魂魄の狐神

天道の真髄は如何に?

日本経済の破綻への私見 第二回

2007-08-11 16:13:53 | 憲法考

   一口で言えば、小泉のとった政策はとても国家として対応したものとは擋言えるものでは無く、個人営業の小泉商店の施策だった。

 バブルがはじけて最初に大きな打撃に会った業種は、もちろん銀行業界だったが、あのバブルの主なるものが土地バブルであったことは周知のことであり、大手流通業界も大きな洗礼を受けたのだ。実際、バルブ崩壊後、地方の大手スーパーで其の儘生き残れたのは、いくばくか?日本で最大のスーパー業界の雄であったダイエイも瀕死の状態まで追い込まれた。

 実は、流通業界に限らず、バブル崩壊以前、日本の企業の実業での企業利潤は危機的状況で、多くの企業で財務諸表に掲げられた利益は、それこそ泡沫とも言えるものだったのだ。日本の多くの企業は売り上げ拡大至上主義を採用せざるを得ず(後に説明する)、企業理念の一つである本業での利潤追求は等閑にされていた。企業が出していたと言うよりは出せた利益は、株価や土地値の高騰などの虚業によって、辛うじて上げられていたと言うのが当時の実態であったにも拘らず、政府のいい加減さも目に余り、破綻が必然なこの状況を受容れ、何も手を打た無い脳天気な無責任ぶりだったのだ。これが高給をとり、天下りを是として血税を貪れるほど優秀とされる官僚の実態なのだ。
 

 再び流通業界に話を戻すと、スーパーダイエイの凋落は流通の神様中西功が引退したからでは無く、バブル崩壊以前からの売り上げ至上主義にならざを得無かった経営戦略の失敗にその原因があったと言える。また、郊外進出型の流通業界は、郊外型店舗を拡張することによって、田舎の消費構造をも変え得たのは事実であるが、多額の設備投資に見合わ無い採算度外視の安売り合戦を行い、とりあえず売上高の増加に偏重した経営を続けていたのだが、土地取得型店舗拡張での流通業の利益は土地価格の高騰によって辛うじて得られたものだった。銀行は鼠講のような流通業界の拡張主義に雷同し、金を貸しまくっていたのだ。

 日銀や大蔵省の金融政策が金余り現象を引き起こし、銀行は貸しどころを無くして余った金を企業の設備投資に使わせることよって、利子利益の確保を図ったのだ。金余り現象自体、アメリカによって強制されたプラザ合意によって齎されたもので、今日の混迷の元も矢張りアメリカ一辺倒の日本政府の無責体質に起因するものだっだのだ。アメリカへの輸出によって最大の利益を得ている日本のある業種の企業からの多額な政治献金をありがたく思う保守政党の配慮が齎した国民への裏切が総ての起因であるのだ。

 政府はバブル時期、土地の高騰を防ぐため、形だけの土地取引の届出制や許可制度を設けたのだが、所謂裏金による取引で二束三文の土地が法外な値段で取引されていたのであり、その付けは国民が苦しむことで払わされているのだ。バブル崩壊によって自殺に追い込まれるほどの損失を出した者は数知れないが、損した者がいれば必ずバブルのお陰で得したものはいるのだ。土地取引の届出も、許可も適正に為されず不当に法外な額で土地を売った地主や政治家がいるのだ。こいつらのことは何故か不問に付されている。その付けを国民に負わせ、社会で格差は当然などと言い切る輩の責任追及は厳しく為されていかなければなら無い。
 

 国会には二世三世の議員がいるが、先代からの資産を引き継いでいなければ、当然、議員で高い位置には進めない。こいつらは、名義は別としても何がしかの企業を複数持っている。であれば、バブル時期に大半の企業と同様に踊らされているならば、お家は断絶している筈だ。それとも、格差は自分らの傷を癒すためのものなのか?事実、大正末期から昭和初期にもバブルの崩壊はあって、貴族議院など多くの有力議員にも代々続いた名家の凋落はあったのだ。

続  く


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