樺太（サハリン）

読売新聞　日米露が安保対話へ、専門家集め来年３月に （2009年12月20日03時08分 読売新聞）
「日米露の海上保安当局もサハリン沖で合同演習を行うなど」

読売新聞　オオワシ衝突死、風力発電の羽根に…北海道 （2009年12月16日09時17分 読売新聞）の語注
「◇オオワシ＝カムチャツカ半島、サハリン北部などで繁殖し、北海道などで越冬する」

　現在の地名として，新聞では「サハリン」を用いる傾向にあるか。

北海道新聞　サハリン見据え結束　稚内港利用促進連絡会議　市内で設立総会 （12/12 13:25）
「サハリンとの経済交流や地域経済発展に向けて稚内港の利用拡大を目指し…サハリンとの貿易や観光、港湾施設などにかかわっている企業や…同会議は、サハリン沖の石油・天然ガス開発プロジェクト…情報交換会では、サハリン航路のＰＲに加えて…」

　しかし，歴史名称としては「樺太」を用いる（こともある／べきである）：

北海道新聞　日ロ国境の歴史伝える　樺太の「標石」北大博物館で展示 （12/19 06:43）
「樺太（サハリン）の旧日露国境線に目印として置かれた「旧日露国境標石」が１８日、札幌市の北大総合博物館（北区北１０西８）で公開展示された…９７年に根室市の歴史研究グループがサハリンで保管していたロシア人から譲り受け、根室市歴史と自然の資料館に寄贈…」

　上掲の例はこの微妙な線をうまく潜り抜けている。以下の信濃毎日新聞は，原則，表記を「サハリン」とし，適宜説明の「（旧樺太）」を挿入：

信濃毎日新聞　「歌会始の儀」に県関係２人　入選と召人 12月25日（金）
「久保田さんは…サハリン（旧樺太）で生まれ育ち、４５年８月には同地で空襲なども体験…サハリンから父親の郷里、現在の木曽郡南木曽町に戻り…」

　他方，以下の

毎日新聞（地方版）　展示：アイヌの美に触れて　文化博物館で民族資料２００余点　／京都 2009年12月17日
「出品されている資料は、１９１２年から翌年にかけて北海道日高地方の平取やサハリンで収集されている」

　収集の主体が明示されておらず，この表記は微妙。この時期の北島部ロシア領で収集されたなら「サハリン」は歴史的にも正しいが，北海道日高地方への言及は如何なる意味か。この辺の事情は私はまったく知らないので，勿論日ロ共同学術調査であった可能性などもあるはあるが。

　なお中学生向け地図帳（帝国書院）では「樺太（サハリン）」の表記だったはず。どんな表記をとるかは，非常に微妙な問題である。