海外研修と称して旅に出ました。
行先はベトナム。
目的はドンホー版画のリサーチ。
リサーチを思い立ったのは
コチラの記事を読んだことがきっかけです。
暮らしの中に存在してきた版画とは?
現在、技術継承が危機的な状況に置かれているらしい。
その実態を見たいと思いました。
*
目的地へはハノイ経由で。
ハノイと言えば・・・
米朝首脳会談がおこなわれたベトナムの首都。
治安は良いと感じましたが
交通事故にあわないかとヒヤヒヤしました。
上の写真はハノイの中心部に位置するホー・チ・ミン廟
ハノイの旧市街地です。
パリを描いた荻須高徳や佐伯祐三の絵画世界に迷い込んだようでした。
旧市街地から出たところの交差点
↓
動画後半にヒヤリとするシーンが写っていますが
交通量の多さ、特にバイクの多さに驚きました。
バイクの2人乗りはあたりまえ。
家族であれば4人乗車まで認められているとの事。
そのようなベトナムの首都から車で1時間程のところに
目的地のドンホー村があります。
集落の周辺はバナナ畑が続いていました。
都市部を離れるとレンガ造りの建物が多くなり
牛が道端を散歩していたりと、のどかな風景になります。
目的地に到着。
威厳ある門構えの版画工房入り口。
工房内部です。
「お寺を工房にしているのですか?」と尋ねると
写真右端の造りは日本で言うと床の間のようなものであるとの事でした。
画像左から
軸装用の棒を選別する女性
版木を彫る男性
軸装する女性
紙に刷る男性(若者)
壁面には版木が積まれ
その上に刷り上がった版画が干されていました。
見学者に見せるために一部は陳列。
色ごとに彫り分けられた版木セットです。
↓
職人さんの迷いのない手の動きが美しいと感じました。
この作業台の年季の入り方を見ると背筋が伸びます。
完成形はコチラ
↓
『ねずみの嫁入り』
ネズミの婚礼に際して
ネコに献上品を贈っている様子を表した図柄だそうです。
工房の片隅では
上の図柄の一部をスタンプした封筒を乾燥中。
500年にわたりドンホー版画を手掛ける家の
20代目、グエン・ダン・チェーさんが表彰された時の
版画と記念写真が飾られていました。
そのチェーさんのお孫さんが刷り作業をしていた彼との事。
この技術継承は彼にかかっているとか・・・。
別館では額装に取り組む女性もおられました。
*
今回の工房見学の資料として下の版木を購入しました。
版木を購入したのでプレゼントとして
刷り上がりもいただきました。
↓
ホテルに戻り、版木を眺めてると・・・
鏡像ではない事に気が付きました!
私は自分で刷ろうと思って版木を購入しましたが
これは版木の状態で飾るモノとして作られていたんですね。(涙)
記:徳永好恵
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徳永写真美術研究所
大阪・鶴橋にて、写真・写真表現・シルクスクリーンの研究活動をおこなっています。