発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

健やかなるときも、病めるときも

2011年01月10日 | 映画
 僕と妻の1778の物語http://www.bokutsuma.jp/index.html試写会。イムズホール。
 何を書いてもネタバレにはなりにくい。あらすじはCMの通りだから。
 妻ががんで余命一年と医師に告げられたSF作家の夫は、小説で妻を笑わせて免疫力を上げて長生きさせようと、妻のためだけに毎日原稿用紙三枚以上の短編小説を書くことを決意する。それまでの仕事と並行して。途中からは、高価な新薬の抗がん剤費用を捻出するために仕事を増やしたその上で、闘病中の妻に毎日毎日小説を書き続けるという話。
 1778を365で割ると、5弱かな。宣告を受けてからそのことを思いつくまですこし時間があるから、結局作家の妻は、五年くらいは生きたのである。自分のために毎日小説を書くと聞いたところで妻は「自分はもうじき死ぬんだな」と悟ってしまうんだけどね。
 泣け泣けといった感じじゃない、ハートフルな映画だから大丈夫。たんたんと日々が過ぎて行って、いつか最終回となるまで。
 そのお話のいくつかが映画の中に登場する。素敵な劇中劇。それが楽しい。だから二時間二十分近くが、あっというまです。絵もきれい。     
 世界はこんなに美しい。レトロな病院もなかなかいいと思います。
 「その健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか。」
 この映画を観て思い浮かべたのはこの言葉です。
 コンカツ中の方におすすめしたい映画だと思いました。ぜひとも。
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