tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

三連休明け株価暴騰、日米景気の行方は

2023年11月06日 15時28分26秒 | 経済
ロシアのウクライナ侵攻で世界の多くの人々が、ロシアの野蛮な行為を悲しんでいる中で、今度はハマスとイスラエルの報復合戦が起き、人びとは、改めて現代世界にも未だに人類文化の進歩に遅れた部分があることを痛感し、悲痛な感覚に悩まされています。

一方紛争、戦争の文化から卒業した社会では経済の競争が人々の心の主要な部分を占めているのでしょう。
こちらの競争社会も結構熾烈ですが、破壊と殺戮のない事は人類社会がそこまで進んできている事を示していると理解すべきでしょうか。

2つの戦争に痛みを感じながらも、経済社会は多様な形で豊かさを求め競い合っています。これが今の人類社会の現実という事なのでしょう。

先週から、アメリカは足掛け2年のインフレ克服に目鼻を付け、経済安定化を期待して株価は連日の上昇、それを受けて連休明けの日経平均も700円超の上昇です。

ここからは経済の話ですが、日本の株価は、アメリカの相場を受けて動くことが多いようです。(アメリカのプレーヤーが主導権をもっているから?)

今回はアメリカのインフレが終息する気配で、当面金利の引き上げがない見通しという事がアメリカの株価上昇の原因でしょうが、それが日本経済にどう影響するかを考えれば、日本の株もアメリカと同じように上がっていいものか、些か疑問です。

アメリカの政策金利の見送りも、あくまでも引き上げないというだけで引き下げという事ではないですし、今日の日銀の政策会議の発表も異次元緩和を続ける(各方面の意見は聞く、来年1~3月頃には何か解るかかも)ということですから、円レートも149円台半ばで大きな動きはありません。

このレートでは日本の輸出産業は超快調かもしれませんから、日経平均も当面高水準維持かも知れません。
しかし、アメリカが金利を引き下げ、日本が異次元緩和を変更を見直すとなれば、円レートは忽ち変わるでしょう、方向は当然円高です。

今後日本経済として十分注意しなければならないと思われますのは、来年にかけてどの程度「円高」が進むかでしょう。

株価好調の折から、政府はNISAの枠も広げ、貯蓄から投資への掛け声ですが、来年には日米金利差の縮小が予想されますから、これは日経平均には逆風でしょう。

これから株が上がりますと、貯蓄から投資の掛け声に乗ると、「買え、買えとすすめられるのは高い時」という事になるのが、日米金利差からみた株価予測でしょう。

一方、春闘は、今年連合が賃上げ目標に付けた「以上」が、どの程度の効果を持つか解りませんが、去年今年と続いた食料など生活必需品の一斉値上げがいつになったら終息するかで、実質賃金がプラスになるかどうかが決まるのでしょう。
 
最も注意すべきは、賃上げは4%程度で、平均賃金は2%程度の上昇に留まり、物価は政府の補助金がなくなれば消費者物価で1%以上の上昇になりますので、アベノミクスから今年に至る消費不振の低成長経済から抜けられないという状況でしょう。

ここまで来たら、連合はともかく、企業サイドが本気になって、出来る限りの賃上げを、自社ではなく、日本経済の問題として、考える必要がありそうです。

その場合の着手点は、非正規の正規化で、訓練の積極化で、非正規の生産性を正規の水準に引き上げ、求人難に対応するという視点も重要になるでしょう。
企業は、政府に頼らず、自分たちの力で日本経済の正常化、健全化を達成する能力も責任もあることに気付くべきでしょう。

実は、経済活性化の力は、本来は政府ではなく、企業が持っているのです。企業が政府に頼っているような経済が活性化する事はあり得ないので、企業が自分達でやる気にならない限り日本経済の活性化は期待できないのではないでしょうか。