空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

戦争と対テロ戦と反戦運動と

2008-01-18 22:56:57 | Weblog
 はっとちょっと気付いた点があったり。メモメモ。

 戦争というと,「国家が行う」ものだな,大抵。じゃ,「国家が」「戦争を」止めたらどうなるだろう? ほぅら世界に戦争はなくなって皆平和でハッピーさ! 世界中の一年分の軍事費は**ドル,これだけあれば○○と××と△△と…ができるんだ!
 …あーいや,思考実験としてそれはそれでいいと思うんですけど。

 ところで今,世界中で起こってる軍事衝突ってなんだろう,といえば,それは戦争だろうか? 「戦争です! 戦争を行っている国々が戦争を止めれば終わるんです!」(超概略)という意見を散見したりするんだけども,いえほんとにそれ,「戦争」かな?
 つまり,典型的戦争ってのは,国家と国家が行うものだろうと。
 今,世界で起こっているのは,国家対民間武装組織の戦闘だろうと。

 中東のイスラエルとヒズボラも。
 イラクのアメリカとアルカイダ(ということになってる勢力)も。
 イラク軍+スンニ覚醒運動対アルカイダ(以下略)…の場合はちょっと微妙か。
 大分マイナーになって,ソマリアでのエチオピア+ソマリア暫定政府対アル・シャバブも。

 そんなわけで,「世界の軍事費総計で何ができるか」というのは,一方でものすごい穴が開いてたりする。だってそこに,民間武装組織の軍事費の計算がはいってないでしょう? 
 いや別に入っててもいいんだ。
 連中の武器は激安くて,メリケン様のスーパー戦闘機なんかとは桁が違う。実際無視していいような数字になると思う。
 それにほんとは既に計算に入ってるんだと思えるしね。(この点,タリバンは別格でしょうねー。彼らは麻薬でかなり独立採算できてるっぽい)

 反戦のご意見を見ると,よく,国家に手を引くよう求めてる。…同時に,民間武装組織に自重を求める必要があるのではないか? イラクについて,アメリカが軍を引き揚げるのがまず何より優先される―と読めそうな意見は,あの地で日々行われている暴力騒擾を見据えた上でのことだろうか? ―例えばBBC Basra clashes with Shia cult 18 January 2008;Woman bomber kills 11 in Iraq  16 January 2008
 …そりゃあ,あれこれのイライラの素になっているでしょうけどね,米軍の存在は。

 …いや『米軍は撤退しろ,あとは現地人がするなら,殺し合いさせていればいい』というものすごい意見も(リアルで)聞きましたが…。

 …もし警備レベルが下がるなら,僕が反乱軍ならモスル・ダムを爆破するけどな…。―いや宗派にもよるけど。

 閑話休題。
 ともかくも,アメリカ(またはエチオピア)の非道をならし撤退を要求し,しかしアルカイダ(と呼ばれるところの勢力,またはアル・シャバブ)への非難が落ちる意見は,どーも腑に落ちぬところなのですよ。

 反暴力の立場なら,『どっちも消えろ』でなければならないだろうと。
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2 コメント

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お花畑な人たちは (Hi-Low-Mix)
2008-01-19 10:08:47
脳内モデルが古いんじゃないかと思われますね。
具体的には、「戦う人」というと「軍隊」と「闘争家」しかイメージできないんじゃないかと。
RPGやスティンガーなど技術の進歩が、かつての「闘争家」には持ち得なかった力を民間軍事勢力に与えているという事実。あるいは、国際的な通信網の発達が民間軍事勢力に戦略的機動性を与えているという事実。
それらを、お花畑な人たちは脳内で報道と結びつけられないのではないかと愚考するのです。
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二元論図式 (teiresias)
2008-01-19 21:59:55
>「戦う人」というと「軍隊」と「闘争家」しかイメージできないんじゃないか

 そうした二分したところに,単純に善悪二元論を投影して,悪=軍隊がいなくなることが問題解決への最短の道っと結論するあたりが,お花畑たる所以かな,と。

 …しかし,あれほどの規模・回数でのテロ行為・戦闘の報道を聞いていても,民間軍事勢力の恐怖に気付けないというのもすごいというかなんというか…。
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