帝国データバンク釧路支店が、八月三十一日、道東(釧路・根室、十勝、オホーツク)地方の老舗企業実態調査の結果を発表した。調査結果によると、「明治末期の1912年までに創業した『老舗企業』(個人営業や各種法人も含む)は2011年7月末時点で118社に上った」(9月1日付『釧路新聞』第1面)というから、意外に多い感じがする。
鴨長明『方丈記』冒頭の「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、久しくとどまりたる例なし。人と栖と、またかくのごとし」(角川文庫)が念頭にあって、全国最古の金剛組(木造建築工事)が、「聖徳太子が四天王寺を建立するため百済から招いた工匠が始祖」(同新聞、主な老舗企業一覧表=写真中段<左>を転写)で、西暦578年(敏達6年)創業とは想定の埒外だった。
北海道は開発の歴史が浅いので、江戸時代創業はなかろうと思いきや、なんと道南・道央に安政とか万延、文久など江戸時代の年号が並んでいる。温泉旅館の第一滝本館やお菓子の千秋庵総本家が江戸時代創業とは知らなかった。
道東最古の企業が白崎建設株式会社とは驚いた。明治十八年の創業(会社概要は同社公式HPから転写)だという。橋南幹線道の浦見城山通の城山十字街近くにある社屋はもちろん明治の建築ではなかろうが、何の変哲もない三階建ての建物で、これまでどうと言うこともなく見過ごしてきた。入り口の引き戸が古風と言えば古風か。とまれ、浮き沈みの多い土木・建設業界で百二十六年間も営業を続けてきたことは驚嘆に値する。山も谷もあったに違いない。数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験が今後も活かされることを期待したい。
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