京響第8回名古屋公演
日時:2017年7月17日(月祝)5:00pm 開演
会場名:愛知県芸術劇場コンサートホール
出演者:広上 淳一(常任指揮者兼ミュージック・アドヴァイザー)
ピンカス・ズーカーマン(ヴァイオリン)
アマンダ・フォーサイス(チェロ)
曲目等:ブラームス:大学祝典序曲
ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調
去年、五島みどりさんのバイオリンを聴きたくて、参加されていた京響の刈谷公演を聴きにいった。その時広上さんの指揮がとっても楽しかった。
だから、京響が芸文のコンサートホールで演奏すると知り、すぐ席をとろうとした。ここはアリーナ形式だから、指揮者と向きあう席がある。私と同様の考えの人がそれなりにいるようで、真正面は埋まりコントラバス側にずれた席となった。でもそこは足元から低音が湧き上がるところで悪くはない。
まず席をとってからプログラムをじっくり見た。ブラームス3曲・・・前回からブラームス尽くし。そしてピンカス・ズーカーマン。イツァーク・パールマンとのセットでyoutubeでよく聴いている人。この人なら切符の価値がある。そしてアマンダ・フォーサイス 知らなかったけどズーカーマンの奥さんとのこと。夫婦でコンチェルトをやるということ。かなり興味がある。
その日は、公演後食事をとることにして5分前に席に着いた。ほぼ満員。休日とは言え人気があるなって思った。そして指揮者と向き合う席はぎっしり。やっぱりね。
・大学祝典序曲
ブラームス自身は「学生の酔いどれ歌のひどくがさつなメドレー」と言っていて、ベースは元気な曲。けれども今日の3曲の中では最も大編成の曲で、行進曲風だったりメロディアスだったり、なかなか贅沢な曲。特にコントラファゴット?というバカでかい木管楽器は始めてみた。(3番でこの楽器を使うので、この選曲をしたのかもしれない。)
元気な部分が多く、そのため広上さんの身振り手振りは派手で小さい身体を大きく見せ、後の2曲続くのかと不安になった。
オケ自身は、去年に比べるとばらつきはなくなったがやっぱりばらつくところがあり、この元気な曲じゃなければ、気になるかなって思った。この後かなりの楽団員が外れ小編成になる。
・ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調
ソリスト2人と指揮者が出てきた時、ちょっと笑ってしまった。ソリスト2人は非常に長身で2人とも同じぐらい。それに対して広上さんはとても背が低い。
曲が始まってびっくりした。1曲目と違ってオケが完璧にちかいぐらい揃って、かつ いい音をだしている。そしてアマンダさんのチェロ。すごく力強く男っぽい(失礼かな?)。それからズーカーマンのバイオリン。とっても純化した響きで、この切符を買って本当に儲けたとおもった。アマンダさんは 汗をかきかき一生懸命振っている広上さんを、割とじっと見ていて、夫婦で顔を合わせることはほとんどない。それに対してズーカーマンは自分が弾かないときは、振り返ってオーケストラの状況を右から左までじっと見ている。京響も少数精鋭になったことに加えて、天下のズーカーマンが見ているとなったら、やっぱりバシッと締まらざるをえないだろう。
広上さんは動きだす主要パートへ、上半身を回すのではなく、完全に身体を向けて指揮する。背筋はいつも伸びていて、オケを指揮するぞって感じにならなくって、さあいい音をどんどん出してね、私は聴かせてもらうから。そして顔は「いい音が出ている。うれしいよ。曲に酔っちゃった。」という雰囲気のニコニコ 陶酔の顔。流す時はステップして大きく左右へ手を伸ばして回る。音がほしい時は手を大きく上下へバタバタ。肘を曲げずに動かす。そうかといってちゃんとリズムを合わせたいときは、びっくりするぐらい流麗に身体の前で拍を刻む、眼を見開いて。時々だが・・・。 それをすぐ横からアマンダさんがじっと見ている、・・・照れちゃわないのだろうか。
時々ソロで重音が鳴る面白い曲で、ソロ2人、オケとも素敵な曲だった。ズーカーマンのバイオリンはすごくきれいだったけれども、アマンダさんのチェロを一生懸命引き立てようとしているようだった。
演奏者側も出来がよいと思ったようで、演奏終了後にぎやかに検討をたたえあっていたが、アマンダさんが指揮台の上の広上さんと抱き合った時、なんとそれでもアマンダさの背が上に来た。(京響のメンバーがよかったよかったって感じで握手したり肩をたたきあっているのが印象的だった。)
その後ソロ2人はアンコールの曲(グリエールのスケルツォ)をやったが、もう本当に息が合いすぎ。アンコールの挨拶などもアマンダさんがリーダーシップをとっていて、これはきっとズーカーマンは尻に敷かれているのだろうと思った。
交響曲第3番ヘ長調
編成は 上の2曲の中間ぐらい。
協奏曲のオケの緊張感がそのまま続いているかのように、磨かれた演奏だった。そして広上さんのダンスも、いっそう派手さをました。やっぱり先ほどはソロ2人の眼を意識していたのだろう。本当に彼のダンスを見ているだけで楽しい。
この曲は1、2楽章はややにぎやかだが、3、4楽章は本当にロマンチック。特に3楽章はいろんなパートやソロが映画音楽等で有名はメロディを、順に演奏していく。私達の席はオケのすぐ後ろだから、それぞれのソロパートメンバーの始まる前の緊張感と終わった後の解放感を感じることができる。ホルンがとってもいい音を出して おっと思ってみたら、吹き終わった人はやっちゃったって感じがありありと見えた。
4楽章が静かに終わるのを聴きながら、前回聴いた1番と4番、そして今回の3番と並べてみて、交響曲に対するブラームスの考え、表現したいものの変化が少しわかったような気がした。アンコール後広上さんは活躍したと考える人を順番に紹介していが、まずホルンが紹介され大拍手、その後も木管や金管の第3楽章のソロパートの紹介が続いた。大昔の大学の頃、京響の金管は評判は悪かったと記憶している。そして去年の演奏会でももう少しと思っていたが、今回の菅楽器は1曲目を除き素敵だった。
アンコールは「田園組曲」から第2曲「ロマンス」。これは弦楽器のみの曲だが、きっちりと流れていて、今回の菅楽器の活躍もこの弦楽器の基盤があるからこそと思った。
家へ帰る地下鉄の中で、一年たつとオケは全然変わること、そしてオケの後ろの席はやっぱりいいと 配偶者と話し合った。
1枚目:広上さんの熱演
2枚目:ソリスト2人と広上さん
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