THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

POINT OF NO RETURN-爆走

2008-09-19 20:17:12 | オフロード

夜10時頃、足が攣り激しい痛みによって目を覚ます。
起き上がる事すらできず、ボンボンベッドの上で暫く悶える。
寝不足と急激な運動、そして気温の低下が原因であろう。必死にマッサージをして、トラックの車内に移動。頭がボーッとして、咽喉がガラガラだ。どうやら風邪を引いたらしい。また暫く眠りにつく。

夜中の1時ごろ、次が出番だという事で起こされた。マシンも快調で、暫く前にエンジンオイルの交換も済ませたという。次のピットでリヤタイヤを交換予定となっているそうだ。
T田さんがピットイン。次に走る俺も、今走ってきたT田さんも、一緒になって作業。残念ながらスペアホイールにはスプロケットを用意できなかったので(予算的な都合)、今使っているものを付け替えなければならない。
今回のレースは280馬邪のピットワークでも芋樽号のピットワークでも、充電式のインパクトドライバーが大活躍。
仕事でつい先日まで使っていたものが壊れてしまい新品を買ったばかり。現場デビューはここ坂内なのだ。
その速さはラチェットやTレンチの比ではない。

あとはアクスルナットを締めればOKとなったところで俺は作業から離れてヘルメットを被る。
マシンは快調そのもの。サスガに足回りは随分ヘタっているが、エンジンは全く不安を感じない。深夜2時でこの状態ならば、問題なく完走できそうに思える。
他のメンバーに甘えてそこそこまとまった時間の睡眠が取れたお陰で、多少テンションも上がってきた。
前走車に追いついてもそのままのペースで突っ込み、グイグイ突き進む。ちょっと乱暴な抜き方をしてしまった方、スミマセン。

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毎年この時間帯が一番辛い・・・。このまま一生夜明けが来ないのではという錯覚も覚えてしまうほど。

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ちょうどこの頃の集計箱。ゴルフボール100個に相当する一際大きな洗濯バサミがそそり立っている。
そう、我らが田中麗震愚・青組のみ周回数を大台に乗せ、トップ独走中!! 2位には既に20周以上の差。このままゴールまで走るんだ!!

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また俺は2時間程度眠って、起きたら辺りは既に明るくなっていた。ヘッドライトは俺の計画ではつけたままゴールする予定だったのだが、電力を食われる為か、若干セルの回り方が怪しくなり始めたので取り外したとの事。

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2位以下には既に2時間を越えるアヘッドがあるので、来年に繋げるという意味では良い選択と思われる。

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N目君はケン少年と共に爆睡中。

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現在、赤組の芋樽号を走らせているのはT須さん。合宿の時はイメージしたとおりに走れなかったらしくてネガティヴな事ばかり言ってた気がするが、夜間を走り抜いた後の心地よい朝の走行。よほど楽しかったとみえて「あと1周」のピットサインに「イヤイヤ」と首を横に振り続け、1時間半以上を連続走行!! ピットインしてから聞いたら、ホントはもっと走りたかったけどガソリンが心配になったんだって(笑)。草レースっぽくてイイですなあ。

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ピットで交替を待つT中さんも出番を取り上げられて寂しそう(笑)。後方の車内でN目君も安心して寝まくってますw

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250ccクラスは序盤からずっと4位から7位くらいまでが1周差のダンゴ状態で、赤組もこの辺りの順位をキープ中。
ただ、マシントラブルのあった他チームとの絡みで、赤組はこの後、順位を落としてしまう心配が出てきている。俺としてもできる事なら何らかの結果を残して欲しい・・・。
レーススタッフに「250ccクラスは何位まで表彰ですか?」と聞いたところ、基本は3位までで、増やしても5位くらいかな~という答え。ムムム、ちょっと厳しくなってきたぞ。青組のメンバーを回すか?(笑) リーサルウェポンとか(爆)。

青組はこの時間帯になって、順位よりも何周回れるかという事が専らの話題となってきた。
過去のデータでは2000年にK頭さんチームが雨の中で叩き出した211周が最高なのだが、実はこの時の坂内はダンロップ看板裏にはコースが無く、河原から対岸堤防に駆け上がった後でそのまま直線でダンロップ看板の前を通り抜けていた。それと、2002年に現在の「ピット&パドック方式」となるなでは集計ポイント通過後、ピット前を通る事なくそのままセンターハウス対岸に駆け上がっていた。

なので、俺は今年の目標として2004年の190周、2006年の192周を超える記録を狙っていたのだが、どうも現在のペースでは残念ながら新記録を出す事は出来そうにない・・・。この後何事も無かったとしても190周も難しそうだ。
ME06さんとも話をしたのだが、集計箱前のシケインと、ダンロップ看板前のシケインの影響が大きいのではという結論に至った。ロスタイムの計算上、24時間で40~50分は損をしている計算となりそうだ。

加えてコースコンディション。今年は開催時期が1ヶ月以上早まり、例年通り坂内4時間EDの1週間後でコースが走りやすい状態のはずが、ゲリラ雷雨のせいか若干荒れ気味であった。

※そういう意味では2004年の記録はスゴい・・・この年は極端にコンディションが悪かったのを記憶している。ちなみに今年の我々の記録・179周は奇しくも去年の優勝チームの周回数と同じ。
それと280馬邪は数時間のレースであれば本来のパフォーマンスを維持できるものの、24時間もの長丁場ではタイヤ交換、燃料補給(かなりの大食い)などでロスが多い。結果的にはノーマルの方が速いかもしれない。特に今回はマシン温存のために序盤のペースをかなり落としている事も大きいだろう。
さらに・・・ヘッドライト。大掛かりな物を取り付けた割りに、効果に乏しい。これでは夜間のペースが上がらない。ノーマルライトの改良や純正部品流用の方が確実な結果が望め、万一の時のスペアパーツにも困りにくいであろう。来年はやっぱHIDかね。
あと、軽視しがちな事だが、ピット体制。我々は2台体制のために人数も多く、黙っていても誰か(複数人数)はピットにいた。特に青組は全員の気合が高く、整備も誰かが勝手にやってくれてかなり安心できたのだが、24時間メカを含めた2人程度の固定した人間がピットに張り付いていた方が勝利に近付けると思われる。

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無造作に置かれた御役御免のリヤタイヤ。右上が280馬邪のもの、左がXLR芋樽号のもの。280馬邪はそのハイパワーの為に、用意したリヤタイヤが足りなくなる心配があったが、何とか2本で持ちそうだ。フロントに至っては交換すらしていない。

XLR芋樽号はフロントホイールに不具合を生じて交換したため、フロントも2本使用している。

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坂内2DAYSならではの風景・・・?例年の10月は夜間の冷え込みが厳しく、濡れたウェアを再び着るのがかなりの苦痛であったが、今年は1ヶ月も早まって、着替えにはあまり困る事が無かった。
 
T田さんから「クラッチが滑る」との申し送りを受けつつ、また俺は280馬邪に跨る。
徐にスタート・・・ヤヤヤッ、無理をしなければ大丈夫との事だったが、これはかなりヤバいぞ!!
登りではかなり空転しているのが分かる。このままでは確実に俺の走行中にクラッチがオワリとなるであろう。

どうする?

スロットルの開け方を工夫しても、クラッチが滑る事には変化がない。
スローダウンして走行。考える、考える、考える。

元々クラッチが弱い傾向はあったが(あくまでノーマルと比べての話)、少なくとも今までは致命的なダメージを負った事は無い。
実際、今回クラッチプレート、フリクションプレートともに新品に入れ替えたが、敢えてノーマルを使用した。もちろんクラッチスプリングもノーマルである。
この組み合わせにはかなりの自信があった。280馬邪はノーマルクラッチで充分である。
では何故こんな事になっているのか?
滑り方がどんどん大きくなっていく中で考える。

もしや? クラッチレバー側のダストカバーをズラしてみると、やはり!!!
アジャスターが完全に縮み方向に限界位置となっている。 ※つまりアソビが無い状態
何故・・・? 本来ならば逆方向に限界となるはずなのに・・・?
しかもこのクラッチワイヤーは新品だぞ。伸びてアソビが増えるならば理解できるがどうしてだろう?
クラッチカバー側のナットを緩めなければ調整は不可能だ。滑るクラッチを騙し騙しピットへ戻る。

Clutch

▲photo:プロカメラマンN目氏@コンパクトカメラ

ME06さんに調整してもらい、再出発。クラッチがフェード気味なのか、まだ滑る・・・。それでも下りであればまあまあなペースで走れるようだ。
そのまま暫く周回を続ける。
するとどうした事だろう、次第にクラッチの滑りが解消してきたではないか!!!
一時は悪夢を思い描いたが、これで心置きなく走れる!!
レースも残す所2時間強。エンジンの耐久性にも確信に近いものを得て、俺の右手の動きは段々と大きくなったのであった。

 

XLR芋樽号も、チェッカーに向けて最後の給油。

Img_1689

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次のライダーはME06さん。メンバー中最も速くてハイテクニックな彼だが、サスガに疲れが出ているようで、ピット前を通過する勢いが以前よりも大人しい。
 

そしてその時moritechさんが俺に声をかけてきた。
「このまま行けば、このあと俺が1時間走ると、15分くらい余るんですよ。○○さん(俺の事ね)チェッカー受けて下さい」
イヤ~・・・泣ける様な心遣い・・・。
でも、俺はレースが始まる前から「チェッカーは別の人で」と思っていたのだ。

とりあえず遠慮するも、突如沸々と10代の煌きが甦ってきた(笑)。
よしっ!!
最終ラップ+αのみウイニングランしてやろうじゃないか。
24時間ガマンした全開走行を、ここで見せてやろうじゃないか。
レースはエンターテイメント。ここまでマジメにやったエネルギーを、別の方向に爆発させようじゃないか。

 

Jロウさんが嬉しそうな顔で「優勝」とラクガキ。パンツが出てるのはご愛嬌w

Pen

▲photo:N川氏
 

もはや伝説となった(?)ザボーガーの顔を取り付けて出走(笑)。

 

ニーシンガードとエルボーガードをつけたのはケガ防止の為ではなく、一応マナーだと思ったから。
今回のレースで一番全力で走ってやった。

Wining

▲photo:N川氏

 

背中はT田さんの作品w

Checker

▲photo:moritech氏

1999年に初めてこのレースを走ってからこれで満10年。
体制こそ違う時もあったが、俺個人は9回目の挑戦で初勝利。
長かった~~~。
だからこそこのレースへの思い入れも、今回の結果への喜びも、人一倍。とにかくウレシイ。
過去8回の内2回は他のチームのヘルプとしての参加で、残りの自前チームの6回はほぼ全て日没ごろにトラブル。
今年もレースが近づいてきて「ゴール直後にバイクが壊れてもいいから、優勝しなけりゃ気が済まん!!」と何回言った事か(笑)。

Img_1699

▲photo:プロカメラマンN目氏@俺のカメラ

 

・・・えっと・・・。
他にもウレシイ理由がある。
まず、このXR250改280馬邪は、元々は古くからの友人であるN造さんの物であった事。
放置されて朽ち果てそうだったコイツを、俺自身の手で、俺自身のオリジナルパーツを駆使してビルドしてある事。
エラそうな事を言わせてもらうならば、金出して新車や程度のいい中古車買って、出来合いのパーツに取り替えただけのカスタム(俺の定義ではそれはカスタムとは呼ばない)とは、根本的に次元が違うのだ。
気を悪くしたら申し訳ない。

そしてもう一つ。
この「坂内2DAYSエンデューロ」は今回で開催12回を数えるそうなのだが、ここ数年はアウェイなチームに優勝をもぎ取られている。
ホームコースの誇りは何処へ行ったァ~~~!!!
これを地元チームで王者奪還できた事が嬉しい。

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さてさて、赤組の芋樽号も、最終ラップでパンクしながらも見事チェッカー!!
満身創痍の笑顔のN目君が印象的だった。ちょっっっっと悔しかったかなw
 

赤組の場合のレポはコッチ(N目君のブログ)
 

青組メンバーのN川君のレポはコッチ(田中麗震愚オフィシャルブログw)
 

公式リザルトはコッチ(主催のクラブオフHP)

 

当分この体制で頑張りたいですね。
POINT OF NO RETURNとはもう言うまい。まだまだ10代の煌き、まだまだバリバリのグイグイなのだ。
・・・この次の日の15日、俺ァ1才歳をとっちゃったけどね。

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               記

■田中麗震愚・青組 オープンクラス優勝&総合優勝 周回数179周
[マシン:280馬邪]
[ライダー:ME06氏・T田氏・Rすけ氏・moritech氏・N川氏・俺]

■田中麗震愚・赤組 250クラス6位&総合9位 周回数143周
[マシン:XLR芋樽号]
[ライダー:N目氏・Jロウ氏・ルルル氏(別名ペドロサ)・T須氏・世界の代表T中氏]
※正式リザルトで暫定発表よりも1ポイント繰り上がっている
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Special THANX
■酔いどれメカ長・T浦氏
■食材食い尽くしケン少年
■チーム三重県w、H氏
■ガテン系チームの紅一点となった、moritech氏の彼女(ナンか違う?)
■コースサイドで24時間ずっと応援してくださったJAYBIRDご夫妻
■他、関係者全ての皆様
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↑ME06さん、間に入ったらダメですよ♪

俺の左肩には背後霊がいらっしゃる・・・

コメント (12)
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