【登場人物】
岳飛(がくひ) …文武両道に秀で、忠義に厚い勇士。主人公。
王貴(おうき) …岳家軍。義兄弟。
牛皐(ぎょうこう) …岳家軍。義兄弟。
張憲(ちょうけん) …岳飛家軍。義兄弟。
岳雲(がくうん) …岳飛の息子。
兀朮(ウジュ) …太宗の4男。
斡離不(オリブ) …太宗の次男。
粘没喝(メネガ) …金の元帥。
秦檜(しんかい) …中丞。王仲岏の娘・王氏が妻。
「粘没喝の謀反」
夜。剣の手入れをしながら「手はずは?」と韓常に聞く粘没喝。韓常は「万全です」と答える。「しかし四太子に相談が必要では?」と韓常が言うと、粘没喝は「信用できん。話す気はない」と返す。奴は岳飛に大敗を喫した、敵を取りたくても今は軍が整っていないと。韓常は「では今が絶好の機会ですな」と言う。
韓常が下がり、粘没喝は鄭慶雲を呼ぶ。鄭慶雲の手を見ながら「明日はこの手で私に新しい衣装を着せてくれ。宋の言葉で何と言ったか」と言う粘没喝。鄭慶雲は「龍袍よ」と答える。「まさしくその龍袍だ。明日、私が龍袍を着れば、お前は皇后だ」と粘没喝が言う。
翌日。合剌と一緒に粘没喝や兀朮も狩りへ。その最中、突然、反乱が起こり、粘没喝が助けるフリをして合剌を馬に乗せ連れ去ってしまう。しかし韓常から事前に謀反の話を聞き出していた兀朮は、夏金烏に先回りをさせていた。
後から追いかけて来た兀朮が「仲間を失っても己を貫きたいか」と粘没喝に言う。「些細な事には拘泥しない。今日こそ失ったものを取り戻す」と言い返し、合剌を殺そうとする粘没喝。兀朮は盾を投げ、剣を持っていた粘没喝の手に当てる。合剌は馬から落ち、粘没喝はその場から逃げ出す。その後を兀朮が追う。
「今日はお前か私、どちらかの命日だ」と言い、粘没喝は馬から飛ぶと、兀朮に体当たりをし落馬させる。
兀朮の首を絞めながら「なぜ私の邪魔ばかりする」と言う粘没喝。兀朮は「義兄上が謀反したからだ。仕方がないだろう」と苦しそうに答える。「天下を打った者が国を牛耳るのだ」と粘没喝が言うと「天命に従うべきだ」と言う兀朮。兀朮は死罪にならないよう口添えする、一緒に戻ろうと説得するが、粘没喝は「堂々たる金の勇士は、戦場でしか死なぬ」と聞いてくれない。それなら遠慮はしないと、兀朮は反撃に出る。
互いに短剣を手に持つ兀朮と粘没喝。兀朮ともみ合っていた粘没喝は、兀朮が持っていた短剣を自分に向け自らの体に刺して行く。つらそうな顔になる兀朮。そんな兀朮に「お前の手にかかり死ねるなら本望だ」と粘没喝が言い「嫌だ。義兄上!」と兀朮が叫ぶ。
粘没喝がひざをつき、兀朮は泣きながら片手で粘没喝の目を覆うと、もう片方の手に持った剣で粘没喝の首を斬る。それを見てしまう翎児。
粘没喝が倒れ「兄上」と言いながら駆け寄った翎児は兀朮を突き飛ばす。
太上皇は“九業の鴻基 一旦休す 猖狂にして聴かず 直臣の謀 心に甘んじて万里 降虜と為るも 故国は悲涼 玉殿の秋”と書いて崩御する。
趙桓は涙を流し、韋氏は「陛下、疲れましたね。お休みください」と静かに言う。皇帝となったのは間違いでした、庶民だったらよかったのに、きっと文人墨客のごとく世事から離れて暮らせましたよ、そうすれば国を背負わされることもなかったはず、きっと屈託なく楽しいこともたくさんあったでしょうに、と。
岳飛は湖北京西路、宣撫使に昇格。大尉となり高宗から褒美をもらう。諸将も昇級し、褒美が出る。皆は高宗に「陛下に命を捧げ、ここに忠義を誓います」と言う。
高宗は岳飛を労い「故郷に錦を飾り、ゆっくり休む時が来たな」と話す。しかし岳飛は「靖康の変以来、雪辱を果たしたいと願っていました。中原を回復するまでは故郷に戻りません」と言う。それを聞き「今は得難いことに両国の戦は収まり太平の世となっている。なぜ再び戦端を開こうと言うのだ。天下が乱れますぞ」と言う秦檜。
岳飛は「金にはまだ宋侵略の意志があります。金が剣を放さぬうちは油断できません。さもなくば民には死が待ち受けています」と返す。「長年の戦で国庫は疲弊しています。中原の回復となると更なる兵士とその俸給が必要で、その俸給が民たちの負担となるのです。岳殿、そんな苦しみを民に担わせるおつもりか」と秦檜は言う。それでも「将来の安定を見据えるべきでは?末長い幸福のため、今、苦労するのです」と言う岳飛。秦檜は「北伐については陛下に決裁を仰ぎます」と言う。「それでは…諸君に何か意見はあるか」と言う高宗。
張俊は「武将として考えるに戦場での死は当然のことです。ですが秦殿の意見は道理があり、開戦は避けるべきでしょう」と言う。しかし「岳殿は赫赫たる戦功を上げました。加えて現在朝廷では韓将軍、張将軍などの士気も高いため、勝利に乗じて追撃し、中原を回復する好機です。金と幾度も交戦した岳殿が北伐を願い出るなら必ず勝算があるはず」と言う趙鼎。さらに趙鼎は「秦殿は文官の身でありながら戦場での戦略をお分かりになるのか?あるいは…」と言いかける。「何だ?」と高宗が聞くと趙鼎は「巷で庶民が噂していることですが、秦殿には何か企みがあるのでは?」と話す。「そのような戯言を信じるおつもりか。宋の丞相とは思えぬ度量ですな」と激怒する秦檜。もめそうな2人を止めた高宗は「北伐については急ぐ事はない。時間をかけて協議する」と告げ退朝する。
「いくら追い返しても、庶民が毎日押し寄せるのよ」と秦檜に話す王氏。秦檜はそれには答えず「陛下に疑念を抱かせたようだ」と言う。そこに鄭慶雲という方がいらしていると知らせが来る。
鄭慶雲は息子を連れ亡命し、秦檜を頼って来ていた。秦檜に斡離不から預かったという密書を渡す鄭慶雲。鄭慶雲は宮中で隠居できるよう、陛下に口添えしてほしいと秦檜に頼む。秦檜は「城西に静かな拙宅があります。陛下の指示があるまでそこでお待ちください」と話す。
鄭慶雲が屋敷から出ていくと、秦檜は秦熺を呼び「私の考えは分かるな」と言う。
鄭慶雲が丞相府から出てくるのを岳雲と張憲が見かける。馬方が金の人間だと分かる張憲。馬車の車輪も摩耗して汚れてる、長い道中だったのだろう、きっと金からやってきたのさ、と。
2人は秦檜が金と結託している可能性があると考える。岳雲は鄭慶雲の後をつけることに。
斡離不からの密書には和議の催促が書かれていた。そんな話しを秦檜と王氏がしていると、岳飛が訪ねてくる。
岳飛は“国土奪還”と書いた書を贈り物として秦檜に渡す。それを見た秦檜が「岳殿もあのでたらめな話を信じておられるのか?私が金の回し者だとでも?」と聞く。「違うことを願います」と答える岳飛。岳飛は「目下、国を挙げて北伐の声が高まっています。我々も遺恨を捨て心を1つにし、文官と武官で協力する必要があります」と岳飛が話すと、秦檜は笑い岳飛を掛けさせる。
「明日、出発するため、気持ちを理解いただくべくここへ参りました」と言う岳飛。秦檜は「戦になるか和議となるかは、私と岳飛との争いでも陛下と金の争いでもない。今日の結果は先代に原因があり、その曲折は言い尽くせるものではない」と返す。岳飛は「口に出せない苦哀でも?」と聞く。「私を知る者はこの憂える気持ちが分かるが、知らぬ者には分かるまい。ただひと言に尽きる。“南の者は南へ、北の者は北へ帰るのみ”」と秦檜は答える。
岳飛は席を立つと「私も陛下も北の人間です。どこへ帰れと?故郷の人間は捨ておけとでも?」と言う。しかし秦檜は「宋と金が南北で分かれるのは大勢の赴くところなのになぜ逆らうのです?」と言う。「譲陽の一戦以降、宋と金両軍の優劣は明確になりました。それに金は太宗が病死し後継者でもめています。今が中原回復の好機ではありませんか」と言う岳飛。もし秦殿に忠誠心があるなら北伐に賛成のはず、と。秦檜は「これは陛下ご自身が保留された事案ですぞ」と言うと、岳飛の書は受け取れないと岳飛に返す。
夜道を走っていた鄭慶雲の乗っていた馬車を止めた秦熺。秦熺は「着きましたよ」とウソをつき鄭慶雲と息子を馬車から降ろす。そして秦熺は鄭慶雲たちを殺してしまう。
御者が「人殺しだ。誰か助けてくれ」と逃げだし、追いかけていた岳雲が自分の乗った馬に乗せ助ける。
寝ていた秦檜は「起きよ、門を開けるのだ」という声で叩き起こされる。一緒に起きた王氏は「すべて露見したのかも」と怯える。
秦檜が高宗の元へ連れて行かれる。高宗の横には岳飛が立っていた。ひざまずく秦檜に「朕が急きょ、そちを読んだ理由が分かるか?」と聞く高宗。秦檜が「みだりに憶測できませぬ」と答えると、秦檜の元まで歩いて行った高宗は「朕にはっきり顔を見せよ。そちの周囲で重大な事件があったのに、かくも冷静でいられるのだな。教えてくれ。そちは何を考えておる?」と言う。
ーつづくー
粘没喝は自ら命を…。
兀朮が今まで見た事がないほどの悲しい顔で(;△;)
そしてずっと2人の関係を心配していた翎児もつらかったと思う。
あんなシーンを見てしまって、これから兀朮と翎児は大丈夫かな?
太上皇もとうとう亡くなってしまいました(;_;)
宋に戻りたかったよね…。
岳飛と秦檜の関係もだんだん…。
以前からお互いによくは思っていなかったと思うけど。
趙鼎も岳飛よりだから秦檜に何かされないか心配。
秦熺は人殺しまで…Σ( ̄ロ ̄lll)
でも…いつも何かミスしているような?(気のせい?)
陛下に呼び出された秦檜。
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本人的にはある意味満足だったのかもしれませんが、
あのキャラが消えることは個人的には残念でした。
あの反乱の前の、
林に日差しが入るシーン、
翎児が失意で雪の残る湖畔を茫然と歩くシーン、
それぞれ綺麗なのですが、
人間がどんなことをしようとも、どんな気持ちであろうとも
美しい自然が受け止めていることが印象的でした。
粘没渇に対して見る目が少し変わった(^^;)途端に
もうお別れになって私も残念でした。
兀朮も翎児も辛かったですね。
太上皇は風流天子の名の通り、最期の際まで詩文を残して他国でとうとう逝ってしまいました。
楊再興が小慧の前では虎が猫になると
牛皐から「ミャオ、ミャオ」とからかわれていたのが
面白くって。
いつもほっとする岳飛軍の仲間内の会話です。
やっと秦檜のしっぽをつかんだ岳飛たち。
高宗はやっと目が覚めるのか?