今年( 2020年)7月20日(月)の京都新聞夕刊に「ササ、高山植物脅かす 温暖化で山岳地帯に急速拡大 自治体、対応に悩み」という記事が出ていた。温暖化で雪解けが早まり、土壌が乾燥し、ササが希少な高山植物に取って代わっている、というのだ。ササは外来種ではないが、気温の変化で急拡大しているというのだ。こんなところにまで地球温暖化の影響が出てきているとは!以下に記事全文を紹介しておく。
日本各地の山岳地帯でササの生息域が急速に拡大し、高山植物が脅威にさらされている。地球温暖化の影響で雪解けが早まり、土壌の乾燥が進行。従来の高山植物にササが取って代わっている。山岳地帯の一部は国立公園に指定され、安易に手を加えられない上、刈り取りには労力や費用を要し、自治体や環境省は対応に頭を悩ませている。
「高山植物が絶滅の危機にひんする恐れもある」。北海道大の工藤岳(くどう・がく)准教授(58)(生態学)は指摘する。北海道の大雪山国立公園ではチシマノキンバイソウやエゾノハクサンイチゲなどへの影響が心配されている。工藤准教授らが航空写真などで調べた結果、同公園の標高1400メートル以上の一帯で、チシマザサの面積が1977~2017年の40年間で31%拡大。17年にはこの一帯の11%を覆った。過去30~40年で10年当たり約0.4度のペースで平均気温が上昇し、雪解けは10年当たり約4日の速度で早まっている。
背丈が比較的高いササが日差しをさえぎり、他の植物の光合成を妨げる上、多くの水分を吸収するので土壌が乾燥し、湿潤な環境を好む高山植物が生息できなくなる。工藤准教授は「高山植物の花を利用する昆虫にも影響を及ぼし、花粉が運ばれず、植物が受粉できなくなる」と懸念する。公園を管理する環境省はササの具体的な状況を把握しきれず、担当者は「大規模な問題でどう対処していいか分からない」と頭を抱える。
近年の研究によると、同様の問題は石川、岐阜両県などにまたがる白山(2702メートル)や新潟、群馬県境の平ケ岳(2141メートル)でも確認されている。また、富山県中央植物園(富山市)が北アルプスの立山(3015メートル)の室堂平のササ群落5カ所を調査した結果、77年の計1760平方メートルから15年には2倍以上の計3600平方メートルに拡大。チングルマやイワイチョウなどの生育域に侵入している。
北海道の礼文島では、島固有のレブンアツモリソウなどを守ろうと、16年から地元自治体を中心に秋にササを刈り取る。だが、島の一部は国立公園に指定され、手を加えるにも手続きが煩雑で、大規模な刈り取りを実行に移せたとしても「業者への委託料がかかったり、車でアクセスできない場所には機械を手で運ばなければならなかったりする」(礼文町職員)という。
中部地方を中心にササの調査を行ってきた富山県中央植物園の高橋一臣(たかはし・かずおみ)課長補佐(52)は「ササは外来種ではなく、全てを駆除する必要はないが、希少種が多く、環境の変化に敏感な場所を選択して、重点的に手を加えるのが一つの方法。長期的なモニタリングが重要だ」と話した。
エコロジー(Ecology)は、「風が吹けば桶屋が儲かる」だと教わった。一見無関係と思われる事象が、ドミノ倒しのように次々と連鎖反応が起きるのだ。地球温暖化がササを増やし、おかげで高山植物が衰退し、昆虫の生態までが変わってしまうとは!
スーパーのレジ袋有料化が実施された。このような身の回りの少しの環境配慮が温暖化のスピードを緩める。国民1人1人の自覚が必要だ。
日本各地の山岳地帯でササの生息域が急速に拡大し、高山植物が脅威にさらされている。地球温暖化の影響で雪解けが早まり、土壌の乾燥が進行。従来の高山植物にササが取って代わっている。山岳地帯の一部は国立公園に指定され、安易に手を加えられない上、刈り取りには労力や費用を要し、自治体や環境省は対応に頭を悩ませている。
「高山植物が絶滅の危機にひんする恐れもある」。北海道大の工藤岳(くどう・がく)准教授(58)(生態学)は指摘する。北海道の大雪山国立公園ではチシマノキンバイソウやエゾノハクサンイチゲなどへの影響が心配されている。工藤准教授らが航空写真などで調べた結果、同公園の標高1400メートル以上の一帯で、チシマザサの面積が1977~2017年の40年間で31%拡大。17年にはこの一帯の11%を覆った。過去30~40年で10年当たり約0.4度のペースで平均気温が上昇し、雪解けは10年当たり約4日の速度で早まっている。
背丈が比較的高いササが日差しをさえぎり、他の植物の光合成を妨げる上、多くの水分を吸収するので土壌が乾燥し、湿潤な環境を好む高山植物が生息できなくなる。工藤准教授は「高山植物の花を利用する昆虫にも影響を及ぼし、花粉が運ばれず、植物が受粉できなくなる」と懸念する。公園を管理する環境省はササの具体的な状況を把握しきれず、担当者は「大規模な問題でどう対処していいか分からない」と頭を抱える。
近年の研究によると、同様の問題は石川、岐阜両県などにまたがる白山(2702メートル)や新潟、群馬県境の平ケ岳(2141メートル)でも確認されている。また、富山県中央植物園(富山市)が北アルプスの立山(3015メートル)の室堂平のササ群落5カ所を調査した結果、77年の計1760平方メートルから15年には2倍以上の計3600平方メートルに拡大。チングルマやイワイチョウなどの生育域に侵入している。
北海道の礼文島では、島固有のレブンアツモリソウなどを守ろうと、16年から地元自治体を中心に秋にササを刈り取る。だが、島の一部は国立公園に指定され、手を加えるにも手続きが煩雑で、大規模な刈り取りを実行に移せたとしても「業者への委託料がかかったり、車でアクセスできない場所には機械を手で運ばなければならなかったりする」(礼文町職員)という。
中部地方を中心にササの調査を行ってきた富山県中央植物園の高橋一臣(たかはし・かずおみ)課長補佐(52)は「ササは外来種ではなく、全てを駆除する必要はないが、希少種が多く、環境の変化に敏感な場所を選択して、重点的に手を加えるのが一つの方法。長期的なモニタリングが重要だ」と話した。
エコロジー(Ecology)は、「風が吹けば桶屋が儲かる」だと教わった。一見無関係と思われる事象が、ドミノ倒しのように次々と連鎖反応が起きるのだ。地球温暖化がササを増やし、おかげで高山植物が衰退し、昆虫の生態までが変わってしまうとは!
スーパーのレジ袋有料化が実施された。このような身の回りの少しの環境配慮が温暖化のスピードを緩める。国民1人1人の自覚が必要だ。
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