THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

XLRエンジン部品チェック&MD30との比較

2007-09-15 10:05:03 | XLR250

開けたエンジンの中身の状態は予定通りでは無かったが、予定通りヘッドをオーバーホールする。その為に真っ先に必要となるバルブ4本とバルブガイドとOリングは、先日オーバーホールしたリヤサスの部品と一緒に入手してあった。

Epsn4009

バルブを外すと、完全にベタ当たり。前回のオーバーホール時は当たり巾はギリギリ我慢できる限界で、予算の都合で見送ったのであった。
エンジン屋さんに嫌がられないようにクリーニング。手でシコシコやるのは大変なので、ブラストで一気に落とした。

Epsn4010

時間がなくて慌てており、返ってきたらキッチリやるつもりで今回は適当。

一見MD30と同じように見えるヘッドだが、まずプラグが違う。XLRはNGKで言えばD型で、MD30はC型(細い)。穴を小さくしてヘッドの割れを防止する為か? 次にカムチェーントンネルの形状。並べて写真を撮るのを忘れてしまった。

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コレはXLRの方が太いカムチェーンを使用しているのと、MD30にオートカムデコンプがある為と思われる。 ※割れや変形防止のため?少しでも肉厚を増やそうとしているような雰囲気・・・? MD30にはXLRのヘッドは載るかもしれないが、逆はそのままでは無理っぽい。削ればなんとかなるかも。 ※いずれも未確認なので、もしチャレンジされる方はご自身で事前確認をお願いします。 もう一つはバルブのステム径。MD30の5.0mmに対してXLRは5.5mm。バルブの材質改善によるものと聞いた記憶があるが、定かではない。ついでにバルブガイドも長さが異なるようだ。確認のために一本抜いてみた(ちょっと失敗してエンジン屋さんで指摘を受けたが、ギリギリ問題ないようだ)。

Epsn4011

短い方がMD30用で、ポートへのガイドの飛び出しも少なくなる。折角ガイドを打ち替えるのでMD30の物へ変更。その他、ヘッド本体の材質などについては判らない。

ヘッドカバー内は組み違いのサブロッカーアームを入れ替えるのみ。他は問題ない。MD30との違いは「RFVC」の文字の有無。MD30で文字がなくなっているが、代わりにフィンが一枚追加されている。 (左がXLR、右がMD30)

Epsn4023

MD30にはてっぺんにフレームのオイルタンクへと繋がるブリーザーがある。それとデコンプの取り出しの有無。MD30はセルスタート時にワンウェイクラッチの作用をする仕組みになっているが、XLRはデコンプがワイヤーを介してキックに連動する。好みもあるかもしれないが、加速ポンプ付きのキャブのせいもあってXLRのデコンプは不便だ。俺はマニュアルの方がいいな。

(左がXLR、右がMD30)

Epsn4022

ドライバーで指しているロッカーアームは、デコンプで押される為にカタチが異なる。

Epsn4026

(上がXLR、下がMD30)

カムシャフトは良ーくみると、MD30の方がカム山同士の間隔が狭い。右側の二つが左へ詰められている。この為、サブロッカーアームは両車共通のようだが、ロッカーアームは4本共異なるようだ。

カムスプロケットがボスに対しての位置関係も違う。MD30の場合は車体右側にあるボスに対して右面に付けるが、XLRはボスが一度スプロケットを通り抜け、スプロケットは左面に取り付ける構造。この為MD30はスプロケットの真ん中に丸い穴が開いているだけだが、XLRはME08のような形状の、ボスが通り抜けれるだけの肉抜きが施されてる。

XLRはそろそろ純正部品も怪しくなってくる頃だし、社外パーツもME08やMD30用の方が多いだろうから、タイミングスプロケット(クランクシャフトの方。XLRとMD30では品番違う)からゴソッとME08に入れ替える事が出来れば、結構いいエンジンが作れそう。FTRなんかもそうですな。この後もしも余裕があれば試してみます(期待薄・・・)。

今回はクランクケースは割らない。ちょっと不安だが・・・。コンロッド大端やクランクシャフトベアリングは、手で回したが特に問題ないようだ。メインシャフトやカウンターシャフトも大丈夫そう。
MD30とXLRの最大の違いが腰下。ご存知の通りMD30やME08はドライサンプだが、XLRはウエットサンプ。クラッチプレートはMD30と共通。フリクションプレートは面部分のデザインが異なる。一次減速比も同じなので、クラッチハウジングごと相互に使えそうには見えるが、確認してない。(左がXLR、右がMD30)

Epsn4020

手で持っているレリーズのベアリングがXLRではニードルだが、MD30はボールベアリング。
MD30ではピックアップコイルがクランクケース左側にあり、フライホイールがパルスロータを兼ねているが、XLRは右側にある。あと、シフトカムの形状が違うかな?

本来はクランクケースカバーを開ければダラダラとオイルが出てくるものの、このXLRは全く出てこず(爆)。傾けてやっと出てきたのが、コレだけ。

Epsn4018

総量1.6リットルは何処へ行っちゃったんだろう? 考えられるのは・・・
①漏れていた。
②入れ忘れた。またはそれに近い整備ミス。
③燃えた。
④イタズラに遭った。
⑤巨大な組織の陰謀。
6月末に長野方面へハイスピードツーリングへ行く為、前日にオイル交換。そしてその帰り道に初めてエンジンが沈黙する事となったそうだ。暫くして再始動させることができて無事生還。その後一旦ミニサーキットの走行会に参加したそうだが、この時の不具合は聞いてない。
その後に街乗りに使用したが、やはり始動困難だったそうだ。俺の所に来てからしばらくサイドスタンド状態で同じ場所に放置していたが、下にオイルのシミが出来ると言うような事はなかった。エンジン内部にも、短期間に大量のオイルが燃えた痕跡は無い。①とか③だったりすると、対策を施さないとまた同じ事が起こり得る。俺は②と推測(『希望』を含む)するが、本人が否定したら⑤という事にしよう。

問題のシリンダー。スリーブ入れ替えとかボーリングとかの作業そのものは(オーナーに金があれば)大した事ではないのだが、ナラシが間に合わない。少なくともメンバーにはその余裕を持つ人間はいない。なので、今回はそのまま組みます。それで大丈夫なのかって? ・・・そりゃワカラン。

Epsn4024

シリンダーはMD30とXLRは色が違うだけで同じ物に見える。

チェックの結果、このXLRのエンジンでイカレてたのは・・・
①シリンダー(何故か横傷)
②カムシャフトベアリング(片方のみ)
③クラッチ周り
④カムチェーンの伸び
⑤バルブのアタリ

さて。
現在の俺のXRに積んでいるエンジンは、スペアとしてオークションで入手したもの。ところがこのエンジンは、なんと焼き付いていた。写真は当時の物。

Epsn1467

シリンダーとピストンが焼き付いていたが、そもそもは恐らくピストンピンが先に焼き付いた為にピストンが首を振らなくなり、結果としてピストンとシリンダーが逝ったものと思われる。因果関係は不明だが、ミッションが虫食い状態で、クランクケース内部のベアリングの嵌め合いが全てユルくなっていた(その時点では共周りした形跡は無かったものの、280にボアアップした後に一度開けたら共周りした跡が見られた)。憶測だが、これもエンジンオイルが無い状態でブン回したんじゃないかなあ。

対して、ここで写真に出てくる既に分解されているMD30のエンジン。コレはもともと俺のXRに載っていたノーマルエンジンで、通称「元N造エンジン」。このN造さんというのは俺のXRの元オーナー。以前はバイク屋のメカだった人だが、非常に大雑把な人だ(スミマセン)。15年以上の付き合いがあるが、間違っても高いオイルを入れる人ではない。恐らく重機用オイルなんかを入れていたと思われる。もしかすると職権乱用して4CTを入れていたかも(そんな話を聞いたような・・・)。ただし、オイル交換くらいはコマメにやっていた筈である。エンジン内部はこのXLRと比べるまでもなく、非常にキレイ。

こうして見ると改めてエンジンオイルの重要さを思い知らされる。このXLRには俺自身バラす直前に乗っているが、全く普通に走っていた(他の人間が乗った時には止まってしまい、暫くエンジンが掛からなかったそうだ)のにも驚きだが・・・。特に一番真っ先に焼き付きそうなピストンピン(焼け色が付いていていたのは事実)やロッカーアームのアタリ部分が無事なのはビックリ。耐焼き付き性に優れた↓↓↓のお陰かな・・・?

Epsn4027

俺のXR馬邪もまたオイル交換の時期だ。ついでにタペット調整もしておきます。

コメント (2)
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