【登場人物】
岳飛(がくひ) …文武両道に秀で、忠義に厚い勇士。主人公。
王貴(おうき) …岳家軍。義兄弟。
牛皐(ぎょうこう) …岳家軍。義兄弟。
張憲(ちょうけん) …岳飛家軍。義兄弟。
岳雲(がくうん) …岳飛の息子。
兀朮(ウジュ) …太宗の4男。
斡離不(オリブ) …太宗の次男。
粘没喝(メネガ) …金の元帥。
秦檜(しんかい) …中丞。王仲岏の娘・王氏が妻。
「秦檜 涙の釈明」
「威厳に満ちた陛下を畏怖しております。たとえ何が起ころうと、陛下の後ろ盾があれば動じません」と答える秦檜。すかさず高宗は「奸臣め」と叫ぶ。「朕を裏切ったな。証人がおるのだ。まだ言い逃れを?」と。「確かに本日、金の者が来宅しました。内通せよと言われましたが、私は断固拒み、そやつを殺しました。上奏書に記してあります。明朝、上奏するつもりでした」と秦檜は釈明する。秦檜から上奏書を受け取った高宗に「秦殿は事態の露見を恐れ口封じしたのです。どうぞご明察を」と言う岳飛。
秦檜は「私は五国城から逃げ帰って以来、帰徳から建康、更には臨安までと陛下に付き従ってまいりました。わずかな二心さえ抱いたことはなく、不義を働いたことも当然ありません。陛下が臨安に戻られたあと、喜ばしいことに宋は再興を遂げてまいりました。そして私が朝廷で犬馬の労を取る中、久方ぶりに世は太平となったのです。もしも私が金の間者なら、命懸けで陛下に付き従うでしょうか。罪があると仰せなら、私の最大の罪は五国城から逃げる時、二帝と母君をお連れできなかったことです。私がこれまで和議を強く主張し続けたのは、金を恐れたからでも、間者だったからでもありません。和議によりいつの日か母君を宋にお迎えしたかったからです。私のこの赤心は天が知っております。もし信じてくださらないなら、お願いいたします。どうか私を殺してください」と涙ながらに訴える。
それでも「近年、宋は金に侵され、民は苦しみにあえぎました。北伐によってのみ、二帝のご帰還と真の太平が実現するのです。妙なことに我々が金に敗北した時は秦殿に何の動きもない。勝利すると秦殿は和議を強く主張される。秦殿が果たして忠臣なのか、奸臣なのか、何を企んでいるのか、どうぞご明察ください」と言う岳飛。高宗は涙を拭うと「秦檜、そちを殺さぬが用いぬ。二度と顔を見せるな」と言うと行ってしまう。
秦檜が罷免されて間もなく太上皇崩御の知らせが臨安に伝わる。高宗は父の訃報を聞くと悲嘆し、ようやく北伐の決意を。
淮西軍を率いていた劉光世は戦で幾度も手を抜いていた。高宗は淮西軍5万を岳飛に与えることにする。
丞相府から追い出された秦檜一家は、鼠も出るような家へ引っ越すことになる。
岳飛母の病は重くなっていた。安娘が薬を飲ませている時「父上だぞ」という声がする。喜んだ安娘が呼びに行っている間、咳と一緒に吐血をする岳飛母。岳飛母は皆に知られないよう、血のついた手巾を隠す。
岳飛はすぐに母の元へ来ると、食べると長寿になるという“長寿酥”とを食べさせながら薬を飲ます。「前はお前を子供だと思っていたけど、今では…私が子供ね」と言う岳飛母。岳飛は「ならお利口に」と言って笑わせる。岳飛母は孝行息子を持ち、何の心残りもないと言う。
娟児はまだ岳雲に怒っていた。岳雲は「あの日、父上に鍛錬を強要されたんだ」と謝るが、娟児は「将軍ともあろう人が弁解?」と言って許してくれない。そんな娟児に「戦に出ても君を思っていた。郢州で城壁に登り敵と死闘になった時、急に怖くなって一瞬体から力が抜けた。君に会えなくなるかもと思ったからだ」と言う岳雲。さらに岳雲はあの日買ったかんざしを娟児に贈る。ようやく仲直りができ、ふざけ合う2人。そんな2人を温かい目で孝娥が見ていた。
岳飛に呼ばれた岳雲は、心当たりがなく「何か過ちがあれば私に罰を」と言う。岳飛は何も言わず、部屋にいた孝娥が「馬鹿な子ね。結婚することが過ちだとでも?本当に娟児が好き?」と言う。照れる岳雲に岳飛は笑い「この馬鹿息子め。お前も所帯を持つ年になった。彼女と添い遂げる覚悟はあるか?」と聞く。娟児はいい娘だ、もし2人とも望むなら孝娥と一緒に張員外に話してみると。感謝します、と岳雲は岳飛と孝娥に抱きつく。
岳雲が結婚すると知り、喜ぶ岳飛母。「雲の晴れ姿を見るまで元気でいないとね」と言い、苦い薬を我慢して飲む。
岳飛に会いに来た梁興も岳雲の結婚話を祝福する。
北方の様子を岳飛が聞くと「状況は複雑だ。劉豫が廃されたあと、斉の臣僚は反目している。中原の奪還を望む声は民の間で高まる一方だ。実はここに来る途中で兄貴から食糧をもらい帰郷した斉の元兵士に会った。帰郷後、宋と兄貴の恩徳を広く伝えたそうだ。こうも言ってくれたぞ“岳将軍が北伐を決めたら必ず従軍する”と」と話す梁興。岳飛は「今年、宋と金の形勢は完全に逆転した。朝廷さえ決断すれば中原と二帝の奪還は難なく実現する」と言う。しかし梁興は「宋で強力な軍隊は岳家軍のみ。だが我が軍はわずか3万。これほど少ない軍勢では、正直勝利は保証できない。中原の奪還には、最低10万は必要なはず」と心配する。そんな梁興に劉光世の淮西軍5万を岳家軍に編入すると張憲が言う。これで岳家軍は3万じゃなく、10万近くになると。中原を奪還できると梁興は喜ぶ。
岳雲の結婚式の招待状を書いていた岳飛は、目の病が再発してしまう。孝娥はすぐ医者に見てもらうが、医者は「この病を治せるのは鍼灸だけです」と言い、毎日飲めば症状は落ち着くという処方箋を出して帰って行く。
目を保護している岳飛に「岳将軍、お茶です」と言って手渡す娟児。岳飛は「娟児、義父上と」と言う。娟児ははにかみ、岳雲を見る。
ボロ家に住むようになった秦檜を張俊が訪ねてくる。「私の力不足で秦殿をこんな目に遭わせた」と詫びる張俊。張俊は淮西軍5万の主が岳飛になることを話し「私に助言を」と言う。もし岳飛が10万の大軍で北伐をしたら我らは朝廷から締め出されると。考えた秦檜は「私が動くしかないな」と言う。
高宗に会った張俊は「陛下が淮西軍を岳殿に与えると聞き、心配でなりません。どうかご再考ください」と話す。「たった5万を与えるだけだ。何をそれほど案じておる」と返す高宗。張俊は、先の譲陽の戦で劉光世の副将・酈瓊は岳家軍の勝利後、戦地に着いたとか、また、これまで劉光世は敵と真剣に戦わず、酒色にも溺れて部隊の軍紀を乱しました、確かに劉光世は罷免すべきです、彼の兵権を奪い、諸将の見せしめとしたのはまさに一挙多得です、しかし1つ気がかりな点が、岳飛が劉光豫を弾劾し淮西軍を引き継ぐのは、もしや敵対者を除き自軍を強化する狙いでは?と言う。
「岳飛は弾劾しておらぬ。逆に劉光世のため口添えをした。首級の功績は劉光世にあると言うのだ。“劉元帥の軍は到着が遅れたが、岳家軍は味方が来たことに勇気づけられ勝利を手にできた”と。劉の兵権を取り上げたのは一時の衝動ではない。勇猛だった淮西軍が劉のせいでただの無駄飯食いに成り果てた。嘆かわしい」と高宗は話す。勢力を集結した強大な軍で国の恥辱をすすぎ民を困窮から救う、この重任を果たせるのは岳飛だけだと。
張俊はひざまずき「陛下は英明なり。しかしながら進言せざるを得ません。岳飛の権勢が高まりすぎて、主を脅かすようになれば収拾がつかなくなります。聞けば岳飛はどこへ行っても地元の民に大歓迎され、去る時は涙を流す民に見送られるとか。岳飛は私の昔なじみであり、人柄も保証します。ただ私情に流されて、国事に粗略に扱ってはなりません。友としては岳飛の抜擢を願いますが、あえて私情を捨てて諫言します。古言いわく“警戒心は失うべからず”。万一、強大な軍隊が陛下を裏切ったらどうなりましょう」と秦檜に言われた通りに訴える。
高宗が「岳飛は謀反を起こすような人間か?」と聞くと「では僭越ながらお尋ねします。岳飛が戦場で命懸けで戦うのはなぜでしょう」と言う張俊。「二帝と中原の奪還のためだ」と答えた高宗に、張俊は「建前はそうですが、人の真意は測り難きもの。警戒心を失ってはなりません。我らが太祖は元々後周の世宗の寵臣でした。しかし世宗の崩御からわずか半年ほどで宋を開いたのです」と言う。一理あると思うものの、すでに岳飛に勅命を出していた高宗は「“主君に戯言なし”と言うように朝令暮改はできぬし“人を使えば疑うな、疑うなら人を使うな”、己の大将を疑えぬであろう」と返す。「では、いっそ岳飛に探りを入れてみては?」と言う張俊。財、色、権の3つで探ってみるのです、と。
皆に祝福される中、岳雲と娟児の婚儀が行なわれる。嬉しい岳飛母は「お前の責任は、早く私にひ孫を抱かせること」と岳雲に話す。
岳飛と岳雲に“拝謁に参上せよ”という高宗からの聖旨が届く。不安な気持ちになる家族たち。
ーつづくー
秦檜、とりあえず退場となったけど、絶対復活するよね(*´Д`*)
ボロ屋に住み始めたけど、どうしても捕虜の時よりマシに見えちゃう。
娟児はまだ岳雲のことを許せていなかったんだ!?…と思ったらいきなり結婚!!
まだまだ岳雲は子供だと思ったのにー(*´艸`*)
その結婚式で意識し合う楊再興と小慧。
こっちの2人のほうが早く結婚すると思ってた(〃∇〃)
心配なことがいっぱい。
岳飛母の病も、岳分の目の病気も、張俊の言葉も、そして勅命も…。
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岳家にいい話題が舞いこみました。
岳飛ママと岳飛の眼は心配ですけれど。
素素たちはどうしているのでしょう?
張用も。
安娘も綺麗なお嬢さんになっていました。
ホントに子ども達が成長して驚きました!
二人の赤い庶民的な婚礼衣装、やはり素敵でした。
次は楊再興と小慧だね。
秦檜の涙の言い訳にだまされずに
岳飛にも5万の兵を与えると改心したかのような高宗。
張俊を操って罷免された秦檜の企みにまんまと嵌まって、やっぱり高宗を信じてはいけません。
そういえば、妬み疑い深い性格でした。