北宇治高校吹奏楽部でユーフォニアムを担当する黄前久美子は2年生になり、3年生の加部友恵と共に新入生を指導する立場になる。前年の全日本吹奏楽コンクールに出場した吹奏楽部には多くの1年生が入部し、低音パートには久石奏、鈴木美玲、鈴木さつき、月永求がやってくる。こうして全国大会金賞を目指すが、さまざまな問題が発生する。(Movix作品紹介) |
2年ぶりの新作公開である。4月20日、MOVIXデイで鑑賞した。
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見慣れた日常
主人公の黄前久美子は2年生に進級した。
僕にとって本作は、原作未読、TVアニメも見ていない状態で前作を見た時とは異なる。北宇治高校というものがたり世界、同校の吹奏楽部、田中あすかと久美子の関係。すべてが存在する状態。そこでの日常が、どんな感じになるか、心配で楽しみだった。
ものがたりは4月の入学式後の新入部員募集から始まる。新入部員として、4人が登場する。
月永求
コントラバス奏者。名字で呼ばれることを忌み嫌う。
久石奏
なかなかくせ者です。
久美子と同じユーフォニアム担当。
鈴木美玲、鈴木さつき
二人ともチューバ担当。美玲は人付き合いが上手ではない。
4人の教育担当(1年生指導係)になった久美子の悪戦苦闘、ドタバタは見ていて楽しい。「めんどくさいなぁ~1年生...」と本人はこぼしているが、ちょっと前まで1年生だったことを、自分は忘れるものなのだ。
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塚本君(と)いい感じ
塚本君と久美子の関係が、いい感じである。塚本君、いいヤツだ。
波瀾万丈の部活動
サンライズフェスティバル、オーディション、コンクール。少しずつ年度当初に掲げた「全国大会金賞」に向かい、部全体がまとまりを見せはじめる。久美子の「わたしは、頑張れば何かがあるって信じている。それは絶対むだじゃない。」その思いは、、、
演奏シーンは本作でも圧巻
コンクールの演奏シーン、今回もすごかった。特に打楽器のシーン。ホントにアニメーションでここまでできるのかと感じた。
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映画評で...
1年生キャラクターの掘り下げ、描き方が浅い、ものがたりがフワフワしている等の評を見かけた。それはある程度、正しい。でも、それはものがたり世界が見慣れた日常だからでもある。それだけ馴染んだ作品なのだ。
どうでもいいこと
北宇治高校に「進学クラス」? 2年次にクラス替えがないクラスがある。
前作でも感じたが、男女の制服のデザインがあまりに違う。
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本作は高校の部活動を舞台に高校生の日常を描く。当たり前の日々に起きうることを、丁寧に描き出すことの難しさに挑戦した作品。現職の高校教師の僕から見ると、毎日、毎週、毎学期。そして毎年繰り返される日常が、スクリーンに描き出されている感じがした。
僕たちは現実の生徒たちの3年間にかかわる。日々観察していると、そんなに急がなくてもいいのにと思えることも、彼ら彼女たちには超えるべき大問題のこともある。まぶしいばかりの青春の数ページを、凝縮して映画で見せられた感じがした。前作でも感じたことだが、ものがたりが心にストンと落ちた。
4個つけたいと思う。
久美子たちのさらなる成長を期待して、次回作を待つ。待つに値するものがたり世界である。