空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

地雷処理と(略 続々

2008-03-03 23:10:16 | Weblog
 来期の発表等々の準備してるのに勘弁してください(日記)。

 ええ,先日の件の続きの続きなんですが。

 某氏の曰く,死刑囚には2つの選択肢がある:そのまま(拘置の後)絞首となるか,志願して地雷処理するか。

 ここで問題が一つ:なんでその二択なの?
 他に色々,死を覚悟しないと出来ない仕事は多々あると思われる。例えば炭坑とか(中国的意味で),劣化ウランの加工とか(粉塵がえらいことになりそう)。なんで二択にならなきゃいけないのか。

 死刑囚の更生を目指すというなら,様々な道があろうというものだ。
 いや地雷処理などとくれば,誰の文句もでないだろう世界人類のためになる素晴らしい仕事だというのかもしれないが,素晴らしい事とやらの押し売りもどうか。

 殺されるか,生きるために仕事するか? そんな選択肢は伝説的でさえある,ユダヤ人処置にもあったわけだ。

 そんな極端な二択は,選択の名に値しない。そもそも刑務所なるもの,これは受刑者の自由を拘束するところにまず意味があるはずで,その受刑者の究極形態,死刑囚に向かって

『ええとぉ,皆の魂の救いと人類平和のために,選択肢を挙げちゃいます☆ このまま絞首か,地雷処理で世界に貢献するか選んでいいよぉ? 一定数処理したら無罪放免,叙勲だってしてあげちゃあうっ! わあ,お得!』

 それでその一定数が100万個とか言われたらどーするのかと。
 いや問題はそこじゃなく,折角,一箇所に纏めて自由の拘束という刑罰形態を安価に運用できてるところに,なんでそんな特別の計らいを考えたくもない法的ハードルの数々を乗り越え,予算上の出っ張りにも耐えた上でせにゃあいかんのか。しかもやっぱり人権的に問題ある形で。

 私はまず,人権的問題から,死刑囚を危険作業に使役する案に反対するだろう。悪魔的選択肢でもって「志願」させるところからして救い難い。掲げる目的・理念が手段を正当化するとは,些か信じ難い。

 というかコスト的に割りに合わない感がしまくるあたりが実現可能性を感じさせない。
 同じ訓練費なら,18歳の志願兵に投入すべきだ。永く働いてくれる。なんにでもつかえる。
 年齢も不ぞろい,体力についても予測できず,何時補充されるかも不明。これほど供給に不安定要因揃いまくりの「志願」者のために,なんで訓練コース等々を開発,保持しなくてはならんのか(日本の場合,自衛隊が)。

 自衛隊に司法の下働きをさせる件は,まあ目をつぶるとしてだ,地雷処理しかできない「要員」をどこにどういう形で連れて行く気だ。

 自衛隊の派遣場所? なんで自衛隊が行かなきゃいかんかといえば,そこが紛争地帯(一歩手前)だからだ。一応,ともあれ自衛可能で,自立的行動が可能だからこその自衛隊だ。銃を持ちもし,スコップを持ちもし,建築資材を持ちもするからこそだ。

 なんで地雷処理専用の使いでのない部隊を余分にもたなきゃいかんのか。部隊でも運用に困るし,数人単位でもやっぱり困る。

 完全に戦闘状態が終結した地域に派遣? どんな形で? 護衛は? 監視は誰が担当です? そのコストは? と聞いたら現地警察に委託,脱走したらフランス式地雷処理に起用だとかなんとか答えられて頭を抱えたくなった。現地に委託すれば安くあがるだろうってえらく安っぽい国権もあったもんだなオイ。

 死刑って国民に死を強制する,非常に重い決断のはずで,ちょっとやそっとじゃ適用を躊躇う重大事だと思うんだが。いや私のこの手の教養は韓非子あたりで止まってるので近代国家のことなんてしらなぁい☆

 …というか叙勲に価値を見出す人物が,これほどどあっさり刑罰の大権を売り払ってなんとも思わないのはなんとも一貫性を欠く気がするので,ああ気が進まないけどメールで指摘しておくべきか。
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1 コメント

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ちょっとぐーぐるさんにお伺いをたてたら (teiresias)
2008-03-03 23:36:45
 わりとそゆかんがえのひといるらしい:
http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E5%9C%B0%E9%9B%B7%E5%87%A6%E7%90%86%E3%80%80%E6%AD%BB%E5%88%91&lr=
妥当な反論が提示されてる場所もある。聞いてもらえるかどうかは別だけど。
 なんだか「人権を侵した奴に人権を与えるのはおかしいよね」とかいう文が出てきたけど,人権って既に各人にあるものと違うのかな。それを奪ったり拘束したりすることができるなら,それは主権者(の委託を受けたもの)の大変な決断によるのではー。
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