貧困線(ひんこんせん)という言葉(指標)がある。収入が生活に必要な最低限の物を購入することができる最低限の収入水準にあることを表す統計上の指標。定義上、貧困線上にある世帯や個人は、娯楽や嗜好品に振り分けられる収入が存在しない。
放送大学で「国際社会研究Ⅰ-現代アメリカの政治」という科目をとったことがあった。その中の経済・人種構成についての記述で具体的に何を指す言葉なのかを学んだ。正直に言って、すごい言葉(poverty line)だなとも思ったけど、実感できなかった。
今回のハリケーンの報道で、実感できた。
貧困線以下の生活を送っている人のカテゴリーを貧困層という。ここに含まれるエスニックグループ(人種グループ)を見てみよう。
アメリカだと白人の貧困線以下に入るのは白人全人口の10%をやや下回る。一方アフリカ系アメリカ人(黒人)は23.6%。かなりの差がある。やや古い統計だが、アメリカにおける貧困線は1999年の統計では、4人家族で17,029ドルである。(詳しくはこちら)
5年前の統計だから、現在の為替レートで見てはいけない。仮の計算をしてみよう。1ドル100円だとしても、年収170万円。月収14万円程度。この中に衣食住全部が入っている。かなり厳しいのではないか。
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ニューオーリンズの水害の映像を見て思う。災害は肉体的、年齢的、社会的弱者を直撃するということを。
ここからのデータはWikipediaで調べた。
2000年現在の国勢調査で、この都市は人口48万人あまり。人種的な構成は白人おおよそ28%、黒人おおよそ67%、その他ネイティブ・アメリカン、アジア、太平洋諸島系、その他の人種及び混血の人たちがいる。(アメリカの国勢調査は細かい)。ここの人口の約3%はヒスパニックまたはラテン系。
この都市の一人当たりの収入(per capita income)は17,258 USドル。人口の27.9%及び家族の23.7% は貧困線以下。全人口のうち18歳未満の40.3%及び65歳以上の19.3%は貧困線以下の生活を送っている。。。
3人に1人は白人の割合だけど、TVを見る限り、被災者の割合とは違う。被災者に黒人が非常(異常)に多い。
避難命令が出ていたのに何でこんなに人がたくさん残留したのか不思議だった。今回のハリケーン被害者で病弱者などがこんなに逃げ損ねたとは思えないと思って調べてみたが、かなりの数、逃げたくても、車などの移動手段がなくて被災された方がいるということなのだろう。悲惨である。
事実に目をつぶることは避けたいが、本当に辛い現実である。