※九段の母〜1939年(昭和14年):KIINA.2011年
https://m.youtube.com/watch?v=XbGz-x5sgpc
戦死した息子が英霊として祀られている靖国神社を初めて参拝した母の姿を、塩まさるさんが歌われました。
この歌は戦地の兵士たちに大変人気があったそうです。男性の塩まさるさんが歌ったことで、息子を亡くした母ではなく兵士たちは明日の自分自身の姿を塩さんに重ねて聴き入ったのではないでしょうか。
簡単に勝利するはずだった日中戦争は戦線が伸び切ったまま収束の目処すらつかず、内地からは次から次へと兵隊が送りこまれていきました。同じ年、ヨーロッパではドイツ軍によるポーランド侵攻を発端に第二次世界大戦が勃発、日本がその大渦に自ら飛びこんでいくのは2年後です。
日々死と隣り合わせにいる兵士にとって、杖をつきながら九段坂を登る老いた母は、故郷に残した自分の母の姿かも知れない。
愛する母を家族を残して死んでいくのはどんなに辛いことだったことでしょう。金鵄勲章より、名誉の戦死より、生きて母の元に帰りたい。誰もが心の底ではそう願っていたはずです。
明治2年に東京招魂社として創建された靖国神社は戦没者を祀る唯一の神社として崇敬を集めました。
靖国神社資料による合祀者の数は、満洲事変で約1万7千人、支那事変(日中戦争)で19万1千人、大東亜戦争では213万人。その数だけの母親が息子を戦争で亡くしました。
KIINA.の「九段の母」は、息子を失ったお母さんの気持ちになりきって情感たっぷりに歌っていますね。塩さんのストレートな歌い方よりむしろコロムビアの先輩の島倉千代子さんの節回しを参考にしたのかな?という気がしました。
※今回からご参考に<味わい尽くす>の同曲を末尾に貼りつけておくことにしました。「九段の母」はNo.237です。
https://blog.goo.ne.jp/tazutazu3232/e/60806ae7724fe9ed5a1a010625d26c76