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先日、公園で待ち合わせて一緒に散歩した同僚ナースのYちゃんが、「マスクをつけていないと、すれ違う人から非難の目でみられる」と言っていました。
もちろん彼女は、感染予防のトレーニングをしっかりと受け、がん専門病院で長年働いているプロの医療者です。
普段から抗がん剤治療などで免疫力の低下した患者さんへの対応には気を使いながら働いています。
しかし現在、医療現場ではマスクが足りていません。
職員は紙の使い捨てサージカルマスクを3日に1枚に限定、それ以外は自分で調達するように指導されています。
私はそのとき、自分で作った布マスクをしていましたが、巷で受けたマスク受難の話を聞いたら、なんだかYちゃんのことをとても不憫に思いました。
新型ウィルスが世界中で蔓延しているなか、同じ医療現場でも、その機関のもつ特色によって、私たち医療者の感染防御方法が、少し違う部分があります。
ワクチンも有効な治療薬も開発段階にある現在、新型ウィルスの感染症患者の治療を受け持つ最前線の医療現場では、患者さん自身が感染源になるため、医療者は自己防御を第一に考えなければなりません。
そのため、厳重な専門的ガウンテクニック(危険エリアと安全エリアの区別や、医療者の防御服やマスクの着脱方法等)が必要になります。
一方、がんセンターなどのように、がんという病気そのものによる影響、あるいは手術や抗がん剤治療などによって免疫力の低下した患者さんを治療対象にしている病院では、健常者が感染源となる可能性があるため、私たちはまめに手洗いや手指の消毒を行い、院内を清潔に保つ努力をしています。
ですので、マスクについていえば、感染最前線ではウィルス防御機能のあるN95マスク、感染リスクの高い方々を相手にしている現場では、健常者からの感染予防目的に、使い捨て紙のサージカルマスクが使われています。
アベノマスクについていろいろと揶揄されていますが、公費を使うのであれば、医療現場へのマスク補給を最優先に行うべきだったと個人的には思います。
布マスクは、自分達で作れますから。
布マスクは、ウィルスに感染している、あるいは自覚がなくてもウィルスを持っている可能性のある人が、周囲へウィルスをばらまかないようにするために有効であるといわれています。
世界中でステイホームして、感染拡大防止している最中ですが、赤ちゃんや高齢者と一緒に住んでいる人たちは、家庭内感染の危険も考えて行動しなければなりませんし、ステイホームできない人たちもいます。
事実、帰宅を躊躇している医療者もいます。
私の従姉妹は、電車通勤しながら高齢者介護施設で働いており、高齢の伯母とも同居しています。
その彼女も、裁縫が不得意なのに、苦戦して布マスクを作って使っていると聞き、私のお針子意欲がふつふつと沸いてきて、連休中はおうちでチクチク、彼女たちのためにマスク作りにいそしみ、さっそくプレゼントしました。
学校再開に際しては、布マスク着用を義務とする必要もありそうですね。
ただ、子供達の心のケアということを考えたら、「マスクは白に限る」などという校則は作ってほしくないです。
いまや、思いやりの象徴ともいえるマスクです。
気持ちが明るくなるようなデザインにしましょう。
給食のときのランチョンマットは、子供達それぞれ、いろいろな布を使っていますね。
いざ作ろうとすると、ゴム紐も市場に不足しているのがわかりました。
でも、ストッキングを2cmくらいに切って、びよーんと手で伸ばすと、とてもいい代用品ができました!
私が子どもの頃は、風邪をひくと祖母がガーゼハンカチをおりたたんでマスクにしてくれました。
忙しい親御さんの家庭の子どもでも、工夫すればだいじょうぶ。
パンデミックで子どもたちの差別を拡げないよう、思いやりのあるやさしい社会をみんなで目指しましょう。