感謝は癒し 平成25年2月20日
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昨日は 感謝と生きる意欲について、今日は、
感謝と癒しについてです。今まで、何度か、
感謝の心が、健康に与える影響をテーマにしました。
内田医師の現場からも、同様のレポートが
発信されています。まず、レポートの内容を、そのまま
引用させていただきます:
”①意識混沌状態で入院した脳溢血の80歳の男性の例:
昼夜かまわず、病院全体に響き渡る大声でわめき散らす。
’他の患者さんにご迷惑かけますから、麻酔薬で眠らせて
静かにさせてください’
と、老奥様が頼みに来られた。
’夜は安定剤の注射をしますが、昼間は、思う存分大声を
出させてあげてください。
このご主人は、優しくて、おとなしい、真面目な方だった
のでしょう?
今、息子さんたちが立派にお店の跡継ぎをしているのは、
ご主人のよき性格を受け継いでいられるからです。
男の人は自分のやりたいことを思い切りやってみたい
本能があるんですが、優しい性格の反面、辛抱して
こられたのではないでしょうか?
私が責任を持ちますから、一生に一度、大声を出して
発散させてあげてください’
と丁寧にお願いすると、奥様はご主人の生い立ちを
話し出した。
’小さいころ、親に死別し、厳格な他人の家で育てられ、
わがままも言わずに成長してきました。
それに、結婚後も、私が 養子娘で、気が強いので、
夫の発言をいつも抑えてきました。
ほんとに悪かったですわ。ごめんなさい。’と
主治医の私に頭を下げられた。
そこで、’意識モウロウ状態でも、夫婦の気持ちは直通
ですから、ご主人に謝ってください。あなたは、率直な
良い奥様ですね’と言って、私は、患者さんと この
妻の手を握り合わせて、私の両手でしっかりと包んで
あげました。
早速、妻が夫に謝り、感謝すると、閉じていたおじいさん
の両眼から 涙がぽろぽろ流れている。
この日から、おじいさんの大声は ピタリと止まった。
’私は74歳のこの年になって、初めて、本当の夫婦に
なった気持ちがします。
ほんとうに有難うございました。’
そのあとで、そう、奥様からお礼を言われた。”
この実例が感謝が癒しにつながるということを教えて
くれます。感謝と調和の家族が 96歳の高齢なリハビリ
患者に与える、効用も次のケースでわかります。
②例 ”脳膜下血腫の96歳の男性の例です。
左半身、運動麻痺のために、リハビリ目的の入院で
こられた。生来、健康で皮膚は若若しく、頭髪は黒くて、
20歳は 若く見える。
胸部レントゲン写真を見ると、肺や血管の陰影は
若若しく、脊椎骨の老化が少なく、背柱も真っ直ぐだ。
ご家族もおだやかで、謙虚で、素晴らしい方達だった。
’立派に生きてこられた方でしょうね。良く働き、良く
勉強されて、行いが正しく、優しくて、おおらかな方
でしょう?’ と お尋ねすると、
’本当にそのとおりです。娘の口から言うのも変ですが、
実に立派な良い父親です。 良く お分かりですね’
’でもね、私たち夫婦は よく言い合いをするのですけどね
・・’と、傍らの奥様も口を挟まれます。”
このご家族の愛情の通い合った会話を聞きながら、
内田医師は、ご家族の日常生活も円満で落ち着いている
ことが察せられたと言います。
96歳でリハビリ目的で入院され、意欲も盛んで、
入院生活でも趣味を生かし、俳句をたしなみ、新聞や
英語の書物を丹念に読むなど、していたそうです。
そして、脳CT検査に 広範囲の硬膜下血腫の影が
みられたものの、次第に吸収して、半身不随が癒え、
数か月後、自力で歩いて退院したのでした。
こうして、今までの数例の実例から、病気で入院
しても、家族や本人の心持、や 気持ちの持ち方で、
症状が早く改善したり、かえって、重くなったりすると、
内田医師は述べています。
さらに、家族の間の調和、優しさの交換、信頼
などが、患者に無意識の 良くろうとする意欲
を喚起することも、内田医師は見てきています。
喜びと安心、それが、患者の一番のくすりでもあるのです。
次は、心拍が3つに一つだけ、心室に伝わるという、脈拍が
一分間に30しかない患者の例です。
内田医師はこの患者を国立循環器病センターへ移送する手筈を
整えながら、精神身体医学的立場から、考察しました。
子どもがない。ご主人も他界している。
娘のように、頼りにしていた、姪御さんがいる。
そこで、内田医師は この姪御さんを呼び出して、
付き添ってもらうことにしました。
すると、姪御さんが側で付き添って介護していると、
心電図のモニターの波形に変化がでてきました。
とても、良くなってきたのです。
今まで、完全にブロックされていた心房の刺激が
姪御さんが来ると、3つに2つは心室に伝わっている
状態になったのでした。
ところが、姪御さんが病人の世話をして、帰って
いくと、モニターの波形が再び、変形する。
悪くなるのでした。
時間がたつにつれ、完全に、ブロックされ、患者に、
めまいが始まってしまった。
その因果関係がはっきりしたのは、翌日のことでした。
内田先生が、詰所の心電図のモニターを見ていると、
再び、波形が正常になってきました。
思い当たる予感で、病室を急いで覗いてみると、やはり、
姪御さんが来られていた。
其の後、循環器病センターへ転送されたものの、
状態が良いので、ペースメーカーの手術をしないで
退院になったということです。
姪御さんの愛情が、まさしく、心臓房室 ブロックの
ペースメーカーそのものの働きをしたと、内田医師は
書いています。
内田医師は、こうした 肉親の信頼ある愛情交流が
心臓の働きに良い影響を与えることを波形で現れた、
心電図のモニターとともに、目撃・認証したのでした。
まさに、 感謝と愛情 は、心を明るくするだけでなく、
体に、大いなる力を与える源でもあると痛感させられる
実例です。
参考資料: ”生命医療を求めて” 内科医 内田久子著
平成7年11月1日18刷発行 発行所 日本教文社
内田医師について:
昭和2年大阪生まれ・昭和25年大阪女子高等医学専門学校
(現在関西医大)を卒業。その後 大阪大学附属病院、池田市立病院、
国立療養所、私立病院内科部長を経て講演活動も行った。
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