ホザキシモツケ（穂咲き下野）の花

(写真)ホザキシモツケの花
　　　　　　　　

「ホザキシモツケ（穂咲き下野）」という堅苦しい名前には似合わない、淡いピンクの花が穂状に咲き、淡い黄緑の葉とともに日本の初夏の山野の景色を創っている。

純日本製かと思えるほど風景に溶け込んでいるが、この「ホザキシモツケ」は、寒冷な湿地に生息し、ヨーロッパからシベリア、日本と広い地域に分布し、日本では、北海道・本州の中部以北の寒冷なところに生息する。

この「ホザキシモツケ」が属するシモツケ属は、約100種の種から構成され、東アジアで最も大家族な種でもあり、その大部分には薬ともなるが毒性の成分が含まれている。
ハーブティーなどの常用には注意する必要がある。

日本にも固有の種があり、下野の国に多く見られたので「シモツケ」と名付けられたという。

「シモツケ」は、枝先に星が散らばるように多くの花がつくので、穂のように花が集まって咲く「ホザキシモツケ」とは一目瞭然に違いがわかる。
といっても、「シモツケ」も朝鮮半島・中国にも分布するので、完全な日本だけの植物ではない。
植物の世界では、国粋主義にはなれない。国境に当たる分布の境界を作っているのは気候・風土・土壌であり、我々人間よりグローバル化が進んでいる。

(写真)ホザキシモツケのつぼみ
　　　　　　　　

ホザキシモツケ（穂咲き下野）の花
・バラ科シモツケ属の耐寒性がある落葉低木
・学名は、Spiraea salicifolia L.。属名のspiraeaは、花輪、花の冠を意味し、種小名のsalicifoliaは、柳の葉（willow leaf）を意味する。
・英名はBridewortで花嫁が用いるハーブを意味する。和名がホザキシモツケ（穂咲き下野）で花穂からくる。
・原産地は、ヨーロッパからアジア。寒冷な湿地に育つ。日本では北海道、日光、霧が峰などに分布する。
・樹高1ｍで、地下茎で繁殖する。
・開花期は6－8月で、枝先に円錐状の花穂をつける。花の色は淡い桃色。
・シモツケ属は、約100種の種から構成され、東部アジアで最も多様な種が含まれている。その大部分に毒性の成分が含まれるのでハーブティーなどの常用には注意する。