自然治癒力セラピー協会=Spontaneous Healing Therapy Japan

自然治癒力を発揮させるために、心と体の関係を考えます。

悟りと食べ物

2013年09月20日 | 健康を実現するための言霊(マントラや真言)

 食前の祈り   平成25年9月20日

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インド, 菜食主義者, 食品, 香港

 

エゴ意識、または、自我意識(アハムカーラ)と食べ物

の関係について、考えてみたいと思います。

大我(たいが)に至ることは、ある意味悟りを開くこと

でもあります。自分の中の究極の 自分という個別化した

意識のない本質的自己を知るには、食べ物の重要性が

昔より言われています。

 

現代栄養学ではすべての栄養素、タンパク 質脂肪炭水

化物、ビタミンミネラル、その他 バランス良くとる

ことを提唱しています。

さらに、タンパク質には、植物性も動物性も ともに

大切だとして、それぞれの特質などもよく知られる

ところです。

しかし、精神的、霊的になるためには 菜食主義である

べきだとする意見は、古来インドでも、神道でも、

いまだに残っています。

その理由は、様々あげられていても、納得性のある

説明はなかなかできないのがほんとうの所です。           

 

そこで、今日は菜食主義を インドの完全菜食主義の

方たちや僧侶の言葉を参考にまとめてみたいと思います。

まず、”霊的な” という意味から考えてみましょう。

霊的になれないのはどうして?

それは、執着 と 利己主義(我)が一番のネックだ

というのです。

 

次の苦行僧お話しがそれをわかりやすいように、説明

しています。

ある日、世俗を放棄したことで有名な苦行僧が、道端で

眠っていました。

彼は ヒョウタンでできた、水入れを枕代わりに頭の下

に敷いていました。それはある意味、ヒョウタンの中

にある、水を誰かに飲まれたくない、”という想いの

現れだと、それを見た知恵ある人が 見て取りました。

 

そこで、その知恵者は大声でこう言いました。

“皆、すべての物を放棄していることで有名なあの

お坊さんが、川端で寝ているよ。よく、見てごらん。

執着が無いと言っておきながら、あの水の入った

ヒョウタンに 執着しているのは 変じゃないか?“

この言葉を耳にして、苦行僧は眼をさまし、皆の

笑いものにされていることに腹をたてました。

しかし、気持ちを抑えて、心でつぶやきました。

 

“結局、あの知恵者はただの煩悩者だ。 

自分に対してどう振る舞うかそれを教えようとする

資格などない。“

 

そこで、その知恵者が 河で水浴びを終えるまで、

そのまま寝たふりをし、河から上がってきたところで 

行僧は体を起こして、さも、ヒョウタンに執着は

無いとばかり、そのヒョウタンを知恵者の足元に

投げつけました。

すると、知恵者はこの行為に対して、苦行僧の心の内

見て取りました。そこで、また、大きな声で周囲の

人たちにこう呼びかけました。

 

”おや、あの人は執着だけではなく、アハムカーラ

(小自我意識)にも満ちている”ヒョウタンへの執着が

無い と 見せつけるため、それを、わざと投げ

つける行為で、証明しようとする僧の、小さな

自分意識のプライド怒り がそうさせている

ことをこの知恵者は見てとったのです。

 

この言葉を聞いて、即座に、この苦行僧は知恵者

ただ者ではないこと気がつき、足元に身を投げて、

知恵者の真実を見抜く、アートマに対し、畏敬を

示し、謝罪するとともに、自分の非を認めたと

いう話です。

          

この例にみられるように、どんなに苦行した僧

ですら、執着と小自我意識を放棄することは難しい。

そして、この、ふっと心からわく、想念や感情が 

食べ物が一要因になっていると インドの聖者は

言います。

それは不当な食べ物のせいだというのです。

不適当な食べ物とは、不正な手段で手に入れた

食物、不正な想いで調理された料理、などが

挙げられます。

 

さらに、”悲しみの感情を殺される前に味わった

生き物”の摂取 などもその要因となっている

ために、肉食が禁じられているともいえるの

でしょう。

 

”不当な食べ物”に関しては。ギータに登場する

ビーシュマの口からこれを語ってもらいましょう。

 ビーシュマ は偉大な 賢者 として名をはせて

いました。

さらに、偉大な自己放棄の信念の持ち主でも有名です。

彼は 一生かけて、父親の命に従うことを良しとした

のです。

 

ビーシュマという名前の起源は、サンスクリット語で

“人間の歴史に並ぶもののない、偉大な決断力と誓い

厳守“ という意味だと言います。

 

しかし、ギータの中の、クリシュナとの闘いでは、

彼は敵にまわり、アルジュナの打った矢で傷つき、

クルクシェトラ闘いから九日目で倒れました。 

ビーシュマは アルジュナの大叔父でもありました。

そこで 敵とはいえ、偉大な叔父を理解している、

アルジュナはじめ、5人兄弟たちは 一人の妻を

伴い、見舞いに行ったのです。

 

ビーシュマは 厳格な決意とともに、矢でつくった

寝床に体を横たえながら、兄弟たちに”義”(ダルマ)

についての話をはじめました。

すると 兄弟の妻(兄弟たちは、一人の妻を共有して

いた)が笑い出したのです。

失礼な行動だと、一瞬、兄弟たちの顔に緊張が走りました。

その雰囲気にもかかわらず妻は話し始めました。

 

“おじ様。お許しください。

でも、あなた様が今、義 について、語ろうとされる。

実際、其の話は、私たちが闘っている敵、あの、

邪悪な心の カウラヴァ兄弟に教えて差し上げるべき

でした。

その 義の話私の 高貴で有徳の夫たちに語って

おいでになり、私には、矛盾した無駄なことと思った

ら、つい可笑しくなって笑い声をたててしまったのです。“ 

 

ビーシュマはそれを聞いて、次のように答えました。

“あのような恥知らずの悪い想いの人たちに仕え、

食べ物を得てきた私、彼らからの恵みで暮らしてきた私、

その結果私の血は濁ってしまったのだ。

私の中のあらゆる清い想いは それによって、押さえ

つけられていたのだよ。

 

アルジュナの矢が私の不純な血を抜き去ってしまう

までは。

しかし、その汚れた血が抜き取られた今、私の中に

埋もれていたダルマ(義)の想念が噴出して、

それを あなたの夫たちに伝えるようにと促し、

このような話をしたのだよ。“

                                   

摂取する食べ物の如何が、人間の道徳的長所短所に

影響するというのはインドの太古より、知られている

ことでした。

ビーシュマの言うように、邪悪なカウラヴァ兄弟の

不浄な心で得た食べ物を共に食していたこと、

あるいは賄賂やだましたりて得た金銭で買った

食べ物、それらは、純粋な食べ物として、心と体

健全に保つ要素にはならないと、いうこと

なのでしょう。

 

不浄か、適切でない食べ物であっても、それを、

浄化する方法があるのです。それが本来の食前の

祈りの意味合いでもありました。

祈りを捧げることで、不浄を浄に、できると

言います。ごく日常の一コマとして、食事の前に、

手を合わせて”頂きます” と、日本人は言います。

印度でも、日常的に、食物を浄化する祈りが

ささげられてきました。 

 

その中でも一番、短い真言、マントラをご紹介

すると、次ようなものです。

“アンナム・ブラフマ・ラーソ・ヴィシュヌ、

ボクター・マヘーシュワラー“ここには 印度の

宇宙三神の名前が出てきます。

それぞれ、宇宙の創造、維持 破壊の神、三位一体

の神で宇宙原理の三様式でもあります。

このマントラはどういうことかと言うと・・・

 

個体の食物は 新生の神 ブラフマ、 飲む水と

液体は維持神、ヴィシュヌ、そして、その食事を

楽しむのが破壊と創造神、シバ神、という意味です。

ですから、食事をまず、この三神に捧げる供え物

とし、それを感謝をもって戴くということになります。

 

この三神 の三 の意味は、想念と言葉、行為

三つの純粋性が一致するようにという意味合いが

含まれます

これからいただく食物を神に感謝するとともに、

こうした 自分自身の行動と心、言葉の、浄化の

祈りでもあるわけです。

インドでは神に捧げられた供え物を プラサート

と呼びます。プラサートは、お供え物の意味でも

使われます。印度寺院では、信者が神にお供え物

を盆にいれて祭壇の前に、恭しく捧げると、そこに、

聖水を、僧侶がかけて、再び、信者に戻して

くれます。

 

結婚式、就職祝い、引っ越しの挨拶、喜び事が

あると、印度では 食べ物をこうして、プラサート

に変えて、近隣の人たちに配ります。

神様からの祝福された食べ物、甘いお菓子が

多いのですが、それを頂きながら、悦びを共有します。

 

プラサートすることで、食物の不純性が聖化されて、

それをいただくことで、我々の血となり肉となる

食物成分が純粋に作用すると信じられているのです。

 

 インドクジャク, 孔雀, くじゃく座町, 緑, 動物園

 

 

 

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