「偽者現る」
冬灼と一緒に花容へ行った何侠は、船の残骸が散らばっているのを見る。14体の亡骸のうち12体が水賊のもので、火の手が上がった船は強風により、すぐさま火に包まれ、雷のごとき轟音と共に爆発したとか、と説明を受ける何侠。「貴炎将軍の見立ては?」と何侠が聞くと「貴将軍をお見かけしておりませぬ」と言う返事が。
何侠は北捷と娉婷が生きていることを確信する。
花容の渡し場。「川沿いを探しても徒労に終わりました」と何侠に話す冬灼。何侠は「2人は死んでおらぬ。痕跡を残さずに消えた」と返す。冬灼が「娉婷さんの無事は喜ばしいことでは?」と聞く。しかし何侠は「楚北捷を選ぶなら、死ねばよい」と言う。そこに何侠を捜していた男が来る。男は「数日後には皇女様が花容に到着なさいます」と言う。晋へ向かう途中でお立ち寄りを、と。「丞相の差し金か。今、晋に向かえば皇女の身が危うい。皇女を迎えに参る」と声を荒げる何侠。しかし男は「花容で待てと皇女様の伝言です」と話す。疑問を感じた何侠は皇女がどこに泊まるのか聞く。男は「貴丞相の屋敷です」と答える。
綴錦雅閣に向かった何侠と冬灼は、貴炎が何大炮(かだいほう)を招き入れるのを見る。何大炮は武器を扱う燕の豪商だった。貴家の屋敷を訪れた理由を探るため、2人は潜入することに。
貴炎は1人では持てない大きな箱に入った金子を2箱運ばせると「ほんの気持ちですが、お受け取りください」と何大炮に言う。「将軍は何をお望みでしょうか」と尋ねる何大炮。貴炎は「白蘭は毎年、軍備の資金を渡し、燕の庇護を願っています。ですから白蘭が窮地に陥れば燕は無視できまい」と話す。何大炮は「涼との戦いで晋に援軍を出させたことですかな」と言う。「さすが話が早い。晋軍を怒らせれば破滅です。楚北捷は戦の帰りに白蘭の領内で殺され、われらがどんなに否定しても疑いは晴れませぬ。帰国なさった皇女は父の助言も聞かず、異国から迎えた色男の言いなりです。まずい事態に」と言う貴炎。
何大炮が「その色男は、わが燕の罪人ですぞ。皇女に取り入ったのも、よからぬ考えがあるはず。いずれ陛下に始末される身です」と言い、貴炎は「白蘭の力になってくだされ」と頼む。「陛下は白蘭をお見捨てにはなりませぬよ、ただし燕の他には色目を使わぬように。楚北捷が死に、晋は荒れております。今や司馬弘は明日をも知れぬ身です。あちこちに尻尾を振っても、いい目は見られませぬぞ」と何大炮は言う。そして「晋との交易に開かれた関所は、燕にお引き渡しあれ」と話す何大炮。しかし貴炎が「私は決められませぬ」と言うと、何大炮は「何だと?ならば話はこれまでだ。時の浪費である」と言って、帰ってしまう。
貴炎たちの会話を聞いた冬灼は「貴常青が戦を避けるのも当然ですね。長年にわたり、白蘭は燕軍の助力を頼みにして、何大炮を通じて銭を渡していたのです」と何侠に話す。「その他にも貴家は白蘭の公益を一手に握り、甘い汁を吸ったはずだ。私欲のために削られた軍備費で、どんな武器を買い入れたのか。その数も、すべて分からぬ」と言う何侠。もしかすると白蘭の武器庫は空かもしれないと。冬灼が「貴家は白蘭に並ぶ者なき名家。まさか、こんな真似をしていたとは」と言い、何侠は「花容は貴常青の故郷だな。皇女が来るまでの数日をうまく使おう。貴家の懐具合を探るぞ」と返す。
「北捷様と娉婷さんはどこなのよ。もし噂が本当なら、あなたをたたき出す」と楚漠然に詰め寄る酔菊。漠然は「うるさい女だな。二人は無事だと言ったぞ、陛下もよい方だ」と話す。酔菊は「陛下は正気を失ってる。あの金丹は毒だったわ」と言う。「噂を信じてどうする。少しは頭を働かせろ」と言う漠然。しかし酔菊は「火のない所に煙は立たない」と言い返す。北捷様と娉婷さんは生死も分からないのよ、捜しに行きなさいと。そんな酔菊の肩に石があたる。「何よ」と酔菊が漠然に言うと、今度はお尻に。
漠然が屋根の上を見て笑う。酔菊はその視線の先にいた2人に「誰なの?」と言う。
2人は屋根から下り、変装をしていた娉婷が「私たちを忘れた?」と聞く。「北捷様、娉婷さん、死んだかと思った。よかったわ」と喜ぶ酔菊。漠然との話を聞いていた北捷は「酔菊、金丹が毒だと言った理由は?」と尋ねる。「師匠の残した書きつけに金丹が記されてて、成分が少し違ってました。渡された金丹に入ってた鉱物は、微毒だけど疲れに効きます。長く服用すると五臓六腑に毒が蓄積され、ひどくなると正気を失います。やがて死に至ります」と答える酔菊。
北捷は「最初の数粒だけなら問題はなかったのだ」と納得し、解毒の薬があるか聞く。酔菊は「症状を見ないと何とも言えません。解毒の苦しみに耐えられないかも」と話す。「まずは試しましょう」と娉婷が言い、北捷は皇宮へ戻ることにする。
晋王私邸にいた燕王・慕容粛に、陸軻が「6つの小隊を晋に送りました。鎮北王の旗を掲げ、蜂起を呼びかけると、民だけでなく兵も加わってきました。数千人が集まり、まだ増えています。3日後、わが軍は晋の都から50里離れた先で張尚書の軍隊と合流します」と報告する。「晋王め。かつてお前が朕から奪ったものを、利息をつけて返してもらおう」とつぶやく慕容粛。
晋の皇宮。うなされて目を覚ました司馬弘に、急いで宮女の双児が駆け寄る。水を飲んだ司馬弘が「誰か」と呼ぶが、誰も来ない。何度、読んでも誰も来ず、司馬弘は部屋を出ようとする。しかし扉には鍵がかけられていた。
扉の隙間から王総管が見え、司馬弘は「裏切り者め。王総管、一族を皆殺しにしてやる」と叫ぶ。そんな司馬弘を、王総管は鼻で笑う。力なく司馬弘が扉から離れた時「罪人を連れてきて、打て」という声が聞こえる。打たれている叫び声を聞き、双児はすぐに自分の母親の声だと気づく。扉の隙間から母が打たれている姿を見た双児は「母さん」と泣き叫ぶ。
司馬弘と閉じ込められる前、双児は仕事をしている母の元へ行くと、銭を渡し「太尉のお屋敷で働いてる、おじさんにも渡してね」と話していた。母は「おじさんて?」と聞くが、双児は「母さん、何も言わないで。もう行かなきゃ、元気でね」とだけ言ってその場を後にする。母が誰もいない場所で銭の袋を開けると、銭と一緒に紙が入っていた。
夜になり、母は太尉の屋敷へ人目を盗みながら向かう。しかし、門を叩いている時に、気絶をさせられ連れ去られてしまう。母が受け取った紙には“朕を助けよ”と書かれていた。そして謝恒に渡したかった紙は、張文征の手に。
母は双児の目の前で打たれ死んでしまう。「愚かな娘を許して。私が母さんを殺してしまった」と泣き崩れる双児。
謝恒の屋敷は見張られていた。刺客を数人倒し、屋敷に入った北捷は、謝恒と会う。今の宮中がどんな状況なのか聞く北捷。謝恒は「鎮北王がご不在だった一月(ひとつき)、陛下にお会いできませんでした。民の間で流言が飛び交っています。“白蘭と手を結んだ暗君に、鎮北王は殺された”とも“生きている”とも。鎮北王の旗印のもとに民が集まり、今にも蜂起しようとしています」と答える。焦った将軍たちが太極殿に向かうも勅命により牢送りとなりました、迫りくる蜂起軍に臣下たちは恐れ、眠れぬ夜を過ごしていますと。
北捷は「人々の噂によれば、明日、蜂起軍が都から50里離れた先で集まるとか。その目的や策、人数など、全容は分かりませぬ」と話す。「不穏な事態ですな」と言う謝恒。「反乱を平定するには援軍が必要です」と北捷が言い、謝恒は都の中には動ける将軍がいないため、都の外に待機する龍虎軍と黒豹軍に向けて、すぐに伝書鳩を飛ばすことにする。さらに軍を率いるための令牌を北捷に渡し、謝恒は「この国のいく末を、鎮北王に託します」と言う。
蜂起軍。「これは千載一遇の好機だぞ。一生に一度、あるかないかだ。いいか、俺の話をよく聞け。愚かな晋王の暴政により、国は傾き、民は貧困にあえいでいる。皆も怒りを募らせているに違いない。俺たちも同じだ。だからみんなで力を合わせ、立ち上がろう。共に暴君を倒すのだ。今こそ暴君を廃し、新帝を立てよ」という男の声が響く。そんな兵士たちを募っている場所に、北捷、男装した娉婷、漠然が潜り込む。
「志を同じくする仲間に秘密を明かそう」と男の話はつづく。鎮北王は生きている、たとえ紅蓮の炎に焼かれても灰となって消えることはない、と。さらに男が「生き延びたが、炎に焼かれて二度と見られぬ顔に。俺は鎮北王を見たぞ。かつての面影はなく、目玉が飛び出ていた。鼻と口、3つの穴があるだけだ」と言い、笑うのをこらえる娉婷。北捷も苦笑いをするしかない。そんな中、娉婷は数人の見覚えのある顔に気づき「この騒ぎの裏には、きっと燕軍がいるはずよ」とそっと北捷に伝える。
「三分燕子崖よ。あそこで燕軍を待ち伏せるの。燕軍が建康へ向かうには必ず通る場所で、待ち伏せには格好の地形よ。おそらく日暮れに燕軍は三分燕子崖を通る。兵を無駄にしたくない燕王は、主力部隊を投入しないはず。兵5000の龍虎軍で戦えるわ。最悪の事態を考えて、都の外に1000の兵を配する。われわれが建康を背に守り固めれば、燕軍は無理に攻めない」と話す娉婷。北捷は漠然に太尉の令牌を使い、龍虎軍5000を率いて三分燕子崖へ向かうよう命じる。また黒豹軍1000の精兵を都の外で待機させよ、と。
漠然が行き、北捷は娉婷の顔を見る。「顔の汚れが不自然に?」と娉婷が聞くと「誰の目にもつかぬ所に閉じ込めたい」と言う北捷。娉婷は「人に見せたくないほど醜いかしら」と返す。北捷は「その美貌を人目から隠して、誰にも奪わせぬ」と言う。くすっと笑い「誰が奪うと?」と言う娉婷。北捷は「そうだな。楚北捷に勝てる男などおらぬ」と言う。
荒れ果てた部屋の中で持っていた剣を落とすと、司馬弘は寝台に座り双児を呼ぶ。何度も呼んで、ようやく来た双児をひざまずかせた司馬弘は「宮女、双児。心根は善良にて寛容の心を持ち、鳳凰の五徳を備え、民を思いやれる。朕を見捨てず、誠意を持って仕えた。今日ここに双児を皇后とする。天下の母となり“敬淑皇后”と称せよ」と告げる。驚く双児に「礼を言わぬか」と司馬弘が言い、双児は「陛下のご厚恩に感謝いたします」と涙を流す。頭を下げる双児を見つめながら“すまぬ、巻き込んでしまった”と思う司馬弘。
鎧姿に鉄面を着けさせ、偽の北捷を作った慕容粛。偽の北捷は体つきだけではなく、声まで本物に似ていた。慕容粛は「楚北捷よ。蜂起軍を従えて建康に攻め入り、晋に新たな皇帝を立てるのだ」と命じる。
「日没前にはわが軍は健康に臨むかと」と陸軻に言われ、慕容粛は「今夜は晋の皇宮で祝いの宴を開こう」と笑う。
首尾よく成し遂げても、この策が露見すれば父上の足かせとなると心配する張貴妃。張文征は「私に盾つく者はおらぬ。陛下は正気を失っておる。外の軍隊がなだれ込んでも、中にいる兵と燕軍で食い止められよう。ましてや…お忘れか、楚北捷が謀反を起こし、新帝を立てたのだ。怒りの声が上がっても、矛先はやつに向かう。楚北捷に守ってもらえばよい、貴妃様が新帝をお産みになるまでな。用済みとなった楚北捷は病で死に、貴妃様は新帝の母として摂政となるのだ」と話す。われらの策略に抜かりはないと。それでも張貴妃は落ち着かず、心配が消えない。そんな張貴妃に「ここまで来たからには、後戻りはできぬ」と言う張文征。
蜂起軍の元に偽の鎮北王が現れる。皆に出迎えられる様子を見て「さすが鎮北王ね」と言う娉婷。「気に入ったのか」と北捷が言うと、娉婷は「鉄面で顔を覆う姿は謎めいて、鎧に身を包む姿は雄々しい。あれほどの若き俊英はめったにいないわ。世にもまれな傑物よ」と話す。
ーつづくー
のんのんさんにコメントをいただいて、26話のあらすじを書いてみました。
27話の放送に間に合わなくてすみませんヾ(・ω・`;)ノ
お話がつながったら嬉しいです | ω`)こそっ
久しぶりに漠然と酔菊のやり取りが見れてよかったですー♪
やっぱり2人の会話は面白い(*≧ω≦*)
そしてハッキリと金丹が毒だったと分かりましたね。
まさか司馬弘を閉じ込めるとは(✽ ゚д゚ ✽)
王総管も憎らしい!!
そして、双児を皇后にしてしまった司馬弘にもビックリ。
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孤高の花すごくおもしろいです。ウォレス•チョンカッコ良すぎです o(≧▽≦)o
来週からはファランも始まるし楽しみですね!
新参者ですが、男らしい北しょうさまの、ちょっとした仕草やふとした目の動きに、キュンキュンしています
今後も、是非とも書いて下さいませ!
そして双児を突然皇后にすると言い出した司馬弘にもビックリ。
双児は促されてお礼を言っていたけど心中どういう気分だったのか気になりました(;^_^A
最近の回は特に色々起こって目が離せない展開ですね。面白いです。
北捷と娉婷の老けメイクもいい感じ!?でしたね(≧▽≦)
小石作戦は面白かったです。
その一方で、晋王と双児はつらい状況で。
くるみさんが書かれているように
お母さんがあのようなことになるなんて
本当に悲し過ぎます。
姐姐がコメントされているように王公公は
目に余りますよね・・・