モノトーンでのときめき

ときめかなくなって久しいことに気づいた私は、ときめきの探検を始める。

サルビア・セミアトラータ(Salvia semiatrata)の花

2009-10-29 10:44:26 | セージ&サルビア
(写真)サルビア・セミアトラータの花


「サルビア・セミアトラータ」は、美しい二つの色を持ついわゆるbicoloredの花で知られる。
サルビアに共通の口唇形の花であり、下唇にあたるところが濃い目の青紫、上唇が淡い青紫、さらに萼が赤紫と自然が生み出す配色の妙を感じる。

葉は、ゴワゴワした明るい緑色で、花のない時期にはこの葉の色だけでも十分に楽しめる。
枝は木質化するが直立する傾向があり、丈を詰めることによってわき芽を出させて葉と花を増やすように仕立てる。

耐寒性が強いので、冬場でも戸外で育てられる。

        

この「サルビア・セミアトラータ」は、メキシコ、オアハカ州のシェラマドレ山脈の標高2000mあたりの松林のふちに生息し、この地形は、夜は厳しく夏は雨が降るゴロゴロした石がある荒地のようだ。

「サルビア・セミアトラータ(Salvia semiatrata Zucc.)」と命名したのは、メキシコの植物を研究したドイツの植物学者でミューヘン大学教授ツッカリーニ(Zuccarini, Joseph Gerhard 1797-1848)であり、1829-1830年に命名されている。

ツッカリーニは、日本、メキシコの植物の分類などを行ったが、なんといってもシーボルトとの日本植物の分類などで『日本植物誌(Flora Japonica)』を共著したことで知られている。
彼がいなければ、シーボルトの日本研究の成果は誕生しなかったかもわからない。

命名された時期から見て、この植物が採取されたのが1800年代初期ということになるが、誰が採取したかよくわからない。
ミズリー植物園のデータでは、プリングル(Pringle, Cyrus Guernsey 1838-1911)が1894年にメキシコ、オアハカ州、Las Sedasの2000mの山中で採取した記録が最も古い。

プリングルは、「サルビア・レウカンサ」 「サルビア・エレガンス」などメキシコの美しい花を採取している。

(写真)サルビア・セミアトラータの立ち姿
        

サルビア・セミアトラータ(Salvia semiatrata)
・ シソ科アキギリ属の耐寒性がある小潅木だが霜には当てない方がよい。
・ 学名はSalvia semiatrata Zucc.。
・ 原産地はメキシコ、オアハカ州のシェラマドレ・デルシューの標高2000m地帯に生息。
・ 草丈は1mから1.5mと高いので、摘心をして丈をつめ、枝を増やすように育てる。
・ 木立になるので、年数がたつと鮮やかな緑の葉と枯れた感じの枝の風合いが良い。
・ 開花期は夏から秋ということだが、10月中旬から12月に咲く。
・ 萼(がく)は薄い赤紫、花がツートンカラーで口唇形の下部が黒味が入った青紫、上部が白味が入った青紫で珍しい配色の組み合わせだ。種小名のsemiatrataは、二色を意味するbicolored。
・ 10月までにさし芽で殖やす。

命名者:
ヨーゼフ・ゲアハルト・(フォン・)ツッカリーニ(Zuccarini, Joseph Gerhard 1797-1848)
ドイツの植物学者、ミュンヘン大学の植物学教授。シーボルトが日本から持ち帰った植物標本の分類を担当し、共著で『日本植物誌』を著する。メキシコの植物の研究者でもあった。

『日本植物誌』
P. F. von Siebold and J. G. von Zuccarini 『Flora Japonica』, Leiden, 1835-1870


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4 コメント

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和さん (キャスパー)
2009-10-30 19:22:37
荒地に咲く花は素朴だが、蜂をひきつける魅力を作り出したようです。
葉が乾燥に強そうなサボテン的な感じもします。


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今晩は。 (kazuko)
2009-10-30 18:01:55
今晩は。拝見しました。昨年、少しだけ花が咲いた記憶があるのですが、よく覚えてません。ガクの色との組み合わせがご指摘の通り、見事です。華やかになりますね。・・・ごろごろした岩のある風景・・そんなところで見たら、やはり断然輝くと思いました。
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花ひとひらさん (キャスパー)
2009-10-30 10:56:10
おはようございます。
今日は、湿度が低く快晴の最高の秋日和です。
こんな日が続くと心ウキウキしますが、今シーズンも終わり、来春の仕込みの時期に間もなく入るかと思うと名残惜しさもでてきます。
美しい晩秋をご堪能ください。
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素敵な色合い (花ひとひら)
2009-10-29 20:00:26
魅力的な配色の組み合わせですね。萼の薄い赤紫は穏やかになるような心地がします。
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