喜多方市の郊外、岩月町入田付上中戸にある小集落「杉山集落」。
かって、木炭と菅(スゲ=菅笠の原料)の産地であった集落には、「杉山の土蔵群」として知られる独自の風格を備えた農家蔵群が、今も往時のままに残されています。
三津谷が地元の登り窯で焼成した煉瓦蔵であるのに対し、こちらは白壁。
顔料を混ぜない白漆喰が美しい貯蔵蔵や、冠婚葬祭や賓客を迎える蔵座敷が建ち並び、ちょっとした別世界の雰囲気。
しかも蔵座敷の内部は漆で塗り飾られているとの事ですが、現在も人様が住んでおられる故に非公開になっています。
杉山の土蔵は土屋根の上に茅葺き屋根を乗せた「兜屋根」と呼ばれる「二重屋根」が多いのが特徴。大事な本体(土蔵)を守るように二重に作られた屋根に護られて、どのお蔵も剥がれの無い綺麗な壁面を見せています。
ご存知の方も多いと思いますが、漆喰には、防火(不燃性)というだけでなく、湿度を調節し、臭いを消し、微生物の繁殖を抑制するなどの効果があり、収穫した農作物を貯蔵する為には最適の素材。
明治時代、稲作から収入の高い菅(スゲ)に転作し、菅笠など菅製品の加工・販売によって財を成した杉山集落。人々は競うように蔵を建てたと言います。その昔、農家にとっても商家にとっても「蔵」とは裕福の証。立派な蔵を立てる事が甲斐性とされた時代ならではの集落土蔵群。
短い滞在時間でしたが、素晴らしい物を見せて頂きました。集落の入り口に立つお地蔵様に手を合わせ、一期一会の出会いに感謝。
訪問日:2015年6月20日