新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

とにかく面白い!

2007年09月13日 | 本・新聞小説

070913book_009ヨーロッパを訪れると、どの美術館のどの部屋も、宗教と神話に題材をとった絵画であふれかえっています。が、キリスト教に馴染みのない日本人が好むのは印象派の作品だとか。多分にもれず、私も聖母子像以外は宗教画を一歩引いた感じでしか観られませんでした。

私の学生時代に、雑誌社が「もし無人島に行くとしたら何の本をもっていきますか?」というアンケートをとり、その一位がなんと聖書だったのです。遅れをとらじと、黒表紙の無味乾燥な分厚い聖書に何度か挑戦しましたが挫折ばかり。

確かに西洋の文学も音楽も美術も、聖書の知識なくしては理解できません。そんなときに、書店で目にした阿刀田高『旧約聖書を知っていますか』(新潮社)にすっかりはまってしまいました。

『アイヤーヨッ』の文章で始まり、アはアブラハム、イはイサク、ヤはヤコブ、ヨはヨセフとまず系図の覚え方に親しみがもてました。枝葉の部分は省略して、エッセンスの部分を書いた『阿刀田式古典ダイジェスト』版です。これに続いて、『新約聖書は知っていますか』(新潮社)まで一気に読めます。

これに続くのが中丸明『絵画で読む聖書』(新潮社)会話体の部分がなんと名古屋弁で書かれており、その面白さと親しみやすさと悪ふざけのところが、堅い聖書を私の目の高さまで引き下げてくれました。旧約の世界を創りだすための男女の人間的な行為と会話は、まさにお笑いの世界。ここまで表現に「冒険」していいものかと心配になるくらいです。真摯な信者は憤慨するでしょう。ところどころに挿入された絵の写真も分かりやすいです。

『西洋絵画の主題物語』美術出版社)は、カラー多色刷りの美しい美術書です。さすがにこちらはまじめな解説で、聖書の物語を手っ取り早く理解できる優れた本です。

聖書の多くの登場人物と旧・新の長い歴史に、一つ一つは覚えられませんが、絵画を観るときに、今までとは違った興味で楽しく観られることは確かです。


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16 コメント

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かぐや姫さま、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-09-19 00:07:22
私の混乱した頭の中を、いつももつれた糸をほぐすように整理してくださって
ありがとうございます!
まず太い幹を確認して、それから枝、葉をつけていくと分かりやすいですね。
スペインが出てきたついでに。
キリスト教側によって書かれたスペインの歴史には、8~11世紀のイスラム文化の果たした役割の大きさが消されているようですね。そこには当時最大の図書館が作られ、そこから学問がヨーロッパに広まっていったそうです。もしこの時代がなかったら、
ヨーロッパの発展が遅れていたのは確実とか。その時代はユダヤ人もイスラム教徒もキリスト教徒もうまく共存していたそうです。
スペイン、トルコを旅して、自分が西欧の文化をキリスト教側の一方的な知識で解釈していたのがわかりました。
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ちゃぐままさん、こんにちは。かぐや姫のミーシャ... (ミーシャ)
2007-09-18 19:48:39
イスラエル12支族の「エジプト脱出」をイスラエル史上最重要事件としていますね。その後の世界史の中で重要な役割を果たすイスラエルという民族の誕生を告げる出来事だからでしょうか。その後、古代イスラエル王国は分裂して滅亡。イスラエル10支族は行方不明となり、残されたイスラエル2支族も亡国の民に。パレスチナ地方(イスラエル2支族)はアレキサンダー大王によってヘレニズムの洗礼を受け、その後に侵入してきたローマ帝国によって支配されました。ここまで理解するのに相当時間を要しました(笑) スペインにコロンブスが現れ(アメリカとユダヤ人の関わりは、このコロンブスから始まるんですね)、コロンブスはユダヤ人だったとの根強い説がありますが、真偽のほどは定かではないらしい。この辺り、興味深いですよね。ヨーロッパで迫害を受けていたユダヤ人たちが続々と南米に渡りました(コロンブスの功績)。ユダヤ人の研究は、意外と面白いです♪
今日のニュースで知ったのですが、自民党の山崎拓さんが失言とか (>_<)
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かぐや姫のミーシャさん、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-09-18 00:32:13
旧約にはタネ本があり、それがシュメールの伝説と聞いて大変驚きました。

イスラム教徒とユダヤ人は仲良く暮した時期もあり、十字軍によって虐殺されたりしますが、その後ムスリムの支配下では共存体制ができたりします。うまくいっていたのに、近代ヨーロッパのナショナリズム台頭により、イエスを殺そうとしたユダヤ人として差別の対象になっていく・・・。
1947年の国連分割決議で、ユダヤ人迫害問題がヨーロッパの問題からパレスチナの問題へとすり替えられ、関係ないアラブ人が犠牲になったときいています。
パレスチナ問題は何回聞いても複雑です。
ギリシャ神話も、恥ずかしいけど『ギリシャ神話を知っていますか』で簡単にすませてしまいました。
ダイジェスト版でも、物語のつながりや発展の巧みさには舌をまきます。
訳本を読む気力はもうありません・・・。
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ももりさん、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-09-17 23:09:21
何しろ旧約は面白いのひと言につきますね。
サラの召使いのハガルは、アブラハムの寝屋に送り込まれてイシュマエルを産みますが、エジプト人のハガルは異教徒。
ユダヤ人のサラから生まれたイサクしかユダヤ教徒になれない。
ユダヤ人だけがエホバによって救われる・・・という排他性のために、
ハガルとイシュマエルは、わずかな食料と水を与えられただけで
砂漠へと追いやられたというのです。
つまりユダヤ教も、キリスト教も、イスラム教も、アブラハムに始まっているのです。
その出発のときの角度は少し違っただけかもしれませんが、何百年も経つうちに、その違いはどんどん大きくなってごらんのような世界に・・・。
出発点に戻れる可能性があるのでしょうか・・・。


papahaponさん。こんばんは!
ブログの写真で、教会を拝見してへ~ッと思うくらい、キリスト教というのが意外でした。暑い夏のクリスマスの写真もありましたね。
NHKの「引き裂かれた村 ~日米戦の舞台・フィリピン~」を見ましたか?
欧米、そして日本の植民地獲得競争に翻弄されたフィリピンの人々。
深く心をえぐられるような気持ちで見ました。
フィリピンが、今のように親日的になったのはいつの頃からですか?
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ちゃぐままさん、こんばんは。 (ミーシャ)
2007-09-17 22:13:33
私もクリスチャンではありませんから、聖書は歴史書のつもりで読みました。ユダヤ人が中東にイスラエルを建国した理由が、「聖書に書いてあったから」ですからね、これは聖書を読まなくては分からないだろうと言うのが動機でした。やっぱり歴史書ですね。私は決して暇人ではないのですが(かぐや姫の子孫なのかもしれませんが)、夜空が大変すきです。月や星を眺めているのが好きです。で、星座のお話、ギリシャ神話なども面白くて熱中したり・・・多くの西洋美術作品のテーマとなっているギリシャ神話とかキリストの物語は、私たち日本人の日常から離れた神秘な世界に誘ってくれますね。「旧約聖書を知っていますか」、まずは書店で立ち読みしてみまーす♪
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ごぶさたしてます。 (papahapon)
2007-09-17 14:06:00
ちゃぐままさん読書家ですね。
私このごろ眼が弱くなって本読むのが億劫になりました。
フィリピンではカソリックの中にどっぷり浸かっていますが
聖書は読んだことがありません。
フィリピンの地名はSan・・・と聖者の名前が多いですが、
その聖者がどんなことをしたのか、何故そこの地名に
その聖者の名前をつけたのかなど調べるだけでもいろいろ
面白いストーリーが見つかると思うのですが、、、、、w
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旧約聖書の解説書で面白いのが歴史。ユダヤの国の... (山口ももり)
2007-09-17 08:54:57
旧約聖書の解説書で面白いのが歴史。ユダヤの国の歴史です。90才を過ぎたサラはイサクを生みましたけど、ハガルとイシュマエルをうとんで、砂漠に追放。神はイシュマエルにも付き、イシュマエルを護り、やがて砂漠に生きて「弓を射る者」となる。彼こそが、アラブ人の先祖、イスラム教を開いたモハメッドの先祖です。なあんて・・・ホント、面白すぎる。今、世界を二つに分けそうで、これは、面白がってはいられないキリスト教とイスラム教の対立。でも、この二つの宗教も、民族も元は姉妹なんですもの。漫画で、お薦めはジョ^-ジ・秋山の「聖書」漫画家って、本当にスッバラシイ頭脳の持ち主です。
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詩亜さん、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-09-16 23:56:54
コメントありがとうございました。
私も詩亜さんの年齢のときは、聖書に興味を引かれませんでした。
とっつきにくく、読みにくく、理解しにくくて・・・。
やっと面白いダイジェスト版を入手して、年齢的にも読むゆとりが
でてきたのだと思います。
旧約は宗教書というよりは、物語と思って読んだほうが
面白いと思います。
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ピーコさん、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-09-16 22:14:03
クリスチャンの学校だから入学したのでなく、入学したところがクリスチャンだった・・・、
いまさらながら私の4年間を恥じ入るばかりです。
新約の教義の解説は単位のためにレポートも書きましたが、若いとはいえ罰当たりなことでしたね~。
紀元前18世紀から紀元1世紀間までの長い長い物語の聖書。少しでも知っていれば文学、文化が分かりやすくなります。旧約のほうが面白いと思いました。
オペラのサムソンとデリラの切ない歌声も絵も、中丸氏の本によればあけっぴろげな閨房に様変わり。でも面白かったですよ。

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こんばんは! (ピーコ)
2007-09-16 21:02:58
聖書・・・その昔読みました・・・
何しろ、中学がクリスチャンの学校だったので・・・毎日礼拝があったのです。
聖書のお勉強の時間もありましたし・・・だけど、私ってあまのじゃくの生意気な生徒だったので、ちーっとも真面目にやってなかった。今思えば、惜しいことをしました。
宗教と思わず、歴史と思えば、違った見方もできたのではと、今思ったりします。
十字軍がひどいことをしたというのは、私も聞いたことがあります。
要するに略奪と侵略の戦争だったとか聞くと、宗教って恐ろしいなと思います。
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kazuyoo60さん、こんばんは! (ちゃぐまま)
2007-09-16 00:39:29
純粋であるべきはずの宗教も、勢力を伸ばす、権力を広げる、金力を持つことから逃れられないようですね。
中世の教会の堕落はひどかったようです。
オスマントルコの残虐さが言われますが、十字軍の残虐さも相当なものだったようですよ。
誰が歴史をしるすかによって、内容が全然違ってくるのが残念?おかしい?です。


タムさん、こんばんは!
聖書に入っていくのが、信仰心からでなく、芸術や文学の理解の手助けにと思うところは一緒ですね。
聖書のひと言ひと言はすんなり理解するのは難しいですが、ダイジェスト版で読むと
ものすごくでっかく楽しいおとぎ話の感じがしますね。
6,15のブログを拝見しました。漫画があることは知りませんでした。これなら視覚的にも分かりやすいでしょう。随分前に出版されていたのですね。
まずは情報を得ることの大切さが分かりました。


酒徒善人さん、こんばんは!
楽しく読みたいなら中丸明氏の本がいいですよ。
アダムとイブも、ソドムとゴモラの町も、サムソンとデリラも、名古屋弁で書かれていて、その強烈な表現に絶対忘れませんよ!殿方向きかも。


kjuさん、こんばんは!
おすすめのブログ拝見しました。確かな知識で丁寧に書かれていて大変参考になります。
旧約聖書は、きちんと読むには理解しにくくて疲れてしまいます。
顰蹙を買いそうですが、ここはダイジェスト版が一番楽しく読めます。
宗教書としてでなく、物語として読んでも、縦に連綿とつながっている系図で、横に広がりながらもまとまりがあるところが面白いですね。
聖書にはタネ本があり、人類の祖はアダムではなく、シュメール人だという説も面白いです。




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こんばんわ。 (詩亜)
2007-09-16 00:06:11
そんな本出てるんですね。
φ(..)メモメモ
あれって歴史書や、物語として読むには面白そうなんだけど、ちょっとわかりにく書き方なのでとっつきにくいですよね。
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こんばんわ (kju96)
2007-09-14 01:59:13
旧約聖書を理解すれば、西洋文学、音楽、絵画など楽しさが増えますね。
ブログ仲間のcojicoさんは、美術に造詣が深く、のぞいて見てください。
http://cojicoviaggio.cocolog-nifty.com/
旧約聖書は面白いですが、疲れますね。
ダイジェスト版が一番。それを探すのも楽しいのではないでしょうか。
秋の夜長・・・良いかも知れませんね。
いろいろ教えてください。
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読書の秋。 (酒徒善人)
2007-09-13 22:53:11
私も読んでみたいと思います。
少し分かれば、美術館巡りの楽しさも増えそうですからね。
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ほんとに私も美術鑑賞をするようになり、宗教画に... (タム)
2007-09-13 22:21:34
2006.6.15の記事です!
http://tyui-kal.cocolog-nifty.com/hinatabokko/2006/06/index.html
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聖書ですか。良いことが書かれているはずですよね。 (kazuyoo60)
2007-09-13 21:16:23
なのに、どの宗教も宗派で対立して殺し合いまでする。日本だって古代中世では同じようなことがあったのでしょう。宗教は人のためにあるのに--。
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