スマホのゲームアプリの中には
ゲームプレイを中断するように
画面いっぱいに広告が表示するものがある。
広告をゲームプレイヤーに見てもらうことで
無料でゲームが提供できているわけだ。
一定の時間が経過しないと広告は閉じられないため
ゲームプレイヤーはしばらく我慢して広告を見る。
（下手にタップするとリンク先へ飛んで面倒なのだ）
今日、私がプレイした無料ゲームで表示された広告は
広告表示中に体験プレイができたものだった。
ゲームの名前は『ざくざくキング』。
試しに遊んでみた。
鉱山を堀り、鉱物を換金し、
それを繰り返しながら発展させていくゲームだった。
よくある放置ゲームなのだけれど、
ハッと、まるでどこかの会社を縮図したようなゲームに気づき
とても恐ろしい体験をしたような気持ちになったので書き留めておく。
このゲームは、まず最初に『炭鉱を掘るキャラ』を雇う。
炭鉱を掘るキャラは、
1タップすると採掘し、採掘が終わると休む。
次に、採掘した炭鉱を『エレベーターで運ぶキャラ』を雇う。
エレベーターで運ぶキャラは、
1タップすると炭鉱を上に運び、運び終わると休む。
最後に、上に運ばれた炭鉱を『換金所に運ぶキャラ』を雇う。
換金所に運ぶキャラは、
１タップすると炭鉱を換金所に運び、運び終わると休む。
つまり、炭鉱を採掘し換金所に運ぶまで、
3人のオペレーターが必要なわけだ。
ゲームプレイヤーはこの3人のオペレーターをタップする。
ゲームスタート時は、これが主なゲームプレイになるのだが、
ある程度お金（キャッシュ）が貯まると、管理者を雇うことが出来る。
管理者はオペレーターに対し
休まないで動き続けるよう指示をする。
ゲームプレイヤーのタップに変わり、
オペレーターに指示を出してくれるのだ。
こうして3人のオペレーターに3人の管理者がつく。
ゲームプレイヤーはタップすることから開放され、
キャッシュは勝手にどんどん溜まっていく。
溜まったキャッシュで3人のオペレーターのレベルを上げる。
まるで報酬のような形だ。すると作業効率は上がっていく。
つまり、オペレーターの能力を上げるには
まず最初に報酬を上げることが大事であるということだ。
運営は軌道に乗り、
どんどんキャッシュは溜まっていく。
キャッシュが溜まったら、
さらにオペレーターのレベルを上げたり、
より深く高額な炭鉱を掘るオペレーターを増やしていく。
事業は深く掘り下げていくことで
品質の高い、高価なモノが産まれるということだ。
そうやって、どんどんオペレーターのレベルを上げていく。
やがて1つの工程に2人のオペレーターがつけられるようになる。
ただ、オペレーターが2人になっても管理者は1人だ。
さらに生産性を向上させるには、
今度は管理者の質を上げる必要が出てくるのだ。
管理者の質を上げるには、
レベルを上げるのではなく
スキルの高い管理者を雇い直すのだ。
つまり管理者には報酬を上げるという
外発的な動機づけではスキルが向上しないということだ。
こうして会社に管理者が増えていき、
スキルの高い管理者を複数の工程管理に回すのが
ゲームプレイの主になっていく。
一方で、能力の低い使えない管理者は、
工程管理の任命を解除し、
窓際族としてゲームの表から見えないようになる。
ここまでゲームプレイしてふと思うのだ。
社外から安くて質の高い派遣社員（オペレーター）を雇い、
オペレーターは契約更新で報酬を上げていく。
正規従業員はオペレーターを管理するだけ。
やがて使えない管理者で溢れかえる
まるでどこかの会社の縮図だ。
現実の世界は、
働き方改革や生産性向上が叫ばれている。
企業にとって一番大切な業務は
働き方改革や生産性向上が叫ばれている。
企業にとって一番大切な業務は
本当に管理業務なのだろうか。
深く考えさせられてしまった。
＜追記＞
アクセス数が伸びてきたので改訂
（2020年7月22日）
