『夜間飛行』

また靴を履いて出かけるのは何故だろう
未開の地なんて、もう何処にもないのに

『ユービック』 フィリップ・K・ディック

2015-02-07 | Books(本):愛すべき活字

『ユービック』
フィリップ・K・ディック(米:1928-1982)
浅倉久志 訳
"UBIK" by Philip K.Dick(1969)  
1978年・ハヤカワ文庫 

++++

彼の左耳に装着された秘密のマイクロスピーカーがブツブツ音を立て、ニーナ・フリードの注意深い、小さな声が、彼だけに聞こえてきた。

「ミス・ワートはスタントン・ミックの代理。

彼女は彼の信任厚い助手です。

シェパード・ハワードなる人物は存在しません。

問題のプロジェクトは、おもに月面(ルナ)で進められています」

++++


大阪にいてます。

今夜はこっちは寒くない。


あー。

しかし、これはもうメチャクチャな面白さだね。

ホンマにおもろい。


せっかく選りすぐりの不活性者が11人もルナに行って、わ・・・わくわく・・・、超能力者との闘いはどうなんの?

と思ったところで、対決もなおざりに、時間が退行し始めるいつものパターンで。


そうだね、それでこそディックだよね。

SFチックなサイキックの集団戦なんか描くわけないのさ。


それにしても・・・ このストーリー全般に漂う女性への恐怖心と嫌悪感。

(パットは美少女ヒロインかと思いきや、大変な跳ねっ返り)


この社会全体への不満と敵愾心。

(コーヒーを淹れるにも、シャワーを浴びるにもコンピューターから代金を請求される。チップが無いとドアも開かないので自宅から出る事もできない!)


辛い人生を歩んだんだね、ディックってば。

みんなの不幸を一身に引き受けて・・・。



<フィリップ・K・ディックの世界>
 ■本でP・K・D!!
『去年を待ちながら』(1989年・創元SF文庫) 
『流れよわが涙、と警官は行った』(1989年・ハヤカワ文庫) 
『マイノリティ・リポート』(1999年・ハヤカワ文庫) 
『フィリップ・K・ディック・リポート』(2002年・ハヤカワ文庫) 
『最後から二番目の真実』 (2007年・創元SF文庫) 
『時は乱れて』 (2014年・ハヤカワ文庫) 

■映画でP・K・D!
『マイノリティ・リポート』 (2002年・米・スティーブン・スピルバーグ)  
『スキャナー・ダークリー』 (2006年・米・リチャード・リンクレイター) 
『NEXT -ネクスト-』 (2007年・米・リー・タマホリ) 
『アジャストメント』 (2011年・米・ジョージ・ノルフィ) 
『トータル・リコール』 (2012年・米・レン・ワイズマン) 


<熱帯雨林>

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)
浅倉 久志
早川書房
ユービック
浅倉 久志
早川書房

 


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