の最後のページに振られた彼女のプリクラを貼って上官に怒られたり、チンピラと本気でケンカしてみたり、色んな失敗を重ねながら警察官の使命を自覚していくという成長物語になっています。乃南さんの作品にしては、珍しく最後まで心穏やかに読み通せます。
2006年ver.の「若いお巡りさん」。きっと交番に配属されたばかりの新人で、必要以上に張り切っているのではないかしら。
公園のカップルに向けた「野暮な説教するんじゃないが」という分別臭い説教が全然板についてなくて「あんたに言われたくない」と返されそうだし、納豆売りの勤労青年を励ます姿には(ひょっとして、このお巡りさんもついこの前まで苦学生だったのかな?)と思ったりします。
「一本もらおうか」のセリフが面白いですね。1956年当時は納豆は藁苞が一般的だったのでしょうか。私が小さい頃は経木で三角形に包装されていました。
2014年ver.のお巡りさんは、若いと言っても2年ぐらい経験を積んだ感じです。きっとその間にいっぱい失敗も重ねたでしょうね。公園のカップルに声をかける姿もサマになっています。家出少女を説得して駅まで送ってあげる姿も頼もしいです。
どちらのカバーもキーは同じですが、少〜しだけセリフに重みが出てきた感じです。
お巡りさんとは少し違いますが、地方だけでなく東京にも特に郊外にはいわゆる「駐在さん」が思いのほか沢山いらっしゃるのをご存じですか?
私の地域の駐在さんご夫妻は、新婚早々上司に知らない町へ連れて来られて「どうだ、いい家だろう?」と有無を言わさず配属されて(奥さま談)30年以上になります。
普通のサラリーマンと違って不自由も多々あったと思いますが、二人の息子さんは揃って警察官になりました。
崖っぷちで犯人を追いつめる華々しい活躍はなくても、どこに徘徊しがちなお年寄りがいるか、どの辺りに痴漢が出没するか、地域の事情は全部把握してくれています。
日々の生活の安全と平和は、お巡りさんたちの地道なパトロールに支えられているんですよね。