安全性が10倍に
先月24日、米航空宇宙局(NASA)は、小惑星や火星などに宇宙飛行士を運ぶ次世代有人宇宙船を、米航空宇宙大手のロッキード・マーチン社(Lockheed Martin)のカプセル型有人宇宙船「オリオン(Orion)」を基に開発すると発表した。
オリオンについては、僕もブログで取り上げたことがある。
この宇宙船は国際宇宙ステーション(ISS)への人員輸送や、次期有人月着陸計画(コンステレーション計画)への使用を前提に開発されていた。
2010年2月1日、オバマ大統領は2011会計年度の予算教書で、サブプライムショック以降の財政悪化を理由にコンステレーション計画の中止を表明。シャトル後継機のオリオンとアレスロケット開発計画は白紙に戻った。
同年4月13日、米政府がオリオンの用途を国際宇宙ステーションの緊急脱出装置に変更した上で、開発を継続する方針であることが明らかになった。
同月15日同計画について、オバマ大統領が発表。
-紆余曲折-
そんな感じがする。技術面だけでは、宇宙開発が進まない。財源問題(政策)は難しい。そう思う。
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多目的有人宇宙船(MPCV, Multi-Purpose Crew Vehicle)スペック
重量23トン。宇宙飛行士4人による21日間の有人宇宙探査ミッションを想定
打ち上げと再突入の際の安全性は、スペースシャトルの10倍に向上させる。
ロッキード社が開発を続け、NASAでは2019年までに試験飛行を実施。
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オリオンをベースにしたMPCVのスペックで、やっぱり気になるのは赤字部分である。打ち上げと再突入の時の安全性を10倍向上させる。比較対象はスペースシャトルの飛行実績である。STS-134エンデバー号ファイナルフライト成功で、通算134回のシャトルのミッションは、打ち上げ時失敗1、大気圏突入時事故1である。132回の成功、2回の失敗。成功率は約98.5%なのだ。100回打ち上げたら1度以上は死亡事故が起きていることになる。これを1000回に1度にすることを目ざす。飛行機の事故率が100万分の9、アメリカだけに限定すると、1000万分の34の確率である。10倍の安全性と言っても、宇宙開発はまだまだ実用とは言えない。とっても危険な、まさに作戦(ミッション)なのだ。
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2006.08.30、「ォライェン」