消滅時効 第二回
債権以外の財産権の消滅時効
(債権等の消滅時効)
民法第167条 債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2 債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
所有権は消滅時効に掛からない強い権利であるが、他人が取得時効により所有権を取得したときは、反射的に持ち主の所有権は無くなる。
(1)用益物権
地上権、永小作権、地役権は20年の消滅時効に掛かる。
(2)担保物権(抵当権)
(抵当権の消滅時効)
民法第396条 抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
(3)特別法によって物権とみなされる財産権および無体財産権
これらについては民法で定められている所有権から派生して発生する制限物権とは違って、学説は所有権と同様に消滅時効には掛から無いものとしている。これらのものはそれぞれの特別法で一定期間の存続期間が定められている(鉱業法第18条、55条、特許法第67条)。
○物権とみなされる財産権・・・・・鉱業権、採石権、漁業権など。
○物権とみなされる無体財産権・・・・・特許権、実用新案権、意匠権、商標権など。
(4)物権的請求権
判例通説とも、消滅時効に掛かることは無いとしている。所有権から自動的に派生する請求権であり、所有権が消滅時効に掛らない以上、消滅時効には掛らない。反対説もある。
(5)形成権(取消権、解除権)
前述の通り、除斥期間に掛るものである。期間の定めが無い場合でも、「権利失効の原則」で行くべきである。
もう一つの考え方としては(判例の立場)、「解除をした上での回復請求権が10年の消滅時効に掛るのに、解除権のほうが20年の時効に掛ることとは均衡を失する」とし、「これを10年と解す」(大判大正6年11月4日民録22輯1,965頁)。
解除権を行使する場合の回復請求権も、この10年という枠の中でしか行使できないと解する有力説がある。
順序を間違えたようだ。まずは憲法からこの連載を始めるべきだった。今回で雑駁乍、民法総則変が終わったので民法の「法律考」を一休みして、次回から「憲法」について記載することにする。
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