空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

ソマリアの海賊問題―情報収集

2007-11-05 23:33:45 | ソマリア関連
 とりあえずソマリア海賊被害地図(2005年1月から,2006年3月迄)をご参照。
 ソマリア周辺は何処を通っても危険です。
 アデン湾内でも,ソマリア沿岸を出来るだけ遠く離れて航海してるが,それでもなお海賊に捕まってしまう,という感じですねこの地図からすると。

 けれど一口に「ソマリア」といっても広いのですよ。モガディシュとプントランドとソマリランド(これはソマリアに含めていいものかどうか微妙だけど)とではそれぞれ多少状況が違う。この点を忘れては些か困ることがあります。ご注意。

 我々が「ソマリアの海賊」と呼んでいるものの相当部分は,彼らの主観では海上保安活動の一環と説明されると思われます。なんで漁船の被害報告が目立つかといって―漁船が比較的小さく扱いやすいだろうということはあろうけど―,それは違法漁業の疑いをかけるから。

 で,「違法漁業」に対する「罰金」を課するわけですね,場合によってはプントランドが。30万ドルとか(BBC Egyptian envoy freed from Somalia 25 May 2007)いう例がありますね。或いは拿捕された漁船はソマリランドのベルベラに向かったりする(海賊被害情報―船はベルベラへ?)。

 ですから,現場をそれなりにきちんと押さえることが必要。

 日本所有のベンゼンタンカー「ゴールデン・ノリ」が海賊被害に遭ったのはイェメン領の島,Socotra近くだというお話(BBC Japanese ship hijacked in Africa 29 October 2007)。Socotra沖8海里だという報告ですね(Reuters Somali pirates hijack Japanese tanker-officials Oct 29, 2007)。…どうしてこれを「イェメン沖」と言わないかと言うのは疑問ではあります。
 その後,連合海軍が,当該タンカーがソマリア領域内Somali territorial watersに引き込まれているのを確認。
 そんなわけで,現代国語的な意味においては,「ゴールデン・ノリ」はソマリア領海を避けて航行中,海賊に攻撃,捕獲され,ソマリア領海内に引き込まれたと理解すべきでしょう。

 日本語報道では同じく「ソマリア沖」とは言われていても,はっきり場所は異なるし,事情も異なるのですよね,北朝鮮貨物船の件とは。
 北朝鮮貨物船の「海賊」たちは,自前の船を持っているわけではなく,本来は港湾警備員。それが悪い心を起こして,貨物船に乗り込み,乗っ取り行為を行ったわけです。純粋なハイジャックに近い,ですね。
 ソコトラ島沖の場合,自前の移動手段を持っていて,乗り移り,ハイジャック。立派(?)な海賊ぶりです。

 この記事,「日本所有タンカーが海賊被害:アデン湾,ソマリア沖」の続き・補遺。

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