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『ガラスの街』
ポール・オースター(米:1947-)
柴田元幸訳
"City Of Glass" by Paul Auster(1985)
2009年・新潮社
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夜だった。
クインはベッドで横になって煙草を喫い、雨が窓を打つのを聞いていた。
いつ止むのだろう、彼はふと思い、朝になったら俺は長い散歩に出る気分だろうか、それとも短い散歩だろうか、と考えた。
脇にある枕の上には、マルコ・ポーロの『東方見聞録』が伏せて置いてある。
二週間前にウィリアム・ウィルソンの最新作を書き上げて以来、クインはずっとぼうっとしていた。
語り手の探偵マックス・ワークはいくつもの込み入った事件を解決し、何回か袋叩きの目に遭い、何回か危うく命拾いして、そのせいでクインも何となく疲れてしまった。
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オースターのニューヨーク三部作 (The New York Trilogy) の一作目。
はっきり言って、二作目の『幽霊たち』と、まるっきり同じ地点に帰結する。
不思議なのは、別にどっちが2作目でもおかしくないような気がすんだよね。
「幽霊たち」のほうが何かが深まってるという気もしない。
音楽でいうところのリミックス・アルバムとか、あんな感じ。
この、そっくりさんな2作に優劣はないと思う。
どっちも読んでる間、自分が透明になったように引き込まれる。
要するに・・・、
要するに孤独ってのはさ。
<だから、ルー・リードじゃないっつーの>
■ニューヨーク三部作
・『幽霊たち』 (柴田元幸訳/ 1989年・新潮社)
・『鍵のかかった部屋』 (柴田元幸訳/ 1989年・白水社)
・『ガラスの街』 (柴田元幸訳/ 2009年・新潮社)
■長編
・『ブルックリン・フォリーズ』 (柴田元幸訳/ 2012・新潮社)
■オースター編
・『ナショナル・ストーリー・プロジェクトⅠ』 ポール・オースター編
■ オースター特集
・『青春のポール・オースター』 MONKEY vol.1
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