奈良県下で木材・木製品を商う企業の展示を見てきた。10/16~17に催された地元銀行主催のビジネスフェア(展示商談会・全91社)に、4社出展されていたのだ。
1社目は、冒頭の写真左端のダイワ産業(株)(高市郡高取町)。ひのきチップの応用品を作っている。同社のHPには《林業・木工業の盛んな奈良県南部では古くから地場産業として、様々な木製品が作られてきました》。
《良質な木材と伝統の技にのみ頼るのではなく、常に新しい技術を研究開発していく姿勢を持つことが大事であると考えています。木材の研究機関である「奈良県森林技術センター」の協力のもと、耐カビ性に関する試験行ったり、接着剤や塗料などは、専門のメーカーとの共同開発によって、素材や用途に対して、より適したものを研究開発してきました》とある。
http://www.daiwa70.com/index.html
ダイワ産業のブース。左端は中西正幸社長
展示されていたのは、ひのきチップを固めた「建築用内装材」や、ひのきの香りを抽出した「ひのき消臭剤」などだ。展示ブースに近づくだけで、フィトンチッドの良い香りがする。ひのきのチップを枕やふとんに埋め込んだ製品もあり、リラックス効果が得られるそうだ。
ダイワ産業の製品
2社目は、川上産吉野材販売促進協同組合(吉野郡川上村 愛称:川上さぷり)。ビジネスフェアのガイドブックには、《住宅に係る全ての部材一式を提供する事により、販売の窓口を開き新たな流通を開拓している。また、地元吉野材によるインテリア「据置型フロアーパネル」等の商品開発を行い、側面より更なる吉野材の需要開拓を目指している》とある。
川上さぷりのホームページより
上の写真が「据置型フロアーパネル」のポスターだ(集成材ではなく、無垢の天然材である)。杉は英語で「Japan Wood」というそうだが、このポスターはJapan Woodの香りや質感をうまくビジュアルで表現している。組合のHPには《和の安らぎ、心地よさをもっと気軽に味わっていただきたい。その気持ちをこめて置き床パネル「板の間」を誕生させました。座禅や瞑想の空間、武道、生け花、お茶のおもてなしの空間に》とある。
http://www.yoshinosugi.net/
このサイズのパネルを何枚か並べて使う
カーペットや畳の上にもそのまま置ける。ずっしりと重く、杉の良い匂いがする。お値段は4ピースセット85,000円、6ピースセット125,000円、追加1ピース25,000円だ。簡単なアンケートに答えると、杉のブロック(端材)をいただいた。部屋に置いておくだけで、とてもいい香りがする。
3社目は奈良県集成材協同組合(桜井市)。フェアのガイドブックには《集成材の特長は、天然木よりも強度・性能が良く、乾燥材を使って製造する為、狂い・収縮が減少されます。集成材は、幅・厚み・長さを自由に調整できる上、湾曲材も製造でき、高耐久・高耐震・高気密住宅に最適な部材といえます》とある。
鴨居も長押(なげし=柱と柱をつなぐ材)も集成材
施工例として、組合のHPに京都のJR二条駅の写真が出ていて、驚いた。あの複雑な骨組みは、ベイマツ(米松)の集成材だったのだ。集成材が良いか、無垢(天然)材が良いか、という二者択一でなく、目的や用途に応じて使い分ければ良いということなのだ。
JR二条駅(同組合のホームページより)
おしまいが(株)マルヨシ(五條市)。フェアのガイドブックには《割箸・楊枝・すし桶などの家庭用品メーカーとして創業50年、人と環境に優しい天然素材の良さを追求しています。この度、国内産杉間伐材を使用した割箸を「森林を育てる割り箸」というネーミングで製造販売を開始しました》とある。
森林を育てる割箸(マルヨシのホームページより)
マルヨシの製品
同社のHPによると《本製品は100%国産の杉間伐材で作った割箸です。(中略) 杉やヒノキなどの人工林は、植林するときに一本一本の間隔を狭めて植えます。そのままでは大きく育ったときに十分な日光が当たらないので、間伐をしなければばりません。十分な手入れができずに放置された森林は荒廃し、台風などで容易に倒れてしまう弱い木しか育ちません。森林は間伐することによって木が生き生きと強くなり、二酸化炭素の吸収も大きくなり、日本の森林の活性化と地球温暖化防止の為に貢献することになります。文字通り本製品は「森林を育てる割箸」なのです》。
《材料産地限定製造(石川県、北海道)という割箸では初めての商品作りを試みました。また商品は全国森林組合連合会の主催する“間伐材認証マーク”を使用した森林・緑を連想するシンプルなデザインです》。北陸や北海道でなく、ぜひ吉野の間伐材を使っていただきたいところだが、「間伐材認証マーク」はどんどん広めていただきたいものだ。同社は短く収納できるお弁当用のプラスチック箸「イート・スティック」というアイデア商品も開発している。
イート・スティック(ホームページより)
ひと口に木製品といっても、いろんな種類があるものだ。いくらプラスチックや金属類に置き換えられても、日本人には、やはり身の回りに木を置きたいという潜在意識があるのだろう。
以前、田中淳夫さん(森林ジャーナリスト)のブログでは、「たこ焼きのフネ(舟皿)は、やはり木製でなければならない」という話で大いに盛り上がったが、「この商品は木製、しかも国産材でなければならない」というイメージを確立することが大切なのだろう。その意味で、川上さぷりのフロアパネル(少々高価だが)は、良いところに目を付けている。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2007/12/post_ab24.html
フェアの看板娘たち。いずれアヤメかカキツバタ
今から木造の家に建て替えるのは大変だが、調度品や身の回り品に国産の木製品を採り入れるのは、そう難しくない。地場産業育成のためにも、日頃から心がけたいと思う。
1社目は、冒頭の写真左端のダイワ産業(株)(高市郡高取町)。ひのきチップの応用品を作っている。同社のHPには《林業・木工業の盛んな奈良県南部では古くから地場産業として、様々な木製品が作られてきました》。
《良質な木材と伝統の技にのみ頼るのではなく、常に新しい技術を研究開発していく姿勢を持つことが大事であると考えています。木材の研究機関である「奈良県森林技術センター」の協力のもと、耐カビ性に関する試験行ったり、接着剤や塗料などは、専門のメーカーとの共同開発によって、素材や用途に対して、より適したものを研究開発してきました》とある。
http://www.daiwa70.com/index.html
ダイワ産業のブース。左端は中西正幸社長
展示されていたのは、ひのきチップを固めた「建築用内装材」や、ひのきの香りを抽出した「ひのき消臭剤」などだ。展示ブースに近づくだけで、フィトンチッドの良い香りがする。ひのきのチップを枕やふとんに埋め込んだ製品もあり、リラックス効果が得られるそうだ。
ダイワ産業の製品
2社目は、川上産吉野材販売促進協同組合(吉野郡川上村 愛称:川上さぷり)。ビジネスフェアのガイドブックには、《住宅に係る全ての部材一式を提供する事により、販売の窓口を開き新たな流通を開拓している。また、地元吉野材によるインテリア「据置型フロアーパネル」等の商品開発を行い、側面より更なる吉野材の需要開拓を目指している》とある。
川上さぷりのホームページより
上の写真が「据置型フロアーパネル」のポスターだ(集成材ではなく、無垢の天然材である)。杉は英語で「Japan Wood」というそうだが、このポスターはJapan Woodの香りや質感をうまくビジュアルで表現している。組合のHPには《和の安らぎ、心地よさをもっと気軽に味わっていただきたい。その気持ちをこめて置き床パネル「板の間」を誕生させました。座禅や瞑想の空間、武道、生け花、お茶のおもてなしの空間に》とある。
http://www.yoshinosugi.net/
このサイズのパネルを何枚か並べて使う
カーペットや畳の上にもそのまま置ける。ずっしりと重く、杉の良い匂いがする。お値段は4ピースセット85,000円、6ピースセット125,000円、追加1ピース25,000円だ。簡単なアンケートに答えると、杉のブロック(端材)をいただいた。部屋に置いておくだけで、とてもいい香りがする。
3社目は奈良県集成材協同組合(桜井市)。フェアのガイドブックには《集成材の特長は、天然木よりも強度・性能が良く、乾燥材を使って製造する為、狂い・収縮が減少されます。集成材は、幅・厚み・長さを自由に調整できる上、湾曲材も製造でき、高耐久・高耐震・高気密住宅に最適な部材といえます》とある。
鴨居も長押(なげし=柱と柱をつなぐ材)も集成材
施工例として、組合のHPに京都のJR二条駅の写真が出ていて、驚いた。あの複雑な骨組みは、ベイマツ(米松)の集成材だったのだ。集成材が良いか、無垢(天然)材が良いか、という二者択一でなく、目的や用途に応じて使い分ければ良いということなのだ。
JR二条駅(同組合のホームページより)
おしまいが(株)マルヨシ(五條市)。フェアのガイドブックには《割箸・楊枝・すし桶などの家庭用品メーカーとして創業50年、人と環境に優しい天然素材の良さを追求しています。この度、国内産杉間伐材を使用した割箸を「森林を育てる割り箸」というネーミングで製造販売を開始しました》とある。
森林を育てる割箸(マルヨシのホームページより)
マルヨシの製品
同社のHPによると《本製品は100%国産の杉間伐材で作った割箸です。(中略) 杉やヒノキなどの人工林は、植林するときに一本一本の間隔を狭めて植えます。そのままでは大きく育ったときに十分な日光が当たらないので、間伐をしなければばりません。十分な手入れができずに放置された森林は荒廃し、台風などで容易に倒れてしまう弱い木しか育ちません。森林は間伐することによって木が生き生きと強くなり、二酸化炭素の吸収も大きくなり、日本の森林の活性化と地球温暖化防止の為に貢献することになります。文字通り本製品は「森林を育てる割箸」なのです》。
《材料産地限定製造(石川県、北海道)という割箸では初めての商品作りを試みました。また商品は全国森林組合連合会の主催する“間伐材認証マーク”を使用した森林・緑を連想するシンプルなデザインです》。北陸や北海道でなく、ぜひ吉野の間伐材を使っていただきたいところだが、「間伐材認証マーク」はどんどん広めていただきたいものだ。同社は短く収納できるお弁当用のプラスチック箸「イート・スティック」というアイデア商品も開発している。
イート・スティック(ホームページより)
ひと口に木製品といっても、いろんな種類があるものだ。いくらプラスチックや金属類に置き換えられても、日本人には、やはり身の回りに木を置きたいという潜在意識があるのだろう。
以前、田中淳夫さん(森林ジャーナリスト)のブログでは、「たこ焼きのフネ(舟皿)は、やはり木製でなければならない」という話で大いに盛り上がったが、「この商品は木製、しかも国産材でなければならない」というイメージを確立することが大切なのだろう。その意味で、川上さぷりのフロアパネル(少々高価だが)は、良いところに目を付けている。
http://ikoma.cocolog-nifty.com/moritoinaka/2007/12/post_ab24.html
フェアの看板娘たち。いずれアヤメかカキツバタ
今から木造の家に建て替えるのは大変だが、調度品や身の回り品に国産の木製品を採り入れるのは、そう難しくない。地場産業育成のためにも、日頃から心がけたいと思う。