司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

代表取締役等の住所の非表示措置に係る民事局長通達

2024-07-31 00:17:32 | 会社法(改正商法等)
「商業登記規則等の一部を改正する省令の施行に伴う商業登記事務の取扱いについて(通達)」(令和6年7月26日付け法務省民商第116号法務省民事局長通達)が発出されている。

 目に付いたところでは,

・ 履歴事項証明書においては,非表示措置をとる直前の登記に係る住所は,抹消の記号を付された状態で表示される(閉鎖事項証明書においても同様に住所は表示される。)。当分の間は,現在事項証明書又は要約書によるのでなければ,完全に非表示の恩恵は受けられない。

・ 商業登記規則第31条の3第4項第2号について,「登記官が当該株式会社の本店が登記上の所在場所に実在すると認められないときと判断するに当たっては、第三者から当該株式会社を受取人とした郵便物が宛所不明により不達となったことを明らかにする書面(以下「不達となったことを明らかにする書面」という。)を添付した上で当該株式会社がその本店所在場所において実在しない旨の情報提供が登記官に対してあったことなどが端緒となる。この場合において、当該情報提供につき事実であることの蓋然性が高いものと登記官が判断したときには、規則第31条の3第6項の規定に基づき、登記官は、当該株式会社に対し別紙様式3による通知を転送不要郵便で送付するものとし、一定の期間内に返送等がないことをもって、当該株式会社の本店が登記上の所在場所において実在しないことを確認するものとする。
 なお、弁護士又は司法書士法(昭和25年法律第197号)第3条第2項に規定する司法書士(以下「弁護士等」という。)から、当該弁護士等の資格を証する書面の提示又は当該弁護士の職印につき当該弁護士が所属する弁護士会が作成した証明書の提出と併せて、当該株式会社がその本店所在場所において実在しないため代表取締役等住所非表示措置を終了すべき旨を記載した当該弁護士等の職印が押印された上申書及び不達となったことを明らかにする書面が提出された場合には、別紙様式3による通知をすることなく、代表取締役等住所非表示措置を終了して差し支えない。この場合において、弁護士等の資格を証する書面及び不達となったことを明らかにする書面については、当該弁護士等が原本と相違がない旨を記載した写しの提出であっても差し支えない。また、弁護士等の資格を証する書面について原本が提示された場合には、登記官は、当該弁護士等の了解を得て、これらの書面の写しを作成し保存するものとする。」
※ コメント欄でも指摘があったが,「当該弁護士の職印につき当該弁護士が所属する弁護士会が作成した証明書」の部分は,「当該弁護士等の職印につき当該弁護士等が所属する弁護士会又は司法書士会が作成した証明書」が正しいと思われる。

・ 「代表取締役等住所非表示措置の対象である代表取締役等の住所に係る情報につき、官公署(官公署から嘱託を受けた者を含む。)から請求等があった場合には、当該情報を提供して差し支えない。」

・ 「本店の実在性を確認したことを証する書面」の様式(別紙様式1)が示されている。

・ 申出書の様式(別紙様式2)が示されている。

・ 登記所から非表示措置をとってる株式会社に対する「本店の所在場所における実在性につき疑義がありますので、商業登記規則第31条の3第6項の規定に基づき、お尋ねします」旨の様式(別紙様式3)が示されている。
「別紙様式3による通知、会社法(平成17年法律第86号)第472条第2項に基づく通知その他の登記所から株式会社に対して発出した通知等が宛所不明により不達となった場合においても、別紙様式3に記載された期間を待つことなく、又は別紙様式3による通知をすることなく、代表取締役等住所非表示措置を終了して差し支えない。」とされている。

・ 実質的支配者の本人特定事項を証する書面(商業登記規則第31条の3第1項第2号ハ)については,「この書面として、当該申出と併せて行う登記の申請を受任した資格者代理人(司法書士又は司法書士法人に限られる。)が犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成19年法律第22号)第4条第1項の規定に基づき確認を行った本人特定事項の証明書が例示されているところ、同法第6条の規定に基づき作成及び保存される確認記録(同条第1項に規定する「確認記録」をいう。)の写しがこれに該当する。
 このほか、本人特定事項を証する書面には、本人特定事項についての当該株式会社の代表取締役等の供述を記載した書面であって当該申出と併せて行う登記の申請の日の属する年度又はその前年度において公証人法(明治41年法律第53号)第58条の2第1項の認証を受けたものや公証人法施行規則(昭和24年法務府令第9号)第13条の4第1項の規定に基づき申告した本人特定事項についての申告受理及び認証証明書(当該申出と併せて行う登記の申請が当該株式会社の設立の日の属する年度又はその翌年度に行われる場合に限る。)が該当する。」

といったところか。


cf. 代表取締役等住所非表示措置について
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00210.html

 通達は,追ってこちらに掲載されるものと思われる。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00098.html
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3 コメント

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司法書士会の職印証明書は可能でしょうか? (島田宏基)
2024-07-31 10:09:28
先生おはようございます。

当該通達の7頁「当該弁護士の職印につき当該弁護士が所属する弁護士会が作成した証明書の提出」とありますが、司法書士会の職印証明書も含まれるのでしょうか?
「当該弁護士等」「弁護士等会」と記載されていないため気になった次第です。
返信する
御回答 (内藤卓)
2024-07-31 10:18:41
私も気にはなっていたんですよね。本文中に注記しました。
返信する
Unknown (島田宏基)
2024-07-31 10:21:43
>内藤卓 さんへ
>御回答... への返信
ありがとうございます。
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