今年3月に4年制の大学を卒業した55万人のうち、フリーターを含めて就職をせず、大学院や留学など進学もしない大卒者が98,000人に達していることが、文部科学省がまとめた学校基本調査速報で10日、分かった。文科省は98,000人すべてをニートと結びつけることは否定しつつも「相当数がニートである」としており、大卒者の6人に1人(17.8%)が「ニート予備軍」にあたるといえそうだ。
調査結果によると、今春の大卒者は551,016人を6つの区分に分け、区分外の「進学も就職もしていない」層を全体の17.8%となる98,001人と算出。大卒者全体の5.6人に1人が就職も進学もしない結果となった。
ニートは一般的には「就職も進学もしない若者」との定義が広く浸透し、「若年無業者」と置き換えられたり、無気力な若者の代名詞ともなっている。しかし、もともとは「Not in Education, Employment or Training」の略で「就職、進学、求職活動をしていない人」との意味。厚生労働省が「若者の人間力を高める国民会議」に示した資料には「年齢15-34歳で求職活動、通学、家事をしていない者」として64万人(H15)と推計している。
ところが、同省がまとめた労働経済白書ではさらに、「卒業者かつ未婚」と限定して52万人と発表するなど定義と把握数がまちまちの状況だ。
文科省は今回の9万8千人について、「家事手伝いや求職活動をしても仕事に就いていない層、例えば就職浪人も含まれており、すべてがニートとはいえない」と強調しながら、「ニートが含まれているのは間違いない」と分析している。【8月11日の産経新聞】
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【心配1】
前にも感じたんだが言葉の定義が省庁間で異なるのはいかがなものだろうか。同じ人が文部科学省調べと、厚生労働省調べで扱いが異なっていたら仮に社会的に対策を考えるとき困るでしょうに。
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【心配2】
NEETという言葉がいつまで、「Not in Employment, Education or Training」の略で、「職に就いていず、学校機関に所属もしていず、そして就労に向けた具体的な動きをしていない」人という意味でちゃんと使われるのだろう。
「無職・非学生・訓練中(求職中)に非ず」
この意味で使われるだけでも、かなり危ういが、これに社会からの引きこもりのイメージが重なると、さらに問題が複雑になる。
NEETに分類されることが差別を現在でも生んでいる。何かしら分類・ラベル貼り(若年無業者・無気力な若者の代名詞)になれば(確定的になってしまえば)、NEETの社会参加はますます難しくなる。
「フリーターですらない」
こんな風に書いていた雑誌記事を見た記憶がある。
「犯罪者予備軍」
こんなニュアンスで語る人もいる。極端すぎるが、今の世の中○×分類が大流行だから何ともいやな感じである。
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【心配3】
僕は高校教師である。大学新卒もそうだが、NEETになる可能性・危険性は、目の前にいる高校生でも状況はあまり変わらない。いや、大卒よりも悪いかも知れない。なんといっても二人に1人が大学生になる世の中である。そんな時代に大学生になっていないことだけでも、ハンデになりそうである。
…この先どうなるんだろう。
文部科学省が平成18年度当初予算で、ニート対策費を概算請求した。7億円…キャリア教育に重点とのこと。大学入学直後からキャリア教育を充実させるとしている。でも、本当に必要なのは高校生の方じゃないのかなあ。