空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

「殉教者」の墓地に奇跡を求めて:カンダハル,アフガニスタン

2008-01-18 22:02:05 | 本・論文・研究メモ
 アフガニスタン,カンダハルのとある集団墓地には「テロとの戦争」で犠牲になった人々が埋葬されている。イスラムのために死んだ者たちを埋葬する,そこは病気を癒やす奇跡を起こすと信じられ,巡礼があとを絶たないのだという:

BBC news, South-Asia Kandahar's cemetery of 'miracles' Dawood Azami 17 January 2008

 70人からのアラブ・外国人戦士及びその家族が,2001年遅くに爆撃によって殺害された。埋葬後から信仰集団ができ,彼らを癒し手,神との仲介者と見做すようになったという。

「社会的・経済的苦境の終わる事を願うひともいるけど,来訪者の殆どは祝福を求める病人だわね」と墓守の50歳代の女性は言う。この数年というもの毎日墓の世話をする彼女が言うに,「彼らは殉教者で,で彼らに奉仕するのは私の義務ってわけ」。

四肢の麻痺に悩む人の幾人かは,己が足でもって墓地を離れたのだという。儀礼は簡単,お墓に触れたり,お供えの塩をひとつまみ頂いたり。よし僕も行ってこようか

 もちろん,大卒の教養ある人士の曰く,このような奇跡話が人気を呼ぶのは,多くの人々が貧しく,医療サービスに手が届かない事に関係する。一旦,ある社か人かに癒しの力があると有名になれば,みなひとはそこへ押し寄せる。

 1979年のソヴィエト侵攻以来,戦闘は基礎的インフラを打ち壊した。タリバン支配も,遠隔地まで広く恩恵を及ぼすほどの影響を持たなかった。今も雇用は進まず,文教政策も乏しく,おやしろ様が病める人の唯一の救いであることは―驚くべき事象ではない。


 …以上,原文を大いに省略,自由訳をちりばめつつまぜっかえしまぜしてみました。あうあう。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 背中を押すアナタの一言 | トップ | 戦争と対テロ戦と反戦運動と »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
原理主義じゃないねー (Hi-Low-Mix)
2008-01-19 09:57:56
興味深い事例ですね。
いわゆるイスラーム原理主義であれば、奇跡をおこせるのは神や預言者だけのはずです。
聖人崇拝は土俗的に生じたものであり、原理主義者たちはこれを「イスラームの教えとは関係ない」として強く否定しました。たしか付属施設をぶちこわした事例もあったはずです。
タリバンの活動にも関わらず、アフガニスタンにおける信仰は土俗的傾向がなお強いということを示しているかと思われます。
返信する
土俗結構 (teiresias)
2008-01-19 21:37:07
 寧ろ,反米運動の根拠地になると思ってか,人を散らそうとしたのは地元政府側だったり。

 社会的には危機を示す兆候でしょうけど(医療サービスの不在や民衆の知識レベルの問題),宗教的には素朴で力強い信仰を作り出す素地が根強くあるのだな,ということでカテゴリは「研究メモ」にしてみました。

 おそらくタリバンは,地元の信仰体系に刻印を印すほど強い(宗教)運動ではなかったんだろうなーと思う次第です。
 政治的支配はしても,国民育成までは手がまわってなかったんだろうなと。

 …けどまぁ…メモはとったものの,何時検討できる日が来るやら…。
返信する

コメントを投稿

本・論文・研究メモ」カテゴリの最新記事