初実験から78年 米サンタフェで集会
人類の生存へたたかいに勝利しよう
【サンタフェ(米南西部ニューメキシコ州)=島田峰隆】米南西部ニューメキシコ州サンタフェで16日、78年前に同州南部で行われた人類初の核実験「トリニティ実験」の犠牲者を追悼し、核兵器のない世界に向けた行動を訴える集会が開かれました。
カトリック教会のサンタフェ大司教区や地元の平和団体などが共催しました。宗教や思想信条、民族の違いを超えて300人以上が参加しました。
集会では核兵器禁止条約への支持を大統領に求める法案やトリニティ実験の被害者への補償を求める法案の早期可決へ連邦議会に圧力をかけることなどの行動提起が行われ、参加者は大きな拍手で応えました。
サンタフェのジョン・ウェスター大司教は、ロシアによる核兵器使用の威嚇などで「世界はかつてなく深刻な危機にある」と指摘。「核兵器禁止条約に署名することは過激なことではない」と強調し、「人類が今後も生き続けられるよう核廃絶のたたかいに勝利しよう」と訴えました。
トリニティ実験の周辺住民への補償を求める団体「トゥラロサ盆地風下住民共同体(TBDC)」のティナ・コルドバ氏は、自らの家族も含めて周辺住民には世代を超えてがんなどの病気が多発している実態を報告。「実験が州民や州の経済に与える影響はまだ全面的には分かっていない」と指摘し、政府に補償を求めました。
平和団体「ニュークリア・ウオッチ・ニューメキシコ」のジェイ・コグラン事務局長は、核兵器近代化計画のもとでサンタフェ近郊のロスアラモス国立研究所が強化されていると指摘。「核兵器があるもとで人類が生き延びてきたのは単に運が良かっただけだ。運に頼る戦略は持続不可能だ。核兵器のない未来をつくる運動に参加しよう」と呼び掛けました。
トリニティ核実験は、ニューメキシコ州南部のアラモゴード近郊で1945年7月16日に秘密裏に行われました。米政府は“人が居住しない地域”で実施したとしていますが、実際には周辺に多くの人々が住んでいました。
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