現在ソマリアで行われている戦闘は,勿論,広い意味では米国が始めた対テロ戦争の一環ではある。確かにそうだ。その点,それほど疑いはない,だろう。
だからと言って「「米国対イスラム原理主義」の代理戦争にもなっており」とはあまりにざっくりした纏め方ではないかと思う次第(青字引用,参照:navi-area26-10さん「■[アフリカ][国連]<ソマリア>見えぬ安定化 国連も平和維持部隊派遣を断念」 11月14日に記録のYahoo headline(毎日新聞))。
確かに米国はエチオピアを支持し,エリトリアを非難します。でもねぇ…。
ざっくり言ってしまえば,米国は世界経済の半分,世界の軍備の半分であって,世界中何処に行っても米国の影がないことがないとさえいえる。そんなわけで,「米国の介入が」「反米闘争が」ではちょっと説明として弱いのでは,と思うのだ。だいたい,今のソマリアじゃ米国の介入,その勢力はほぼ考慮の必要がなく,ソマリアの「イスラム主義勢力」の主敵はエチオピア以外の何者でもないと思われますがどうでしょうね(この件,「海洋戦略研究」さんの「ソマリア無政府状態続く」11月21日)。
つい先日,漸くウガンダ軍が正式にal-Shababの攻撃対象として明言されたばかりです。彼らは派遣後,既にざっと半年経つんですが。
…いえ勿論,アメリカはナイジェリアに働きかけてAU軍貢献へと動かしたわけで(「ナイジェリアはソマリア平和維持軍に貢献する:ソマリア」を参照),なるほどアメリカの大戦略の,ソマリアは疑いなく一環であるといえますが。
しかし何をどれほどの強さで評価するか,その匙加減への考慮も必要では,とも思う。下手をするとエチオピアはアメリカの手先扱いさえされかねない。本当にそぅ? エチオピアのソマリア介入は,ほんとにアメリカ様のご意向に沿ったアメリカ様の作戦なの? エチオピア自身の利害関係はそこにはないのかな? で,エリトリアがイスラム法廷連合~ソマリア解放連盟を援助するのは,反米闘争なのかな?
どうもアメリカ一元論的発想は,田舎戦線でちまちま身の丈で真剣な闘争をしている人たちの実相を軽視する向きがある気がするのだったり。
それにソマリアでの,国際的テロ活動の根付きの可能性は,相当割り引いて考えなきゃいけないと思うのですよ(参考:navi-area26-10さん「■[アルカイダ][アフリカ]アルカーイダ、ケニア拠点化着々 ソマリアでは失敗」5月14日)。部族社会があまりに強固で,局外者の浸透をほぼ拒む方向にあるんじゃないかな,あの国は。
…今回の首相選定だって,ハウィエから出す,というのは既定路線だったみたいですしねぇ。そういう部族構造の強さが伺えます。
けど新首相は,政治的に未経験なところを見込まれて指名されたようですが…前首相Ghedi氏のときもそうだったみたいですが…。そんなところも,ハウィエが暫定政権にちょーっと不信感を持つ理由の一端だったかも?
「米国対イスラムテロ組織!」世界をまたにかけた,壮大な構想です。現実でもあります。しかし,その巨大な網目に掬いきれない―というか,最初っからもれっぱなしの―諸要素にも,時には目を向けてはどうか。
日本みたいな大国に生きてれば,そりゃあど田舎で武装ジープの一台二台でがたがた言うようなしょぼい戦線,一顧する時間さえ惜しいかもしれません。それでもそこにいるのは,人間なんですよ。理論でも構造でも構想でもない。
…んでその田舎戦線―スール方面―の重要会議,Dhulbahante支族会議は22日に結論を出すはずでしたが,報道がないですねー。Garowe Onlineが沈黙状態では,いやなんとも。SomalilandTimesは速報性では劣る感がありますしねー。
だからと言って「「米国対イスラム原理主義」の代理戦争にもなっており」とはあまりにざっくりした纏め方ではないかと思う次第(青字引用,参照:navi-area26-10さん「■[アフリカ][国連]<ソマリア>見えぬ安定化 国連も平和維持部隊派遣を断念」 11月14日に記録のYahoo headline(毎日新聞))。
確かに米国はエチオピアを支持し,エリトリアを非難します。でもねぇ…。
ざっくり言ってしまえば,米国は世界経済の半分,世界の軍備の半分であって,世界中何処に行っても米国の影がないことがないとさえいえる。そんなわけで,「米国の介入が」「反米闘争が」ではちょっと説明として弱いのでは,と思うのだ。だいたい,今のソマリアじゃ米国の介入,その勢力はほぼ考慮の必要がなく,ソマリアの「イスラム主義勢力」の主敵はエチオピア以外の何者でもないと思われますがどうでしょうね(この件,「海洋戦略研究」さんの「ソマリア無政府状態続く」11月21日)。
つい先日,漸くウガンダ軍が正式にal-Shababの攻撃対象として明言されたばかりです。彼らは派遣後,既にざっと半年経つんですが。
…いえ勿論,アメリカはナイジェリアに働きかけてAU軍貢献へと動かしたわけで(「ナイジェリアはソマリア平和維持軍に貢献する:ソマリア」を参照),なるほどアメリカの大戦略の,ソマリアは疑いなく一環であるといえますが。
しかし何をどれほどの強さで評価するか,その匙加減への考慮も必要では,とも思う。下手をするとエチオピアはアメリカの手先扱いさえされかねない。本当にそぅ? エチオピアのソマリア介入は,ほんとにアメリカ様のご意向に沿ったアメリカ様の作戦なの? エチオピア自身の利害関係はそこにはないのかな? で,エリトリアがイスラム法廷連合~ソマリア解放連盟を援助するのは,反米闘争なのかな?
どうもアメリカ一元論的発想は,田舎戦線でちまちま身の丈で真剣な闘争をしている人たちの実相を軽視する向きがある気がするのだったり。
それにソマリアでの,国際的テロ活動の根付きの可能性は,相当割り引いて考えなきゃいけないと思うのですよ(参考:navi-area26-10さん「■[アルカイダ][アフリカ]アルカーイダ、ケニア拠点化着々 ソマリアでは失敗」5月14日)。部族社会があまりに強固で,局外者の浸透をほぼ拒む方向にあるんじゃないかな,あの国は。
…今回の首相選定だって,ハウィエから出す,というのは既定路線だったみたいですしねぇ。そういう部族構造の強さが伺えます。
けど新首相は,政治的に未経験なところを見込まれて指名されたようですが…前首相Ghedi氏のときもそうだったみたいですが…。そんなところも,ハウィエが暫定政権にちょーっと不信感を持つ理由の一端だったかも?
「米国対イスラムテロ組織!」世界をまたにかけた,壮大な構想です。現実でもあります。しかし,その巨大な網目に掬いきれない―というか,最初っからもれっぱなしの―諸要素にも,時には目を向けてはどうか。
日本みたいな大国に生きてれば,そりゃあど田舎で武装ジープの一台二台でがたがた言うようなしょぼい戦線,一顧する時間さえ惜しいかもしれません。それでもそこにいるのは,人間なんですよ。理論でも構造でも構想でもない。
…んでその田舎戦線―スール方面―の重要会議,Dhulbahante支族会議は22日に結論を出すはずでしたが,報道がないですねー。Garowe Onlineが沈黙状態では,いやなんとも。SomalilandTimesは速報性では劣る感がありますしねー。
怨みによっては永遠に怨みの止むことはない,どこかで諦念に到るべきである,或いは愛と許し―ってもはや宗教の世界ですけど。
『民間人殺戮は不許可』ですが,私の一応の基準です。それはルール違反で,非難されるべきだと思うのです。
とはいえ不寛容で押し通しても軋轢を生むだけですので,どこかで納得しなきゃいけないもの,なのでしょうね。恐らく,当事者たちすらも。
社会に対する失望というと、僕もないわけじゃないですけど。食料自給率が低いこの国で僕が飢えないという事は、誰かを飢えさせているのだろうなとか。
でも高坂正堯という人の『国際政治――恐怖と希望』だったと思うのですが、最後、安易に理想に飛びついてはいけない、しかし絶望してもいけないと書いてあったと思います。
まぁこれは僕の人生観にも関係するかもしれませんが、死ぬ前に何か答えを出したいと言う考えなら、国際情勢は向いてないと思います。僕は色々情報を拾い続けて大した結果も出せず死んでいくんだと思います。
『民間人殺戮は不許可』ですが、では殺した人なら殺してもいいのかと考えると、分からなくなります。法的に殺すと言っても、フセインの裁判のように裁判所の正当性に問題がつくこともあります。
中西 寛『国際政治とは何か―地球社会における人間と秩序』も読んだと思うんですけど、最後は「寛容」と書いてありました、フランス人の言葉として、ドイツ人を愛せと言われても無理です。しかし、彼らがユダヤ人を絶滅できなかったようにわれわれもドイツ人を皆殺しに出来るわけではありません。だからわたしは、ドイツ人に寛容になろうと思います。別に高い理想があってそうするわけではありません。しょうがないからそうするんです。と言うような事がかいてありました。
多分僕らは多くの人を仕方がないからと言う理由で許さなければいけないのではないでしょうか。
思うところは概ね同意です。ただ私は自分については,もぅすこし,社会に対して失望分が多いかな,と思います。
自分の考え―については,しっかり自分の考えを持っていると思っているらしき人の思考の,他所からのコピペ具合に頭を抱えた経験からして―常時可塑のものとしておくほーがいいんじゃあ,と思っていたり。
とりあえず私は,紛争記事取り扱いに際して譲れぬ一線として,『民間人殺戮は不許可』と定めてはいますけど…。
今日僕の方のページではアフリカ関係では、チャドの反政府勢力が全ての外国軍と戦争状態だと宣言したと言うニュースと、エリトリアのニュースを紹介させていただきました。
僕の場合は自分が右か左かと考えるといつも悩んでしまうんですが、日本と言う国はとても好きなので、国際情勢という環境の中で出来るだけいい形で、この日本というシステムが残って欲しいと願っているのです。あまり自分の考えはちゃんとまとまっていないのですが、情報を集めて発信して、知りたいと言う人のもとに届けられれば、判断しなければいけないときに、多くの人が正しい判断が出来るのではないかと思っています。
そんなある時,エチオピアがソマリアに軍事進攻。地域強国が,地域紛争をどう収めるか?収め切れるのか?
こういう場合,アメリカ軍が先頭に立たない場合,どう事態は推移するのか?
興味があっても日本語ニュースは出てこない。止むを得ず英語で読み始まって…今に至ります。
そんなことしてたら,アメリカが空爆でもしないとニュースにならないソマリアの,その隅っこで真剣勝負してる人たちが見えてきて。
彼らは彼らの都合で闘争してるらしい。でもこっちの報道では,彼らのことは欠片も出てこない。
頑張って報道してる人たちについても目が向けられない。場合によっては,私にも判る誤字脱字を出してさえ英語で書いてるんですよね,Shabelleの人は。
そんな彼らについて,目を向けてあげてもいいんじゃないかなーと思って,時折訳出したりしてるのです。
ソマリアメディアの,日本での扱いは,ほんと可哀想なのですよ。放送禁止を喰らったり,ディレクターが殺されたりしたときだけ記事に出て,治安や政府権力を批判する根拠に使われるだけ。
情報発信の主体である彼らでさえそんな扱いでは,それ以外の声なき民衆など,そりゃあ悲劇の数以外の扱いはされないですわねぇ。
たしかに『○○は悪い、だから○○さえ変わればこの世界はよくなる』で、うまくまとまれば、こんなに楽なことはないんですけどね。○○にとりあえずでアメリカ入れても駄目ですよね。
記事の保管はテキストのコピーはそんなに文句言われないという一種の賭けです。でも誰かがこういう事をやらないとという使命感もあります。
とにかくアフリカ専門に追ってる方に自分のはてなダイアリーを目を通していただいて、コメントもいただけると言うのは心強いです。これからもよろしくお願いします(_ _)
そんなわけでnavi-area26-10さんの新聞記事引用・紹介パターンはありがたかったり。安心して参照できるのは大きい。
…以前,翻訳紹介blogで,原文に影も形もない「アメリカ」の行動について加筆されてたりして…。あれはもう…。
Dhulbahante支族会議結果は22日に出てました:
http://www.garoweonline.com/artman2/publish/Features_34/Somalia_The_Bo_ame_Declaration_of_Dhulbahante_Clan_Elders.shtml
ソマリランドの介入に反対の立場。昔,定められた氏族境界を重んじ,撤退を求める。
「ソマリランド」の名称使用を一貫して避ける様子。また,ソマリア統一を支持する模様で―それなら,一応,回りまわってプントランド支持といえるわけではあります。
さあどう出る,ソマリランド。Badhanのようには行かないぞっ。
問題はアメリカさんの軍事行動中心に追いすぎること。
別個の問題としては,そのニュースを受け取ったある種の人々が,アメリカ大帝国主義の世界的大陰謀物語を構想してしまうこと。
そのため,ニュース記事のキーワードだけ拾って,自分の構想に都合の良い物語を構成しようとすること。
「そーゆー大陰謀物語ってちょっと変なところあるんじゃない?」,それは日本語報道だけで解るはずなんだ,アルカイダはソマリアで地歩を築けなかったようだ―と報道もあったわけで。
そんなわけで私はど田舎戦線のニュースチェックを継続です。なんだかドゥルバハンテ支族会議のニュースが出てこないんですよどうなってるのGarowe Online。…プントランドに都合悪い結果が出たかな?
ではまた。