イスラエルの戦争犯罪止める
国際刑事裁判所(ICC)が、イスラム組織ハマスの指導者とともに、イスラエルのネタニヤフ首相とガラント前国防相に逮捕状を発行しました(11月21日)。パレスチナ・ガザ地区での紛争にかかわる人道に対する罪と戦争犯罪の容疑です。
昨年10月以来、ガザでの子どもや女性をはじめとする死者は少なくとも4万5千人です。イスラエルが続けるジェノサイド(集団殺害)のような重大犯罪の指導者らの不処罰状態を終わらせ、そうした犯罪の予防に寄与するのがICCの目的です。国際社会は逮捕状の発行を力にガザでの停戦を直ちに実現すべきです。
■二重基準許されず
ICCは、ネタニヤフ首相らが、(1)ガザへの食料や水の搬入を妨害し飢餓を戦争手段とし、民間人攻撃も意図的に指示した戦争犯罪(2)物資不足による栄養失調や脱水症状で子どもらを殺し、医薬品の制限・欠如で極度の苦痛を与えた人道に対する罪―を犯した疑いがあると判断しました。
イスラエルは控訴する方針で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動を来年から禁止する法律も作りました。まさに逮捕状発行に相当する行動です。
国連総会は9月、イスラエルに対してパレスチナ占領政策の終結とジェノサイドの防止を、各国に対しては自国の企業・団体・個人にイスラエルの無法を支援させない制裁を含む措置などを求め、決議しました。戦争犯罪と人道に対する罪の処罰とともに、それを止める行動は急務です。
問題は米国などの二重基準です。米国はICC未加盟ですが、ICCがロシアのプーチン大統領にウクライナでの戦争犯罪の容疑で逮捕状を発行した2023年3月、バイデン大統領が「正当な判断だ」と述べ、ICCに協力する姿勢まで見せました。今回は逮捕状発行の前から制裁もちらつかせてICCを非難し、イスラエルには年間2・6兆円超の突出した軍事支援を続けています。
フランス外務省は、ICC未加盟のイスラエルの首相は免責対象との見解を発表、身柄拘束に協力しない姿勢を示しました。しかし「ICCの決定は拘束力を持つ。欧州連合(EU)の全ての国はICCに加盟しておりICC決定を遂行する義務がある」(ボレロ前EU上級代表)のです。法の選択的な適用は不処罰と戦争犯罪の継続につながります。国連憲章と国際人道法は平等かつ普遍的に適用されるべきであり、その立場で各国は行動すべきです。
■日本は義務果たせ
日本はICC加盟国でICCへの拠出金は最大です。石破茂首相は、ネタニヤフ首相やハマス幹部の身柄拘束に協力する義務を果たすと表明すべきです。9月の国連決議にも政府は賛成しています。10月7日の外相談話では「民間人の犠牲を防ぐためのあらゆる措置を講じ」ると述べました。
ならば、イスラエルの蛮行を止めるため、国連総会決議が求める諸措置の具体化が直ちに必要です。防衛省はいまもイスラエル製ドローンの導入を検討していますが中止しなければなりません。イスラエルに最大の軍事支援を続ける米国にジェノサイドへの加担をやめるよう迫るべきです。
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