ドイツ総選挙の投票日、各政党は開票番組を見る「選挙パーティー」を開きました。勝利も敗北も、みんなで一緒に味わう場です。
保守野党が第1党となり、極右政党が得票率を倍増させるなかで気を吐いたのが左翼党です。得票率は倍増近い約9%まで伸ばし、18歳から25歳未満では25%と第1党に。本紙特派員によると同党の選挙パーティーは若者たちが会場の外まであふれていました。
昨年1月に元幹部議員が党を割って新党をつくり、左翼党の支持率は一時2~3%まで落ち込みました。得票率5%未満に終われば議席ゼロという危機からの復活。それをもたらしたのはSNSでの成功や有権者との地道な対話、党内改革でした。
転機は先月、保守野党のメルツ党首が主導して、極右政党の支持で移民・難民流入制限の決議案を議会で可決させたこと。戦後ドイツで主要政党が極右との協力を拒否してきた「防火壁」が破られた瞬間でした。
「われわれが防火壁」「あきらめないでファシズムに抵抗しよう」。左翼党のハイディ・ライヒネク議員(36)は国民に訴え、演説はSNSで大反響を呼び党の支持率も急上昇。草の根では戸別訪問で有権者の要求を聞き取り政策に反映。家賃や暖房費の高騰対策、食品などの消費税ゼロを前面に押し出しました。
訪問は全国で60万軒、ベルリンのある小選挙区では全世帯の半数を訪れて勝利しました。党の団結回復も相まって今年に入り数万人が入党したといいます。新たな前進の知らせを喜びたい。
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