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精神分析学や社会心理学において、人は無意識のうちに、不満や不快を覚えると、不快感などを他者に対して抱く。
このような現象はあらゆる集団で発生しうるものであり、そうした不快感を押し付けられたり被られたりした個人は、その特定の集団内においてスケープゴートとなる。
それ故、スケープゴートとして犠牲者になるまえに、ユダヤ人達は贖罪の山羊に罪を背負わせ生贄として捧げたのであり、語源となった。
したがって現在ではスケープゴートは冤罪の場合に使われ、人々の不満が集中するのである。
未だにA級戦犯として嫌悪される東條も責任が全く無いとは言えないが、冤罪で処刑されたようなものであろう。つまり東條はスケープゴートにされたか、され続けていると言える。
一方、山口敬之氏に対する誹謗中傷も伊藤氏の告発によって女性の被害感情から生じる不満や不快を無実であったにもかかわらず向けられ続けている。
刑死と失職という軽重があるが、どちらもスケープゴートであることに変わりはない。
更に共通するのは東條をA級戦犯として靖国神社に合祀状態にあることを問題視する連中は国内で未だに日本軍の加害性、つまり南京大虐殺、慰安婦、徴用工問題などを人権問題として遡及的に扱っているということだ。
対中韓という外交、内政干渉的側面も男女間の人権的侵害に細分化することで国境という障壁を無害化している。
山口氏が安倍政権寄りであったことも取りざたされているが、その標的となったことに韓国の加害性であるライダイハンをスクープしようとしたことが連中の敵対心を刺激したに違いないのである。
伊藤氏の背景に女性国際戦犯法廷があることは周知の事実であるが、この団体が2001年にオランダで出した最終判決を最後に示して終わる。
「天皇裕仁及び日本国を、強姦及び性奴隷制度について、人道に対する罪で有罪」
日本の戦争は終わっていない。