大科第三 灑水
灑水し已て偈を説いて唱えて云ふべし、
今法水を浴して諸根を浄む、八功徳水当に知るべし是なり、
実相一味清浄の水、皆一切煩悩の垢を除く。
『続浄土宗全書』巻15・74頁、訓読は原典に従いつつ当方
今度は灑水(洒水)である。灑水は他の宗派の布薩作法でも、行われることが多い。ただし、順番は別の場面でのこともある。なお、ここの「灑水」の意義は、偈を見れば分かる通り、諸根(我々の感覚器官)を浄め、一切の煩悩の垢を除くことを意味している。その意味では、清浄にすることである。
なお、この「灑水偈」だが、典拠は不明である。概念として類似した文脈を見付けることは困難では無いが、しかし、この字句での並びは見付けていない。よって、おそらくは本式のために作られたものである。
本式は、広略両本があったとされる『浄土布薩式』の略本に位置する。よって、註釈である了吟上人『浄土布薩略戒儀尽規』を見てみると、灑水の字句に「散華」の字が加わるかどうかを議論している。もし、灑水・散華である場合は、いわゆる「浄道場」の意味合いも持つことであろう。なお、註釈では『四分律刪繁補闕行事鈔』巻上四「説戒正儀篇第十」を受けて、灑水に続けて散華を行うべきとの立場を採っている。
確かに、布薩説戒であるから、これを律学の「説戒」の作法に準えることは、あり得ることである。
【参考資料】
・宗書保存会『続浄土宗全書』巻15、大正14年
・浄土布薩式(新編浄土宗大辞典web版)
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