9月8日・月曜日。
MD17Eエンジンとは正に腐れ縁である。一体何回組みバラししているのだろう? ササッと組んでフレームに搭載。もちろんサービスマニュアルは全く見ない。プライベーターとしてはそろそろMD17Eスペシャリストの仲間入りだな(←アホ)・・・などと悦に入っていると、作業場所の床にノックピンが転がっているのを発見。入れ忘れかあ? 予備でとってある中古のノックピンがケースから転がり出たものと信じよう。
それともう一つ。シフトスピンドルを取り替えた際に、リターンスプリングの位置決めをするサークリップだけは使いまわしをした。だが、たまたまパーツリストをボーッと眺めていたら、サークリップは左右に1本ずつ、計2本ある事に気づいた。1本しか付けなかった・・・。スペシャリストへの道は険しい(笑)。まあ(シフトスピンドルの)カニさんの鋏側へはほとんどズレないであろうから、大丈夫であろう。軽量化の一環という事でカンベンして下さい。
エンジン載っけたのは8日の月曜日。ちなみにその前の土曜日が東京に出張で、金曜日の晩に出発して日曜日に日付が変わった頃に帰って来た。日曜日は何とか朝10時頃起床して、仕事をしながら(機械が自動的に動いてくれる仕事もある)280馬邪の整備。日曜日も月曜日も夜中の2時頃まで作業した。
9月9日・火曜日。
エンジンを降ろすと同時にスイングアームを取り外す事になるので(厳密にはズラすだけでOK)、ついでにリヤ周りのOHをする。
以前乗っていたヤマハ車はかなり頻繁にリンクのOHをする必要があったが、XRは俺の使い方で半期に一度位のペースでメンテしてやればOKのようだ。何が違うんだろう? 折角なのでショックユニットもOH。これもコツと掴んできて、かなりの速さで作業終了。
今回はオイルの交換だけで、インナーパーツは一切交換していない。ロッドを錆びさせてしまうと厄介なので、そこさえチェックしていればショックユニットに関しては必要以上に神経質になる必要はないようだ。個人的な見解だが、ヘタッてきたなと感じたら窒素ガスを入れてやるだけでもかなり改善するのではと思っている。
9月10日・水曜日。
元々この日は一日中、神戸(片道250kmほど)の現場に出張のハズであったのだが、昼間に行っていては時間的な効率が悪いという事で、9日から10日に日付けの変わった夜半過ぎに出発、朝日が昇ったばかりのころに作業をはじめて、朝9時前には帰りの高速に飛び乗った。大した内容の仕事ではなかったのが幸いであった。
それにしても初めて利用した新名神、コレはかなり便利! 距離も短く、走りやすい。
途中で立ち寄った業者さんのところで「一緒に食事でも」と誘われたのを必死の思いで断り(笑)、帰社して残りの仕事を片付ける。
夕方から各部クリーニングとデカール類の貼り替え。こういう作業の時に細かな不具合(ねじの締め忘れなど)を発見する事が多い。ついでに締め付け確認をしつつボルトの頭にマーキングしていく。
今回、石だらけの坂内の振動対策として、ほとんどのネジにネジロックを施した。
全ての店がそうなのかはわからないが、近所のホンダの店は水曜日が定休日のようだ。純正部品は在庫があれば、午前中の発注で翌日入荷。つまりこの日(水曜日)から翌日午前中にかけては純正部品のPOINT OF NO RETURNなのだ。フォークシールなどをチェック。すると、クラッチワイヤーの下端近くにワイヤーの解れを発見。これは社外品(タカツ製作所)の製品で、ダートフリークにて入手した物。今度タイヤを買いに行くついでに買ってこよう。売り切れていたら一巻のオワリだな・・・。
そんなことをやっていると、Rすけ君がWAKO’Sの4CR(15W-50)を2台分20リッターのペール缶を持って現れた。彼は某高級外車ディーラーのメカ。WAKO’Sから直接買ってもらったのだ。金額はここには書けないほどに安い・・・。コレを知っちゃうと店頭販売品はアホらしくて買えませんな。
ちなみにこの4CR、スゲーのです。オイルは流動性とか低抵抗とか油膜保持とか色々な機能を要求されるのはご存知のとおり。○イク○○ンとか○イ○とか○リ○ッ○とかを使用する人もいると思うが、あれは万が一オイルが無くなったとかの場合に効力を発揮するもので、エンジンの寿命を延ばすとかパワーが出るとかいうのは二次的なオマケだと認識している。んでね、4CRを使っている限りこれらの添加剤は入れる必要は無いのですよ。特にネバネバ系添加剤はミッションを同時に潤滑するバイクには向かないのだそうな。まあ俺はオイルの専門家でも何でもないので適当に聞き流して下さい。それでも一応、ある程度の実証(聞きかじりとかではない)に基づいた意見でございます。まあ杜撰に扱いたい場合は4CRは打って付けという事ですな。(人気ブログwで紹介しました。和光ケミカルさん、なんか下さいw)
スプリントレースだったら他のオイルを選ぶかも。
この日も結局深夜2時過ぎまで作業。
本番まで秒読みとなった9月11日・木曜日から9月12日・金曜日。
11日は元々から外部との連絡を遮断して、仕事を休んで一気に作業を進めるつもりだった。
そう、「つもりだった」のだが・・・。
こういう時に限って上手くいかない。仕事の新規設備導入を検討するため、会社のすぐ近くで行われた展示会に午前中の一時間程度のつもりで顔を出したところ、メーカーの担当と販売代理店の担当に取っ捕まってしまい、俺も興味深々で結局3時間近く・・・(笑)。
帰ってきてからあまりの睡魔にしばし仮眠。
が、そこへ資材屋さんの担当営業が現れた(苦笑)。彼はバイク好きなので(ZEPHER1100所有)、工場で整備中の280馬邪を見て目を輝かせている(笑)。
しばらく前に「レースに手伝いに来てよ」と言ってみたのだが、あまり強制するとヤ○ダ電機と同じ罪になるのでこの日は差し控えた。
そして彼は280馬邪に貼られた神々しいご尊顔のデカールを見て一言。
「社長、この人が好きなんですか?」(爆)
その後やっとヘッドライトのフレームの製作を開始。これでフレームの製作も3回目なので結構要領を得てきて、速い速い。勿体無いけど7N01にスペシャルな砂を詰めて、酸素アセチレンバーナーのアセチレンだけ燃やして煤をつける。その後酸素も出して熱し、煤が飛んだ時が曲げ時。型に押し付けてやる。
↓左側のコンパネを切った物と、パイプを組み合わせた物が型。
5mm前後の板厚の7N01を持っていなかったので、平板はA5052。去年まで使用していたIPFのスーパーオフローダーはその構造上、取り付け作業時にブレーキホースをかわすのに少々面倒があったが、今回の物(ヘッドライトケースのみ海外製の高級品を流用)は一般的なバイク用丸型ヘッドライトと同じで左右で支持するので、ホースやワイヤーとの干渉が無い。
ただし光軸調整の固定ナットがヘッドライトケースの下側にしか付いてないので、上部に新設してやった。
これは「ノブスター」という製品で、ボルトにはめ込むだけで手回し可能なネジに変身。これで走行中も光軸調整ができる。
今まで見てきたオフロード用の丸型ライトのフレームは、ライトのレンズ前面と同ヅラか、ヘタすればライトの方が飛び出している。経験上、ハンドルを切った状態で転倒するとこの周辺を地面に叩きつける或いは擦り付ける事になるので、フレームのほうが飛び出すように製作した。
ストーンガードはオキマリの(?)丸型焼き網。ゴムのスペーサーを咬ませて位置調整している。
そうそう、製作途中で放りっぱなしのリヤフレームの製作は、落ち着いたらまた製作開始しますぜ。
そして夜7時頃にダートフリークに向けて出発。時間的な余裕は無かったが、クラッチワイヤーその他の部品を一刻も早く入手して安心したかったのと、金曜日はもっと時間が無いであろう事で強行。
前後タイヤ2セットとハードチューブ2セット、クラッチワイヤーを購入。ついでにゴムがノビノビになってしまったニーシンガードを新品購入。
さらに寝不足のために意識が朦朧としてきて、NEWヘルメットを購入(爆)。バイクに乗り始めてから初めての柄物ヘルメットだ。
サザエさんばりの大買い物に、お店の人が車まで商品を運ぶのを手伝ってくださった。
「ダートフリークさんの社員の方で、坂内の24時間に出る方がみえますよね・・・?」
と声を掛けた所・・・
「あの、本人(私)です」とのお返事。先日の夜間テスト時に坂内で会った時は暗くて顔が見えず、失礼いたしました。
帰ってからまた作業を続け、とりあえず走れる状態にできたのは夜中の1時頃。
エンジンは組んだばかりなので確認のためにも一度は走っておきたいし、レンズを入れ替えたヘッドライトのテストもしたい。
たまたま偶然、金曜日は朝から穂積(現瑞穂市、坂内から比較的近い)で仕事。タイミングがいいのか悪いのか・・・。
仕事の荷物と一緒に280馬邪をトラックに積み込んだ。
コレが9月12日付の記事の時ね。
一旦自宅へ帰って風呂に入り、不眠のまま坂内へ。現地へ到着したのは朝4時半を少し過ぎた頃。慎重な暖気運転の後、真っ暗なコースに滑り込む。
もちろん他のバイクが走っているわけではないために、比較対象が無く判断は難しい。特別に明るい訳ではないが以前よりは良いのではという印象。そして焼き網のシマシマを地面に映し出している(笑)。イノシシ出没が怖かったので山の方には登らず、ダンロップ看板の裏やショートコースを中心に確認走行。
すると、夜叉が池方面に来たと思われる車が山道を登ってきた・・・。コチラのライトの光を見て、「何やってるんだろう?」と思っただろうな(笑)。
エンジンは一応バルブ4本を新品に交換しているので、少し慎重に開ける。アタリが出ていない為か回り方は若干渋い。
5時頃には空が白み始めたので、トラックの運転席で仮眠。この後の3晩を連続で、トラックの運転席内での仮眠が決定した瞬間であった(笑)。
7時前には起き出して280馬邪をトラックに積み込む。バイク丸見え状態で仕事先に行くのは問題があるので、シートでくるんでカモフラージュ。仕事先でも全くバレませんでした(爆)。
超特急で穂積の仕事を終わらせて、お次は昼過ぎに名古屋市内にて簡単な作業。途中でガソリンなどを買い、帰り着いたのは3時頃であった。
まだかなりの量の整備メニューを残しており、寝不足もあって完全に精神崩壊状態。外部との連絡を遮断して作業開始。当然この頃の写真は一枚も無い。
ネタ(材料)は全て揃えてあったので、一気に作業を進める。
ステムの動きがおかしかったのでチェックすると、下側のステムベアリングに錆が発生していた。今さらジローなので、アウターレースのみ上の物と入れ替えて、入念にクリーニングした後で組み付けた。まあそんなに悪くはなさそうだ。
フロントフォークオイル交換、フロントブレーキパッド交換、ブレーキフルード交換、フロントタイヤ交換、バッテリーの補充電、テールランプ製作(手直しのみ、車体側の既設の配線がワケワカラン状態wで、面倒になって直結で対応w)などなどを、一人でピリピリしながら進めていく・・・。
日も暮れた頃、N目マネージャーとT中代表が現れた!!(特に約束はしてない)
目にも留まらぬ速さでホイールのディスタンスカラーにグリスを塗るT中代表。
目にも留まらぬ速さで作業場内を動き回るT中代表。
その動きはカメラで捉えるのも困難なほど。
珍しく動きを止めたのでどうしたんだろうと思ったら・・・
・・・
・・・
・・・
ベアリングを叩き込む為に使用したソケットのコマがハブに嵌りこんでしまっていたw
そして俺のピリピリは次第に解け、今度は自責の念に駆られる・・・。
お二方、申し訳ない。そしてありがとう。
荷造りを手伝ってもらうにはかなり待ってもらわなければならなさそうであったため、手伝ってもらうのを遠慮して帰ってもらう。この時既に12時近い。
自作のサイレンサーをオーバーホール。作り方が悪いのかもしれないが、オフロードバイクにカーボンサイレンサーを使用する場合はリベットでの接合は向かないようだ。コレを全てM5又はM6のボルトナットに交換。
一人で荷造りをする。気合で荷台に放り込んでいくだけで、細かい事を考えている時間は無い。
仕事で身に着けた事だが、俺は必ず荷造り表を書く。コレをやれば忘れ物は無い。
・・・まあ、荷造り表に書き忘れると元も子も無く、今回も忘れ物があったのだが・・・。
つづく。