シートン動物記「タラク山の熊王」より
そびえ立つシェーラ山の山腹に生まれた河は、生き延びて成長し、山の松林をくぐりぬけ、ずっと今日まで流れ続けて来た。人間が作り出した数々の邪魔物を踊り越え、強大な力を蓄えて平原へ押し出し、洪水の様にあふれて平原を荒し回った後、遂に湾に追い込まれ、捕らわれの身となって、ゴールデン・ゲートの檻の中にじっと横たわっているのだ。しかもいまだに、永遠の自由を求め、狂おしく檻の中を行きつ戻りつし続けながら、虚しく自由を求め続けているのだった。
私がこの物語にはじめて出逢ったのは、小学校2年生の頃、書名は、「熊王物語」であった。その時の私は、この灰色熊ジャックが、私自身の運命なのだ等と、知る由も無かった。
令和3年8月20日
吉尾 公一🇯🇵✡️☮️